基幹システム移行計画作成のポイントをご紹介

 2022.03.29  リアルテックジャパン株式会社

基幹システムの移行作業には、様々なリスクを伴うため、綿密な「システム移行計画」を作成したうえで実行する必要があります。しかし、移行計画の概要やポイントについて、いまいち把握できていないIT部門担当者の方が多いのも事実です。そこで本記事では基幹システムの移行計画の概要や、作成のポイントについて詳しく解説します。

基幹システムの移行計画とは

「基幹システムの移行計画」とは、現行の基幹システムを新しいシステムに移し替えるために作成される、計画のことを指します。基幹システムのデータには、企業の重要な機密情報や個人情報などが複数含まれているため、的確にデータ移行を行わなくてはいけません。しかし、移行に際しては情報漏洩や移行失敗による業務停止など、さまざまなリスクがつきまといます。そうしたリスクを軽減し、安全にデータ移行を完了させることが、移行計画の目的とするところです。

たとえば、システム移行の失敗例で多いのが、移行の遅延です。移行がスムーズに行われない場合、業務に支障をきたすおそれがあります。納期の遅れや業務停止といった大きな問題が発生することもあるため、このようなミスは可能な限り避けなければいけません。

こうしたトラブルは基本的に、移行方法やスケジュールなどに無理がありながらも断行してしまうことによって発生します。特に、計画の詰めが甘いと発生しやすいため、綿密な移行計画を立てることが重要です。これから基幹システムの移行を考えている企業は、移行計画を綿密に立ててミスが起こらないように努めましょう。

基幹システムの移行計画作成の手順・ポイント

では、移行計画とは具体的にどのようにして組めばよいのでしょうか。以下では、移行計画の作成手順や押さえておくべきポイントについて解説します。

移行要件(移行方式)を決める

システム移行の最初の段階では、移行計画として要件定義書を作成します。定義書の内容がシステム移行の成否を左右するため、しっかりと計画を立てなくてはいけません。

そのためにも、まずは現行システムの調査を行います。現行システムのオペレーティングシステム、データベース、SAPシステムに関するバージョンとパッチレベルを定義書にまとめます。特にSAPシステムについては各コンポーネントごとのサポートパッケージレベルとカーネルパッチをを明確にしておきます。また移行時間は、データ量に大きく左右されるため、データベースサイズ、月間のデータ増加量、TOP20程度のBIGテーブル、などを把握しておくことも重要な要素となります。

移行するデータを把握したら、移行先のデータモデルを確認して、移行方式を決めていきます。データモデルがわからないと移行方式も定まらないため、移行先を早めに確定しておく必要があるのです。移行先がなかなか決まらない場合でも、データ移行に必要な情報は担当者に随時話しておきましょう。

これらが決定したら、どのような手法で移行するのかを定めます。一括で移行するのか、段階的に移行するのか、また平行運用していくのかなど、自社の状況に適したスタイルを検討しましょう。

移行体制を整える

移行要件を作成し終えたら、次は移行体制を整えます。具体的には、以下の3点を押さえる必要があります。

  1. データ移行のための必要な人材を整える
  2. 移行後の業務を運営するための人材を整える
  3. 移行後の保守・運用を担う人材を整える

ここで重要なのが、移行のための人材です。これは技術的な面ももちろんありますが、基本的には体制づくりが主となります。「作業実施者」「現場責任者」「システム監視者」「トラブルの伝令係」「問題管理係」などの役割分担を決めて、データに関わる権限者と統制者を分けます。特に移行中は、データが内外からの脅威に晒されるリスクがあるため、責任者や権限の有無をしっかり決めておかなければいけません。このとき、作業実施者は「運用チーム」、支援は「開発チーム」にそれぞれ配置しましょう。

また移行後に備えて、運用のための人材を教育する体制も整えておく必要があります。新しいシステムをスムーズに運用できるように、トレーニングの実施やマニュアル作成なども検討しておきましょう。

移行スケジュールを確定する

システム移行の遅れは、業務に支障をきたしてしまうため、できる限り避けなければなりません。移行が遅れないためにも、スケジュールを確実に策定することが大切です。そこでポイントとなるのが、「マイルストーン」の設定です。

マイルストーンとは、作業が遅延しないように設けられる節目です。作業をいくつかのプロセスに分けてスケジューリングし、それぞれ進捗管理を行います。こうすることで作業遅延を防止し、計画的に作業を進められます。

