IDaaSとは 機能やメリット、IAMとの違いについて解説

 公開日: 2026.03.02  リアルテックジャパン株式会社

利用するクラウドサービスが増え、ID・パスワードの管理が煩雑になっていませんか?テレワークの普及に伴い、セキュリティ対策に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。その課題、IDaaS(Identity as a Service)が解決の鍵を握るかもしれません。

One Identity Manager(OIM)で可能にする効率的なID管理

この記事でわかること

  • IDaaSの基本的な意味とIAMとの違い
  • シングルサインオン(SSO)や多要素認証(MFA)といった主要な機能
  • IDaaS導入によるセキュリティ向上や業務効率化などのメリット
  • 導入時のコストや注意すべきデメリット
  • 自社に最適なIDaaSを選ぶための具体的な選定ポイント

「サービスごとにIDとパスワードを設定・管理するのが大変…」「退職者のアカウント削除漏れが心配…」こうした悩みは、多くの企業が抱える共通の課題です。一見難しく感じるかもしれませんが、IDaaSはこれらの課題を解決するために生まれたクラウド型のID管理・認証サービスです。IDaaSを導入することで、セキュリティを強化しつつ、管理者と利用者の双方の負担を大幅に削減できます。この記事を最後まで読めば、IDaaSの全体像を正しく理解し、自社への導入を具体的に検討できるようになります。

IDaaSの基礎知識

複数のクラウドサービスを業務で利用することが当たり前になった現代、ID管理の複雑化は多くの企業にとって喫緊の課題です。その解決策として注目されているのが「IDaaS」です。一見難しく感じるかもしれませんが、IDaaSはクラウド時代のID管理をシンプルかつ安全にするためのサービスです。この章では、IDaaSの基本的な概念から、なぜ今必要とされているのか、そして関連用語との違いまでを分かりやすく解説します。

IDaaSの定義と概要

IDaaS(アイダース)とは、「Identity as a Service」の略称で、ID認証やID管理をクラウドサービスとして提供する仕組みのことです。 従来、企業内のID管理はActive Directory(AD)のようなオンプレミス型のシステムが主流でした。しかし、Microsoft 365やSalesforce、Google Workspaceといったクラウドサービスの利用が拡大するにつれて、社内外に点在するID情報を個別に管理する負担が増大しました。IDaaSは、これらの様々なサービスで使用するIDとパスワードの情報をクラウド上で一元的に管理し、安全なアクセスを実現します。 近年、ゼロトラストセキュリティの考え方が広まる中で、IDaaSはその中核を担うソリューションとして市場規模も急拡大しています。

IDaaSが求められる背景

では、なぜ今、多くの企業でIDaaSが求められているのでしょうか。その背景には、働き方やIT環境の大きな変化が関係しています。主な理由を3つの観点から見ていきましょう。

クラウドサービスの普及とテレワークの拡大

IDaaSが注目される最大の理由は、クラウドサービスの業務利用が一般化し、働く場所がオフィスに限定されなくなったことです。総務省の調査によれば、クラウドサービスを利用する企業の割合は年々増加傾向にあります。 これにより、従業員は社内システムだけでなく、多数のクラウドサービスにアクセスする必要が出てきました。さらに、テレワークの普及によって、自宅や外出先など社外のネットワークから業務システムへアクセスする機会が急増し、従来の「社内は安全、社外は危険」という境界型セキュリティモデルでは対応が困難になったのです。

従来のID管理システムの課題

クラウドサービスの普及以前は、Active Directory(AD)に代表されるオンプレミス型のID管理システムが一般的でした。しかし、この従来型のシステムには、現代のIT環境においていくつかの課題が顕在化しています。

  • 管理の煩雑化: ADは社内(オンプレミス)のID管理を前提としており、クラウドサービスごとにIDを作成・管理する必要がありました。これにより、入社や退職、部署異動のたびに情報システム担当者が各サービスで手作業によるアカウント変更を行う必要があり、管理が非常に煩雑になっていました。
  • ID・パスワードのサイロ化: サービスごとにIDとパスワードが乱立し、連携が取れていない状態(サイロ化)に陥りがちです。これにより、ユーザーは多数のパスワードを覚えなければならず、結果としてパスワードの使い回しといった危険な行動を誘発する原因にもなります。
  • コストの増大: オンプレミス型のシステムは、サーバーの購入や維持管理、ソフトウェアのライセンス費用など、物理的なコストと人的な運用コストの両方がかかります。

セキュリティリスクの増大

クラウド化とテレワークの進展は、利便性を向上させる一方で、新たなセキュリティリスクを生み出しました。IDとパスワードといった「認証情報」を狙ったサイバー攻撃が巧妙化・増加しているのです。具体的には、以下のようなリスクが挙げられます。

  • 不正アクセス: 脆弱なパスワードの設定やパスワードの使い回しにより、一つのサービスから漏洩した認証情報が他のサービスへの不正アクセスに悪用されるケース。
  • アカウント乗っ取り: フィッシング詐欺などによって認証情報を窃取され、なりすましによる不正操作や機密情報の漏洩につながるケース。
  • 退職者アカウントの放置: 退職した従業員のアカウントが削除されずに放置され、不正アクセスの温床となる、あるいは内部情報を持ち出されるケース。

