二要素認証とは?仕組みや二段階認証との違い、導入のポイントを徹底解説

 公開日: 2022.02.04  更新日: 2026.05.13 

二要素認証とは?仕組みや二段階認証との違い、導入のポイントを徹底解説

近年、不正アクセスや情報漏えいのリスクが高まる中、セキュリティ強化の結論として二要素認証の導入が多くの企業で急務となっています。本記事では、二要素認証の基本となる仕組みや、混同されやすい二段階認証との違い、導入時のポイントを徹底解説します。

この記事で分かること

  • 二要素認証の仕組みと3つの要素
  • 二段階認証との明確な違い
  • パスワード認証に潜むセキュリティリスク
  • 導入時の注意点とコストなどの課題
  • シングルサインオン(SSO)との連携メリット

パスワードのみの認証に限界を感じている方や、安全かつ利便性の高いシステム構築を目指す担当者様は、自社のセキュリティ対策を最適化するための参考にしてください。

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二要素認証の基礎知識

二要素認証と二段階認証の違い 二要素認証 (異なる2つの要素を使用) 1. 知識要素 ID・パスワード 2. 所有要素 スマホ(ワンタイムパスワード) 要素が2種類 = セキュリティ高 二段階認証 (同一要素の組み合わせ例) 第1段階:知識要素 ID・パスワード 第2段階:知識要素 秘密の質問 段階は2つだが、要素は1種類 【認証の3要素】 知識要素(パスワード等) / 所有要素(スマホ・ICカード等) / 生体要素(指紋・顔等)

これまでは1つの要素のみで認証していたものが、2つの要素を組み合わせることにより、セキュリティの強化を図る手法を「二要素認証」といいます。従来の認証画面の大半は、IDとパスワードを入力するだけでした。それに対して二要素認証では、3つの要素の中から、2つ揃っていないと認証が行えません。

総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」においても、多要素認証は「知識情報」「所持情報」「生体情報」のうち2つ以上を組み合わせて認証することを指し、そのうち2つの要素を使うものを二要素認証と定義しています。

二要素認証の仕組みと3つの要素

二要素認証の仕組みは、下表のとおり3つの要素に分類されます。

要素の種類 概要 具体例
知識要素 本人のみが知っている情報 パスワード、PINコード、秘密の質問など
所有要素 本人のみが所有しているもの スマートフォン、ICカード、ハードウェアトークンなど
生体要素 本人自身の身体的な特性 指紋、顔認証、静脈認証など

基本的に、この3つの要素がベースにあり、前述したIDとパスワードの認証パターンは、本人のみが知っている知識要素に一致するため、一要素認証といえます。以下でそれぞれの要素について詳しく解説します。

知識要素(パスワード・秘密の質問など)

「知識要素」とは、本人のみが知っている情報を指します。最もよく活用されている要素で、IDやパスワードなど、本人が記憶している情報をもとに認証を行います。表示画像に含まれている数字やアルファベットなどの文字情報を入力したり、「秘密の質問」という項目で、母親の旧姓や好きな食べ物などを回答したりする認証方式です。

所有要素(スマートフォン・ICカードなど)

「所有要素」とは、文字通り、本人が所有しているものを指しており、銀行のキャッシュカードやスマートフォン、ハードウェア型のトークンなどによって認証する方式です。

二要素認証の代表的なものとして、身近な例を挙げるとすれば、銀行のATMがあります。キャッシュカードは本人のみが持っている所有要素に、暗証番号は本人のみが知っている知識要素にあたります。この2つが揃わないと、ATMからお金は引き出せないため、二要素認証に一致します。

その他、インターネットバンキングなどで、IDとパスワードに加え、スマートフォンアプリに表示される、ワンタイムパスワードを要求するケースがあり、これもIDとパスワードの知識要素と、スマートフォンアプリの所有要素を組み合わせた、二要素認証といえるでしょう。

生体要素(指紋・顔認証など)

「生体要素」とは、本人自身の特性を指します。本人が記憶しておく必要のない、本人の指紋や顔、静脈といった、身体的な情報を要素として扱います。第三者への情報漏えいのリスクが少ないため、安全性が高いとされていましたが、時代の進化に伴い、近年では単一で絶対に安全とはいえなくなりつつあります。

二段階認証との違い

サービスやシステムにログオンする時に、「2つの段階を踏んで認証を行う」認証を、「二段階認証」といいます。よくある例としては、まずIDとパスワードを入力し、次の画面で「秘密の質問」を回答し、両方の入力情報が正しいと認証されれば、ログオンが完了するといったものです。