システム移行におけるマイルストーンは、主に「受入テスト」「移行判定」「システム移行」「利用開始」の4つを設定します。最初は移行のリハーサルとなる「受入テスト」で、本番を想定してスケジューリングしましょう。「移行判定」は、受入テストによって移行を実施できるかどうか判定するプロセスで、「テストケース項目の完了」「不具合改修」などを目安にします。これらが終われば、残るは「移行本番」と「業務利用の確認」のみです。

リカバリー策を検討する

どれほど綿密に計画しても、想定外のトラブルが発生する可能性は否定できません。そのために、あらかじめリカバリー策を検討しておく必要があります。事前に起こりうる問題を想定しておけば、システム移行時に何らかのトラブルが発生した際も、プランに沿った行動が可能です。

リカバリー策は、移行本番前と移行本番後の2つに分けられます。たとえば、本番前の受入テストで想定外のトラブルが発生し、進捗に大きな遅れが出た場合、「中止」「延期」のどちらかの判断を行わなければいけません。一方、移行後に問題が発生して、業務に支障が生じた場合は、移行前の状態に戻すことも想定する必要があります。

特に近年のシステムは複雑化しているため、急なトラブルへの対応は容易ではありません。難しい決断を迫られる事態もあらかじめ想定しておくことで、業務への影響を最小限に抑えられるでしょう。

リハーサル・移行判定を行う

リハーサルとなる受入テストは、「時間」「手順」を確認するために行います。まず、本番で遅延が発生しないように、時間を計測しながらリハーサルを行います。

たとえば、ゴールデンウィークなどの長期休暇に本番を実施する場合、その期間中に移行作業を終えられなければ、休暇明けの業務に支障が出るおそれがあります。各作業の所要時間を個別に計測しておくことで、狙い通りのタイミングに移行作業を終えられるうえ、遅延が発生した際もどのプロセスで問題が起きているのか判断しやすく、スムーズな対処が可能です。

また手順に関しては、移行タイムチャートを作成します。作業からデータの受け渡しまでを含めて、細かく設定しなくてはいけません。表作成の際は、縦軸に「作業内容」、横軸に「時間」「確認者」「作業者」「環境」などを記載します。処理確認後には「可否の判断ポイント」を決めておきましょう。

こうして作成したチャートには、リハーサルで計測した時間も記録します。もし問題が発生した場合は、障害管理表を作成してまとめます。これらが終われば、いよいよ本番へと移ります。

実際に移行する

入念な計画からリハーサルまで終わったら、あとは実際に移行を実施するのみです。リハーサルで作成したタイムチャートをもとに、作業を進めていきます。要件定義からリハーサルまで入念に行っていれば、問題が発生する可能性は低いですが、それでも予期せぬトラブルが起こることもあるため、その際はリカバリー策に移りましょう。

また、移行本番では以下の項目を判定基準とします。タイムチャートに問題がなく、これらの判定をクリアしていれば、稼働確認に移っても問題ないでしょう。

  • 移行においてエラーがない
  • エラーがあった場合でも、対応可能なものである
  • 移行処理が想定時間内に終了
  • 検証内容がOK
  • 移行後のデータ確認に問題がない
  • 新しいシステムのオンライン機能に問題がない

リアルテックジャパンのシステム移行支援

リアルテックジャパンでは、SAP製品の新規導入やクラウドシステムへの移行を全面サポートする、「プロフェッショナルサービス」を提供しています。本サービスでは、SAP製品に精通したエンジニアを揃え、「導入・移行」から「バージョンアップ・パッチ適用作業」「パラメータ設計」「パフォーマンスチューニング」「移行計画支援」など、幅広いご相談に対応します。

これまで多くの企業の問題を解決しており、豊富な作業実績があります。大規模なシステム移行や特殊なご相談なども受け付けており、最小限のダウンタイムや本番稼働を停止しない移行の実現も可能です。移行中にチューニングを行うので、稼働後も安定して作業を行えます。

システム移行にはさまざまなリスクがつきものです。自社だけで実施するのが不安な場合は、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ

基幹システムの移行計画においては、「要件定義作成」→「移行体制決定」→「スケジュール策定」→「リカバリー策検討」→「リハーサル」→「実施」を一連の流れとします。この計画をどれだけ細かく詰められるかによって、移行の成否が決まるといっても過言ではありません。

ノウハウのない企業では、しばしば計画が甘くなってしまい、想定外のトラブルによって失敗することも少なくありません。しかしシステム移行は、企業にとって避けては通れない道であることも事実です。そこでリアルテックジャパンでは、こうした企業のサポートを行っています。SAP製品に精通したエンジニアを多数揃え、移行の規模を問わずさまざまなお悩みに対応していますので、ぜひご検討ください。

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