日本マタイ株式会社

「SAP運用効率改善~システム最適化とプロセス自動化~」

SAPの標準機能の活用とクラウド基盤技術の応用により
運用効率の改善とランニングコストの30%削減を両立しました。

日本マタイ株式会社

包装容器の製造・販売などを手掛ける日本マタイ株式会社(以下、日本マタイ)では、SAPR/3Enterprise(以下、SAPシステム)を運用するハードウェアの更新にともない、運用管理の効率化と管理コストの低減を実現しました。そのポイントや効果について、詳しく話を伺いました。

具体的には、どのような製品を手掛けているのですか。

袋、包装、容器等を製造する総合包装容器メーカーとして、主に次のような製品を製造・販売しています。

  • 医薬品や電子部品、食品などの包装材料として利用される「軽ラミネート」
  • 建材や断熱材など厚紙に樹脂を押し出し新たな機能を持たせた「重ラミネート」
  • ポリエチレン袋や板紙など特殊用途への印刷を目的とした「グラビア印刷」
  • 高機能樹脂を製膜・ラミネートする「樹脂加工」
  • 肥料や化学薬品、合成樹脂などに使用される「ポリエチレン重袋」
  • 各種製品の輸送や保管に最適な「クラフト紙袋」
  • 農産・食品、合成樹脂、化学原料、医薬品などの運搬に利用される「コンテナバック」

この中にはカップ麺や洗剤の包装など、普段の生活の中で利用されるものも数多くあり、肥料の梱包などに利用されることの多いポリエチレン重袋は業界シェアNo.1です。また、流通の過程などで利用されるコンテナバッグは、「MAICON(マイコン)」のブランド名で知られており世界中で幅広く利用されています。

SAPシステムの導入目的と評価

貴社でSAPシステムを導入したのはいつですか。

2006年9月のSAPシステムを導入し、運用してきました。適用業務は、財務会計、管理会計、販売管理、在庫・購買管理、プロセス生産、データウェアハウス、戦略的企業経営(SEM)の一部を使った予算編成支援になります。

SAPシステムを選択した理由を教えてください。

導入後、機能面では特に問題はなく順調に稼働しています。細かい部分で改善点などはあるものの、システムを全体として見るとおおむね満足しており、また、時間とコストをかけてリプレースするメリットがある代替システムも見当たらないことから、今後も使い続けたいと考えています。

システム更新に至った背景

今回システムを更新した背景をお聞かせください。

導入から数年が経過し、やっと社員もシステムに慣れ、運用も安定してきたと思っていたところ、ストレージの保守が終了してしまうことになりました。保守期間の延長も検討したのですが、メーカーからはよい返事をもらえませんでした。そのため、ストレージを更新せざるを得ない状況になりました。

今回システムを更新した背景を
お聞かせください。
「サーバの更新を機に、運用管理負荷の課題を解決したいと考えました」(羽生氏)

単にストレージを入れ替えるだけでなく、SAPシステム全体のハードウェアを更新することにしたのですか。

システムを運用する中で、運用管理の負荷を軽減したり、リスクをヘッジするための課題がいくつかありましたので、ハードウェアの更新を機にランドスケープ全体の最適化をめざしました。

ハードウェアを更新したシステムを具体的に教えてください。

具体的には、以下の10システムになります。

  • SAPシステム:本番機、品質保証機、開発機
  • SAP NetWeaver Business Warehouse(BIツール):本番機、品質保証機、開発機
  • JP1(運用管理):本番機、テスト機
  • Super Visual Formade(帳票開発):本番機、テスト機

システムランドスケープの最適化

ランドスケープ全体の最適化とは、具体的にどのようなことでしょうか。

サーバ仮想化による物理サーバ台数削減と同時に、各サーバの役割や機能を再度見直しました。当社の場合、テスト機を様々なプロジェクトで積極的に活用したいこともあり、SAPのシステムのテスト環境の拡充は必要でした。またシステム監視、バックアップ、システムコピーなどのシステム運用についても、SAPの標準機能や最新のインフラ技術を徹底活用しかつ自動化することで、運用効率改善とコスト削減の両立を目指しました。

SAPシステムのテスト環境の拡充

順々にお聞きします。「SAPシステムのテスト環境の拡充」とは

今回、従来の品質保証機とは別に、SAPシステムのテスト環境として3つのインスタンスを新たに構築しました。それぞれの環境が独立したデータボリュームを利用しているのですが、実際にはストレージが持つFlexCloneというテクノロジーを利用した仕組みを利用しているため、複数の環境を作っても必要なディスク容量はそれぞれの環境向けに管理データ分のみ確保すれば済みます。従来のように大量のストレージ容量を確保しなくても済み、最小限のディスク容量で運用ができるようになりました。
以前の環境では、ストレージのディスクレイアウトと容量の問題からテスト機を1つしか用意できず、複数のプロジェクトを並行して進めることができませんでした。しかも、最新の本番機データをテスト機に反映させるには時間とストレージ容量を必要とするため、古いデータのままでテストを実施しなければなりませんでした。
これからは、本番環境に限りなく近いデータで複数のテストシナリオを同時に進めることができ、ディスク容量を気にする必要もなくなったので、効率的に開発作業を進めることができます。