二段階認証では、それぞれの認証時に3つの要素の中から、同一の要素を活用するケースもあれば、複数の要素を活用するケースもあります。前述した「ID+パスワード」と「秘密の質問」の組み合わせは、両方とも知識要素なので、一般的な二段階認証となります。

また、最近増えてきているのは、会員サイトにログオンする時、ID+パスワードでまず認証し、次に手持ちのスマートフォンなどへ送られてきたコードを入力して認証するケースです。この場合、サイトにログオンするためには知識要素だけではなく、所有要素であるコードも必要になるため、二要素認証と一致します。

二要素認証と二段階認証の違いを整理すると、以下のようになります。

  • 二要素認証は、認証に用いる「要素の数」が2つあること
  • 二段階認証は、認証の「段階(ステップ)」が2つあること

二要素認証は、異なる2つの要素を要求されるため、必然的に二段階を踏むことになります。したがって、二要素認証でもあり、二段階認証であるともいえるのです。二段階あるいは、それ以上の複数段階にわたって認証を行ったとしても、1つの要素しか活用されていなければ、それは二要素認証ではありません。

二段階認証は、異なる2つの要素を組み合わせる場合と、同じ要素を組み合わせる場合があるため、あくまで段階が2つあるというプロセスであり、二要素認証は要素の数で区別される、と覚えておけばわかりやすいでしょう。

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二要素認証が求められる背景と重要性

一要素認証と二要素認証の比較 パスワードのみ (一要素) ID・パスワード 漏えいすると... 不正ログインの危険大 セキュリティ:低い 二要素認証 ID・パスワード スマホ / 生体 不正ログインをブロック セキュリティ:高い

現在は、従来の二段階認証よりも、セキュリティの強化が見込める、二要素認証が求められる状況にあります。両者は混同されがちですが、まったく異なるものであり、過失によるパスワード等の情報流出や、ハッキングによる情報漏えいに対する、セキュリティの堅牢性もまるで異なります。

パスワードのみの認証に潜むセキュリティリスク

IDとパスワードで、セキュリティリスクを回避しようと試みても、数文字程度の短いパスワードでは、対策としては不十分です。文字列の長いパスワードに変更し、頻繁に更新を行ったとしても、所有者の記憶力には限界があるため、現実的とはいえません。覚えにくいからといって、どこかにメモをしておくケースもゼロではなく、あっさりと情報漏えいに陥る可能性が高くなります。

また、警察庁が公表している不正アクセス行為の発生状況によると、不正アクセスの多くがIDやパスワードの窃取によるものです。パスワードのみに依存した一要素認証では、フィッシング詐欺やパスワードリスト攻撃などによってパスワードが漏えいした場合、第三者に簡単に不正ログインを許してしまう危険性があります

情報漏えい対策としての有効性

サービス提供者側のミスやハッキングによって、個人情報が大量流出し、IDやパスワードに加えて、設定しておいた「秘密の質問」への回答も漏れてしまうと、二段階認証の意味がなくなってしまいます。二要素認証を活用すれば、利用者に負担をかけることなく、セキュリティの強化が期待できるのです。

さらに、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表している「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、ランサムウェアによる被害や内部不正による情報漏えいなどが上位に挙げられています。これらの脅威に対抗するためにも、システムへのアクセス権限を厳格に管理し、情報漏えいを未然に防ぐことが重要です

下表のとおり、パスワードのみの認証と二要素認証では、セキュリティの強固さに大きな違いがあります。二要素認証を導入することで、万が一パスワードが漏えいしても、所有要素や生体要素といった別の要素がなければログインできないため、情報漏えいのリスクを大幅に低減できます。

認証方式 セキュリティリスク 情報漏えい対策としての有効性
パスワードのみの認証(一要素認証) パスワードが漏えいした場合、容易に不正ログインされる危険性が高い 低い
二要素認証 パスワードが漏えいしても、別の要素が必要なため不正ログインを防ぎやすい 高い

二要素認証導入時の注意点と課題

二要素認証導入時の3つの注意点と課題 導入・運用コスト 💰 専用デバイスは高コスト スマホアプリや電子証明書 の活用で費用削減が可能 デバイスの紛失・管理 📱 業務停止や不正アクセスの罠 紛失時の迅速な利用停止と 代替手段の事前準備が必須 生体情報の盗難・偽装 👆 生体情報は容易に変更不可 他要素との組み合わせや 生体検知機能の導入を推奨

