
技術者から経営者へ。
ニッチ領域でNo1の位置を勝ち取るためにこだわってきたことは?
リアルテックジャパンの歴史と今後の将来像についてお聞きしました。
-SAP BASISとの出会い
まずは松浦さんのご経歴について教えてください。
大学卒業後に就職したのは東芝の関連会社でした。
今で言うメーカーのIT関連会社ですね。
大手企業に入社されたんですね。
今だから言えますが、景気も好調だったのであまり深いことは考えずに決めましたね。(笑)
就職して実際に働いてみてキャリアなどは考えようと。
そうなんですね。(笑)
リアルテックジャパンではどんな役割を担っていらっしゃるんですか?
PC基盤の設計を担当していて、自動設計のプログラムを書いていました。
今で言うCADソフトです。
当時だとラップトップパソコンが流行る以前でワープロが一般的な時代でして、まだまだソフトウェアの概念が浸透していなかった。
そこで自前でソフトウェアを作って、ハードウェアとの連携を強化していくというのがグループ全体の流れだったんですよね。

なるほど。
その後転職されるわけですが、どんな理由からだったんですか?
まさに、ソフトウェアの市場が大きくなるだろうと感じていたのでソフトウェアを専門で扱う会社にいきたいと思うようになったんです。
ソフトウェアは汎用的であり、クライアントのニーズに合わせて柔軟にも変えていける。
もっとクライアントに寄り添って、課題を一緒に解決して存在になりたいと思ったこととソフトウェアの特徴がマッチしたとも言えますね。
ではソフトウェア関連の企業を中心に転職活動をされたんですね。
1社目の経験を生かしてCAD系のソフトウェアを作っている会社も考えましたし、結構幅広くみていました。
その一つがSAPジャパンでした。
SAPジャパンに入社を決められた理由は何だったんですか?
ソフトウェアの先端をいっている印象を持ったからでしょうか。なんとなくすごそうだなと。(笑)
ただ、自分が大切にしたクライアントに寄り添い並走するようなスタンスを感じたので入社を決めました。
当時のSAPジャパンは200人くらいの小さな組織で、まだまだ知名度も高くない。
マーケットの状況で言うと、国内での導入は主に外資系企業の日本法人がメインという感じでしたので、日系大手企業が少し興味を持ち始めているくらいのイメージです。
その中でもまれるのはキャリアとしてもおもしろそうだなと感じたんですよね。
これ今となっては笑い話なのですが、当時の私は「基幹系システムって何?」っていうレベルでしたけどね。(笑)

なんと、そうだったんですね。(笑)
ご入社されてからはどんなことをされていたんですか?
1社目でOSやデータベースの知識があったので、入社当初からSAP BASISチームに配属されました。
直轄はドイツの本社でネットワークやOS、ミドルウェアなど主にはインフラ領域の担当をしており、コンサルタントとしてクライアント先に常駐しながら様々な課題に合わせた支援をさせていただきました。
会計やロジスティックなどのアプリケーションは基本的に縦軸で組織が分かれていましたが、私が所属していたのはSAP BASISチームはインフラ領域を担当していることもあり横串でいろいろなことにタッチできたんですよね。
また、入社して数年経った時にSAPの注目も浴びるようになってきました。
バブル崩壊と阪神淡路大震災による不況の影響で、大手企業をはじめ多くの企業がリストラクチャリングを進めていました。
ITを導入して効率化を図る。
そういったマーケットの変化もあり、多くの経験を積ませていただきました。
マーケットの変化とそれによるニーズが一気に加速した感じなんですね!
まとめ
・インフラ領域に携わることでアプリケーション、ハードウェアなど幅広い領域にタッチする。
・マーケットも追い風にあり、様々な経験を積み起業への道へ。
-リアルテックジャパンが生まれた瞬間
リアルテックジャパンを起業されたのはどんな経緯なんだったんですか?
もともとリアルテックという会社とのは接点はSAPジャパン時代にあります。
ベンダーとして様々なプロジェクトをご一緒していた経緯がありました。
SAP BASISに特化して先ほどもお伝えした通り、インフラ領域に携わっているとアプリケーション側もハード側にも広くタッチできるのでクライアントの課題解決に寄り添い続けれられる。
これはSAPジャパンに在籍しているときも強く感じていました。
よくわからないことはとりあえずBASISチームに任せておこうと。
やはりSAPと聞くと、多くの方はアプリケーションを想起されることが多いです。
でもそれを支えているミドルウェアやインフラは花形ではないんだけど、絶対的に不可欠な領域です。
そういった意味でリアルテックの事業と自身の経験を考えて、リアルテックジャパンを創業しようと思いました。