SAPシステムコピーの自動化

テスト環境の拡充における課題と解決策を具体的に教えてください。

以前の環境ではクライアントコピー方式で本番機のデータをテスト機にコピーしていたため、次のような課題がありました。

  • コピー処理に約3日間かかる。
  • 3日間のうち、丸1日本稼働クライアントの使用を停止しなければならない。

このため、業務を行っていない週末などに作業を実施する必要がありました。
さらに前述のストレージの課題もあり、頻繁にコピー作業を行うことが難しく、最新の本番機データを使用してテストを行うことは容易ではありませんでした。
時間と容量の問題はストレージの高速コピー機能であるFlexCloneを利用することで解決できました。しかし、後処理としてSAP社が提供するデータベース固有のシステムコピー手順を実施する必要があります。後処理作業はクライアントコピー方式に比べて手順が複雑なため、運用担当者が容易に実行することは難しく、一般的には外部のBASISコンサルタントに作業を委託する必要があります。そのため今回は、これらの手順を自動化して簡単に実行できるような実装を行いました。
これにより最新の本番機データを反映させたテスト機を3時間程度で用意でき、エンドユーザに素早くシステムを開放できるようになりました。必要に応じて、過去1カ月以内の任意のバックアップ取得時点でのテスト機を構築することも可能です。
また、FlexCloneにより大幅なストレージ容量の削減ができました。現在4つのテスト機を並行して1台の物理サーバ上で稼働させていますが、本来テスト機1台あたりに本番機と同じ150GBのデータベース領域が必要となるところ、テスト機の初期構築時で数MB、3ヶ月たった現在でも5GB程度しか消費していません。

テスト環境の拡充における課題と解決策を具体的に教え
てください。

システム監視運用の改善

では、「監視運用の改善」については。

監視ツールをSAPSolutionManagerに置き換え、監視運用設計もSAPシステム向けに最適化しました。
これまで利用していた監視ツールは、SAPシステムの内部情報を完全には監視できず、データの増加量を定期的に確認することもできませんでした。監視項目も適切ではなく、軽微なエラーでもアラートが発報されるため、1日何十ものアラートの中で重大なエラーが見落とされることもありました。
今回、監視対象をSAPシステムの運用に必要十分な項目に見直すことで不要な発報を制御し、重要なエラーだけを受け取ることができるようになり、運用担当者の負荷を軽減できました。また監視対象のシステムにトラブルが発生した場合、即座にメールで管理者へと通知されるようになっていますが、従来は通知された内容をもとにどのような初動対応をすべきなのかがわからないということがありました。今回、この部分も見直しをはかり、メール通知を起点に初期対応手順をあらかじめ定義しておくことで、現場担当者が迷うことなく必要な初動対応を行えるようになりました。
SolutionManagerはSAPシステムのすべての内部情報を監視でき、豊富なレポーティング機能で簡単に「見える化」することができるため、システムのプランニングにも活用できると考えています。しかも、SAPシステムに標準添付されているツールということで、追加費用なしで利用できました。

システム更新プロジェクトの概要

では、どのようにシステムを更新したのか、プロジェクトの概要を教えてください。

2010年の4月~7月にかけて、SAPシステムのテスト環境を構築しているハードウェア全般の更新を行いました。業務にはまったく影響がなかったので、ハードウェアの更新作業があったことに気がついている社員はほとんどいないと思います。
プロジェクトの概要は、次の通りです。

⑴ 仮想化によるサーバの集約
Windows Server 2008 R2の仮想化機能Hyper-Vを利用して、約20台の物理サーバで運用していたシステムを6台で運用できるよう集約しました。ラック数で見ると3つからから1つのラックへと集約されています。その結果、サーバの導入・保守費用だけでなく、データセンターの利用費を大幅に削減することができました。
SAPシステムは、仮想化にともない64bit版カーネルへと移行しましたが、ABAPプログラムを修正することなく移行することができました。

高機能ユニファイドストレージの導入

⑵ 高機能ユニファイドストレージの導入
新しく高機能ユニファイドストレージを導入しました。サーバとストレージとの接続にはコストパフォーマンスに優れたiSCSIを採用しています。MCS(Multiple Connections per Session)による負荷分散でFC(ファイバーチャネル)と同等の帯域を確保すると同時に、高い冗長性を確保しています。

 