二要素認証はセキュリティを大幅に強化できる一方で、導入や運用にあたっていくつかの注意点と課題が存在します。ここでは、主にコスト、物理デバイスの管理、生体情報の保護という3つの観点から詳しく解説します。

認証サービス導入にかかるコスト

二要素認証サービスの導入において、企業が直面しやすい課題の1つが導入および運用にかかるコストです。

ICカードやカードリーダー、ワンタイムパスワードを発行するための専用トークンなどを利用する場合、従業員数に応じたデバイスの購入費用が発生します。さらに、生体認証を導入するケースでも、読み取り用の専用装置を端末の台数分用意するなど、必然的にコストがかかります。

しかし、最近では専用のハードウェアを用意しなくても導入できる方式が普及しています。下表のとおり、スマートフォンアプリや電子証明書を活用することで、コストを抑えつつ二要素認証を実装することが可能です。

認証方式 コストの傾向 特徴
ハードウェアトークン・ICカード 高い 専用デバイスの購入・配布費用がかかる
スマートフォンアプリ(認証アプリ) 低い 従業員個人の端末や業務用スマートフォンを活用でき、初期費用を抑えやすい
電子証明書(デバイス認証) 中程度 証明書の発行・管理システムが必要だが、物理デバイスの追加購入は不要

これらの代替手段を適切に選択することで、ハード面でのコスト問題の解決につながるでしょう。

トークンなど物理デバイスの紛失・管理リスク

ハードウェアトークンやICカード、スマートフォンなどの物理デバイスを所有要素として利用する場合、紛失や盗難、およびそれらの管理リスクに注意しなければなりません。

万が一、従業員がデバイスを紛失した場合、システムへログインできなくなり業務が停止するだけでなく、悪意のある第三者の手に渡れば不正アクセスの足がかりとなるおそれがあります。そのため、物理的な管理に加えて、紛失時の迅速な利用停止手順や、代替手段による一時的なログイン方法をあらかじめ定めておく必要があります。

また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)などの公的機関も、不正ログイン対策として多要素認証の設定を強く推奨していますが、同時に認証情報の適切な管理が不可欠であると警鐘を鳴らしています。

生体情報の盗難・偽装リスクへの対策

生体情報を活用した生体認証は「バイオメトリクス認証」ともいい、本人の指紋や顔、静脈といった身体的な情報を要素として認証を行います。紛失の危険性が低く、利便性が高いため、最近ではスマートフォンに実装されていたり、オフィスの関係者入口での認証に活用されたりと、幅広いシーンでよく見かけます。

これまで、安全性が高いとされていた生体認証も、技術の進歩によって、生体情報が盗難・偽装されるリスクもゼロではなくなっています。例えば、写真に写った人間の手から指紋の部分を拡大・スキャンして情報を抜き取ったり、現在の高機能を有したプリンターを活用して静脈情報や虹彩情報を紙に印刷し、認証を突破してしまったりすることも想定されます。また、カメラも高画質・高解像度のものが数多く登場しているため、生体認証の偽装がより不可能ではなくなっているのです。

生体情報はパスワードのように漏えいしたからといって容易に変更することができません。そのため、以下のような対策を講じることが重要です。

  • 生体情報をデバイス内のセキュアな領域のみに保存し、サーバーへ送信しない仕組みを採用する
  • 生体認証単体に依存せず、知識要素や所有要素と組み合わせた厳格な二要素認証として運用する
  • 偽装を見破る生体検知機能が搭載された、精度の高い認証システムを導入する

このようなリスクをきちんと懸念しておかなければ、盗まれた生体情報が悪用されるおそれもあります。適切なシステムを活用したセキュリティ管理のもと、データの保護を行うことが求められています。

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シングルサインオンとの連携による利便性向上

シングルサインオン(SSO) × 二要素認証 ユーザー 1度の認証 SSO シングルサインオン 二要素認証(2FA) クラウド SAP 社内システム 組み合わせのメリット ✔ 高セキュリティ ✔ 利便性向上 ✔ コスト削減

これまで、二要素認証の重要性や導入時の注意点について紹介してきましたが、シングルサインオン(SSO)機能を活用すれば、1度だけのログオンで、個別のシステムすべてにアクセスできるという非常に高い利便性を誇ります。ここでは、シングルサインオン機能の概要と、二要素認証と組み合わせるメリットについて詳しく解説します。