いわゆるニッチではあるものの、そこに特化していこうと言うことですね。
あとは広くクライアントの課題解決をしていけるフィールドで勝負しようと。
そうですね。
良いビジネスになると思いました。
あとは、競合になりうるプレイヤーも考えました。
BASISの専門部隊を持つSIerってそんなに多くないと思うんです。
つまり他の領域と兼任をしていて案件自体もそんなに多くない。
また、専門部隊があっても組織で言うと10名以下の企業が圧倒的に多い。
これらを踏まえると、我々のようなベンチャー企業でも対等に渡り合えると思ったことと、BASISに専門特化した会社にすることで戦える可能性が高いと思いました。
むしろ、特化しているからこその強みを持てるのではないかと思ったんです。
なるほどですね。
実際起業してからその目論見通りになりましたか?
そうですね。
おかげさまでBASIS領域ですと、認知度も実績も高い評価をいただくようになってきました。
故に、他社ではなかなかできない難易度が高いご依頼をいただくことが増えてきました。
マーケットの変化もあって、ここの強みは非常に大きいと思っています。
と言うのも、現在だとBASISの専門部隊を持つ企業が増えてきた印象を持ちます。
事業会社の情報システム部門を買収して大きくなってきているSIerも出てきたりしていて。
その中でも、当社にお願いしたい、当社にしかお願いできないとご相談をいただくことが多くなってきているので今の強みを生かしつつ、突き詰めていきたいと思っています。
-創業当時から持つこだわり
今の実績を勝ち取るために、心がけてこられたことはありますか?経営的なスタンスと言いましょうか。
いろいろありますが、短期的、中長期的な視点で案件を見るようにはしていました。
我々の強みがダイレクトに発揮でき、クライアントのお困りごとを解決できる案件はもちろん大切でお手伝いをさせていただきます。
一方でトラブっていて他社にいろいろと相談をしたもののどうにもできない案件をご相談いただく案件は必ず引き受けてきました。
もちろん採算は見ますが、「リアルテックジャパンにしかできないこと」を作るための案件としては必ずお受けするようにはしてきました。
これは先ほどからお伝えしているように、インフラ領域に携わっているからこそアプリケーションのことやハードウェアのことまで広く関わってきた知見と技術を生かせることが要因としてあると思います。
あとは、日本にはないソリューションや製品を日本で展開したいと外資系のメーカー様をはじめお声がけいただくことも同様に基本的にはやるようにしてきました。
ソリューションの幅を広げてクライアントに対して支援できる領域を広げたいということもありますし、ソリューションはどんどん新しいものが出てくるのでグローバル視点で見たときにトレンドや先端的な概念を持っていくことも重要であると思っているからです。
他にはプライム案件にもこだわっているかと思います。
中小企業は、自社で対応せざるを得ない場合が多々あり、困られているケースもあります。よりビジネス的課題のお手伝いができるので、プライムは重要です。
まとめ
・特定の領域に特化することでベンチャー企業でも大手と戦え、勝ち筋を見出すことができる。
・企業成長の秘訣は、難易度の高い仕事を積極的に請け負うこと、新たなソリューションを一番最初に国内マーケットに展開すること。
・目指すは業界の負を解消し、クライアントの課題を解決し続ける存在に。
-苦労を乗り越えて見えてきた新たな景色
起業されてしんどかった時期はありましたか?
ありましたよ。(笑)
立ち上げ時期は苦労しました。
やはり、実績も知名度もなかったのでなかなかご依頼を頂けない状況が続きました。
私自身エンジニア、コンサルタントは経験があるものの、セールス経験は全くなかったので…。
とは言え、実績を作り続けないと話にならないので我々の強みが生きる領域と優れたソリューションを提供できる機会を常に伺っていました。
そんな中、転機が訪れたのがある強力なパートナー2社とアライアンスを組むことになりまして。
それがマイクロソフト社とデル社でした。
マイクロソフト社はSQL Serverを浸透させたいということでご相談をいただきタッグを組んでクライアントへの提案活動を進められました。
デル社はPCのイメージが強く、新たにサーバーを作り出していた、それらを展開していく上でのリプレイス提案をしたく、そのための運用部分や移行に関わる支援を全面的にしてほしいという相談でした。