⑶ D2D2T(Disk to Disk to Tape)によるバックアップシステムの改善
SAPシステムとSAP NetWeaver Business Warehouseの 本番データの日次バックアップはストレージの機能であるSnapshotにより数秒で完了し、約1カ月分(40世代)のバックアップをディスク上に保持しています。テープに直接バックアップを行わないことで頻発していたテープ装置トラブルによるバックアップデータの取りこぼしを排除できました。
また、複製機能であるSnapMirrorを利用し、日次バックアップ毎に筐体内のコントローラ間で同期を行いデータを完全2重化しています。
データの外部保管要件がありますので、月次でバックアップサーバ接続されたLTO4のテープ装置にDBデータファイルの形 で取得しています。

⑷ 監視ソフトウェアをSolution Managerへ移行

⑷ 監視ソフトウェアをSolutionManagerへ移行
監視ソフトウェアをSAP Solution Manager(以下、Solution Manager)へ移行し、監視項目を見直すことでシンプルなおかつ必要十分な監視運用をできるようにしました。

 

コスト削減効果

ハードウェアの更新とランドスケープの最適化による、具体的なコスト削減効果を教えてください。

単純計算ですが、データセンターの月額費用とハードウェア・ソフトウェアの保守費の合計で30%程度のコスト削減ができています。TCOは現在試算中ですが、不要アラートやテープ障害に対する運用担当者の対応工数は確実に削減できていると思います。

プロジェクトの運営について

リアルテックにハードウェア更新のプロジェクトを依頼した経緯を教えてください。

2006年にSAPシステムを導入したとき、BASISの作業をお願いしたのがリアルテックでした。その仕事ぶりを目の当たりにして、今回サーバを更新するにあたり、SAPシステムに特化した会社ならではの知識と経験を生かした提案を期待して、システムの再構築をお願いすることにしました。

実際の提案と構築作業はいかがでしたでしょうか。

ほぼリアルテックから提案してもらった内容そのままで設計を行いました。構築フェーズ中にテスト機のインスタンス追加や印刷方式の変更、非SAPシステムのライセンス数の見直しなど、いろいろと無理難題をお願いしたにもかかわらず、スケジュール通りにプロジェクトを進めることができ、我々の信頼が裏切られることはありませんでした。大手ベンダーの見積もりでは7カ月以上かかるはずの作業期間が4カ月以内で完了したのには驚きました。

今後の拡張予定

今後の拡張予定などありますでしょうか。

SAPシステムのような大規模かつ全社で利用している基幹システムは、新しいことに挑戦するよりも、安定的に稼働することが第一だと考えていますので、またすぐに大きな改変をするという予定はありません。
しかし、たとえば5年といった長いスパンで見れば、ハードウェアのリースアップや保守切れ、SAPシステムのバージョンアップ、さらにはクラウド環境への移行など、いろいろと取り組まなければならないことは出てくると思います。

リアルテックについて

リアルテックへの期待などあればお聞かせください。

導入時はもちろん、導入前の設計段階からいろいろとサポートしていただき本当に助かりました。SAPシステムのようなシステムはとても複雑で、当社のような規模だと社内に専門の要員を確保するというわけにはいきません。そのため、リアルテックのようにSAPシステムに特化した会社にサポートしてもらえるというのは、とても安心感があります。
また、一緒にビジネスをしていくためには、知識だけでなく、プロジェクトを引っ張っていくような大胆さや緻密さも必要で、そういう点でもリアルテックの担当者の方はとても信頼がおけます。引き続き、今回導入したシステムの運用保守に関するアドバイスはもちろん、ベーシスに関する保守などでも引き続きお願いすることはたくさんあると思いますので、今後ともよろしくお願いします。
日本マタイ様、お忙しいところ貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

Microsoft Partner

※取材日時2010年10月
※SAP、SAP R/3 Enterprise、SAP NetWeaver Business Warehouse、SAP Solution Manager、その他記載されているすべての SAP 製品およびサービス名はSAP AGのドイツ及びその他の国における登録商標または商標です。
※ Windows、Windows Server、Hyper-Vは、米国 Microsoft Corporation の米国及びその他の国における登録商標または商標です。
※JP1は株式会社日立製作所の登録商標です。
※Super Visual Formade は、ウイングアーク テクノロジーズ株式会社の登録 商標です。
※Snapshot、FlexClone、SnapMirrorは、米国およびその他の国におけるNetApp,Inc.の商標です。

日本マタイについて

日本マタイの事業概要を教えてください

■それでは、まず社名の由来から紹介させてください。「マタイ」とは麻袋(音読みで「またい」)のことで、当社の前身となる店が麻袋の回収・販売をしていたことが由来となっています。
■ 昭和22年に日本麻袋株式会社が設立され、その後、経営の多角化にともない「日本マタイ株式会社」と改称しました。以降、容器事業と食糧事業を2本柱として事業を営んできましたが、2003年末に食糧事業を分社化。
2007年には、創業60周年を迎えることができました。
■ 2009年にはレンゴーグループの一員となり、「モノづくりの技術で価値を創造するメーカー」として、新しい需要の開拓と市場の創造に取り組んでいます。
現在、営業・生産拠点は国内に5カ所。マタイグループとしては、国内外に16社の関連会社があります。