シングルサインオン機能とは

シングルサインオンとは、1度のユーザー認証を行うだけで、連携している複数のシステムやクラウドサービスすべてにアクセスできる仕組みのことです。従来は、利用するサービスごとに個別のIDとパスワードを入力する必要がありましたが、シングルサインオンを導入することでその手間を省くことができます。

パスワードは、企業のパスワードポリシーに従って管理されるため、セキュリティの堅牢性も高く、社内のヘルプデスクへのパスワードリセットの依頼も減ることから、コストの削減にも期待できるでしょう。シングルサインオンの主な仕組みには、下表のとおりいくつかの方式があります。

認証方式 特徴と仕組み
エージェント方式 各Webサーバーに専用のソフトウェアを組み込み、認証サーバーと連携してアクセス制御を行う方式です。
リバースプロキシ方式 ブラウザとWebサーバーの間に中継サーバーを設置し、そこで認証を処理してから各システムへアクセスさせる方式です。
SAML認証方式 異なるドメイン間で認証情報を安全にやり取りするための標準規格を用いた方式で、多くのクラウドサービスで採用されています。

もちろん、二要素認証にも対応しており、SAPのシングルサインオン機能を活用することで、以下の3つのシナリオをサポートしてくれるため、導入時の注意点への対策にもつながります。

  • SAPビジネスアプリケーションのシングルサインオン
  • 異機種環境でのシングルサインオン
  • クラウドベース、企業間シナリオでのシングルサインオン

二要素認証と組み合わせるメリット

シングルサインオンは利便性が高い反面、万が一その1つの認証情報が第三者に漏えいした場合、連携しているすべてのシステムに不正アクセスされてしまうリスクを伴います。この弱点を補うために不可欠なのが、二要素認証との組み合わせです。二要素認証とシングルサインオンを組み合わせることで、以下のようなメリットが得られます。

  • 強力で信頼性の高い認証の実現:1つのパスワードにもかかわらず、所有要素や生体要素を組み合わせることで、セキュリティ面において強力で信頼性の高い認証が実現できます。
  • パスワード管理の集約と保護:付箋などによるパスワードを管理するリストを省略できるため、全パスワードが集中的に保護・管理される点が心強いです。
  • 管理コストの削減:サーバー側のセキュリティ機能を効率的にセットアップし、管理するための機能が付随しているため、コストが削減されます。ユーザーは複数ではなく、1つのパスワードを覚えればよいので、パスワードリセットなどのヘルプデスクへの依頼が減ります。
  • 導入ステップのシンプル化:短期間の導入プロジェクトで済むため、費用対効果の高さも期待できる上、多数あるシステムへのパスワード配信や保護・リセットの必要もなく、システム間でのパスワードポリシーの管理もいりません。

二要素認証に関するよくある質問

二要素認証と二段階認証の違いは何ですか?

二要素認証は異なる2つの要素を組み合わせますが、二段階認証は同じ要素を2回要求する場合も含まれます。

二要素認証の3つの要素とは何ですか?

パスワードなどの知識要素、スマートフォンなどの所有要素、指紋などの生体要素の3つです。

スマートフォンを紛失した場合はどうなりますか?

事前に発行されたバックアップコードを使用するか、管理者に連絡して設定をリセットする必要があります。

二要素認証の導入には費用がかかりますか?

無料の認証アプリを利用すれば費用を抑えられますが、物理デバイスを導入する場合はコストが発生します。

シングルサインオンと連携できますか?

可能です。連携させることで、高いセキュリティを保ちながらユーザーの利便性を向上させることができます。

まとめ

二要素認証は、知識、所有、生体のうち2つの要素を組み合わせることで、情報漏えいリスクを大幅に低減できる重要なセキュリティ対策です。導入コストや紛失リスクといった課題はありますが、シングルサインオンと連携することで利便性を損なわずに安全性を高めることができます。

当社はSAPのスペシャリストとして、豊富な知見と実績をもとに、最適なソリューションをご提案します。SAPに関するご相談やお見積りのご依頼は、ぜひお気軽にリアルテックジャパンにお問い合わせください。

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【本記事の監修体制について】

執筆:リードプラス株式会社

監修:リアルテックジャパン株式会社SAPソリューション事業

この記事は、SAP導入プロジェクトの豊富な経験を持つ当社の専門部門が内容を精査し、 以下の最終承認プロセスを経て公開しています。

最終監修責任者:リアルテックジャパン株式会社 代表取締役社長 松浦 一哉

企業の代表として、お客様の課題解決に繋がる有益で正確な情報発信に責任を持って取り組んでまいります。

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