両方の接点から、サーバーやデータベースのお仕事もいただくようになったという感じです。
そんなきっかけがおありだったんですね!
他にもリーマンショックの時も大変でしたね。
IT業界は世間で景気が悪くなったと言われて約1年ほど後に大打撃を迎えることが多いと言われていますが、まさにその通りになりました。
その時は、あえて営業メンバーを採用して乗り越えてきましたがあの時は大変でしたね。。。
あとは、「退職したい」とメンバーが言ってきたときはいつになっても苦労ではないですが、辛いですね。
最近になってようやく考え方が変わってきまして、当社で経験を積んで次の会社で活躍することが当社のブランドにも繋がると思うようにしていて。
そのために当社でしかできない経験や体験をして、長期的にメンバーが成長できて市場から求められる人材になってもらうようにサポートをするのが社長の仕事だと思っています。
-リアルテックジャパンが目指すこと
その考え方素敵ですね。
今後のビジョンを教えてください!
そうですね。
やはりこれまでと同様で、「リアルテックジャパンしかできないこと」を突き詰めていきたいですね。
その他大勢の会社とやっていること、やっているレベルが一緒ということは絶対にしたくない。
一方でクライアントやマーケットにちゃんとフィットしたソリューションを提供し続けていきたいですね。
ソリューションを考えること、ソリューションを生み出すこと。
そしてそれらのソリューションを推進していく実行力を持ち続けていきたいです。
経営者としては、メンバーである技術者やコンサルタントが常に最高のパフォーマンスを発揮でき、自分の成長を実感できるような仕組みや機会を作っていくことが仕事ですので、それは常に考え続けていかないといけないと思っています。
松浦さんにとっての良いソリューションってどんなものなんですか?
技術的なものでだけを指すのではなくて、一見大したことなさそうなんだけど、実際はとても重要なファクターを抑えているものでしょうか。
例えば、我々のクライアントで言うとシステムを1時間止めるだけで数十億円の損失が出るようなお客様や案件というのはざらにあります。
こういう場合、いかにリードタイムを抑えてゴールを実現するか?が非常に重要。
課題を解決することも大切ですし、ゴールを実現することは大前提として、時間軸で物事を見てクライアントの期待値を超える必要があります。
これは人月ビジネスの概念では実現できないと思っていますし、単なるシステム導入やコンサルティングサービスの域では難しい。
そこに我々が介在する価値があると思っています。
クライアントによって求めることは違いますし、それによって価値の本質も変わってくる。
そういったハイレベルな価値を提供することがリアルテックジャパンが目指すソリューションですね。
それを実現するためにも、我々を通してクライアントはもちろんソリューションベンダー様との結びつきは今まで以上に強固にしていかないといけないと思っています。
ソリューションを提供するベンダー様との協業を増やしていけることが、クライアントの課題解決をよりハイレベルでクオリティの高い価値に昇華できると思っているので、クライアントと世界中のソリューションベンダー様とのハブ的な存在になれるようにしていきたいですね。

ハブ的な存在になっていきたいと。
はい。
ここ数年は、特にITソリューションを推進しています。
具体的には、ITILに沿ったSolutionManagerによる運用ソリューションやオペレーションの自動化ソリューション(RPA)、ITガバナンス等これまでの領域外の部分の幅を広げてきています。
クライアントが必要とする最適なソリューションをトータルで提供する会社=リアルテックジャパン株式会社と認知いただけるようにしていきたいですね。
それが結果的には、コンサルティングサービスとしての品質向上にも繋がると思いますし、サービスレベルの向上にも繋がる。
また、メンバーも自身の提案できるソリューションの幅が広がったり、新たな領域や分野への挑戦ができると思うので、そういった環境を提供できることが必要だと考えています。
まとめ
・当社でしかできない経験、体験を提供することこそが経営者の仕事である。
・「リアルテックジャパンしかできないこと」を突き詰めていく。
・クライアントごとに求められる価値を見極めて実現に導くことが一番の価値
・クライアントと世界中のソリューションベンダー様とのハブ的な存在になる。

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