これらのリスクから企業の重要な情報資産を守るため、より強固で効率的なID管理・認証の仕組みが不可欠となっています。

IAMとIDaaSの違い

IAMとIDaaSは混同されやすい用語ですが、指しているレイヤーが異なります
この違いを理解するには、「考え方(概念)」と「実装方法(提供形態)」を分けて捉えることが重要です。

IAMとは何か

IAM(Identity and Access Management)とは、「誰が」「何に」「どの権限で」アクセスできるのかを管理するための考え方や仕組み全体を指します。
特定の製品やサービス名ではなく、ID管理・認証・認可・権限管理・監査といった要素を含むセキュリティ管理の枠組みがIAMです。

IDaaSとは何か

IDaaS(Identity as a Service)は、IAMの機能をクラウドサービスとして提供する形態を指します。
ユーザー認証やシングルサインオン、多要素認証、アカウント管理などを、クラウド上で一元的に利用できる点が特徴です。

クラウド型IAMとIDaaSの関係

一般に「クラウド型IAM」と呼ばれているものの多くは、実体としてはIDaaSです。
IAM自体は概念であり、「クラウド型」「オンプレミス型」といった区別は本来ありません。
・IAMをクラウドで提供したもの → IDaaS
・IAMを自社環境で構築したもの → オンプレミス型IAM
という関係で整理すると、違いが明確になります。
重要なのは「IAMかIDaaSか」を選ぶことではなく、IAMという考え方を、どの形で実装するかを判断することです。
クラウドサービスを多く利用し、運用負荷を抑えたい企業ではIDaaSが有効であり、
厳格な制御や独自要件が多い場合にはオンプレミス型IAMが選択されるケースもあります。

One Identity Manager(OIM)で可能にする効率的なID管理

IDaaSが持つ主な機能

IDaaSが持つ主な機能

IDaaSは、多くの企業が直面しているID管理の課題解決に有用な多機能プラットフォームです。一見、複雑に思えるかもしれませんが、その主要な機能はID管理の効率化とセキュリティ強化という2つの目的に集約されます。ここでは、IDaaSが提供する代表的な5つの機能について、それぞれがどのように企業のIT環境を改善するのかを詳しく見ていきましょう。

シングルサインオン(SSO)

シングルサインオン(SSO)は、一度の認証で複数のクラウドサービスやアプリケーションにログインできる仕組みです。この機能は、ユーザーの利便性向上とセキュリティ強化を両立させる、IDaaSの中核的な機能と言えるでしょう。

SSOの仕組み

では、SSOはどのようにして一度の認証で複数のサービスへのログインを可能にするのでしょうか。その鍵は、IDaaSが「IdP(Identity Provider)」と呼ばれる認証情報を提供する役割を担う点にあります。

ユーザーが最初にIDaaSにログインすると、IDaaSはそのユーザーが本人であることを証明する認証情報を発行します。その後、ユーザーが連携先のサービス(SP:Service Provider)にアクセスすると、SPは認証をIDaaSに問い合わせます。IDaaSが発行した有効な認証情報があれば、ユーザーはパスワードを再入力することなくサービスにログインできるのです。この一連の連携により、安全かつスムーズなアクセスが実現します。

SSOのメリット

SSO導入のメリットは、まずユーザーの生産性向上が挙げられます。例えば、Microsoft 365、Salesforce、Slackなど、業務で利用する多数のサービスにログインするたびにIDとパスワードを入力する手間がなくなります。これにより、従業員は本来の業務に集中できるようになります。

さらに、管理者視点ではセキュリティリスクの低減も大きなメリットです。サービスごとに異なる複雑なパスワードを覚える必要がなくなるため、パスワードの使い回しや、「password123」のような単純なパスワードの設定、付箋にメモしてPCに貼るといった危険な行為を防ぐことができます。結果として、パスワード漏洩による不正アクセスのリスクを大幅に削減できるのです。

多要素認証(MFA)

多要素認証(MFA)は、IDとパスワードだけに頼らない、より強固な本人確認の仕組みです。万が一パスワードが漏洩しても、複数の認証要素を組み合わせることで不正アクセスをブロックし、企業の重要な情報資産を保護します。

多要素認証の種類

多要素認証で利用される認証要素は、大きく分けて3つの種類があります。セキュリティレベルを高めるためには、これらの異なる種類の要素を2つ以上組み合わせることが原則です。

認証要素の種類 概要 具体的な認証方法の例
知識情報 本人だけが知っている情報 IDとパスワード、PINコード、秘密の質問
所持情報 本人が所有しているモノ スマートフォンへのプッシュ通知、SMS認証コード、ワンタイムパスワード(OTP)、ICカード、物理セキュリティキー
生体情報 本人の身体的な特徴 指紋認証、顔認証、虹彩認証、静脈認証

セキュリティ強化への貢献

近年のサイバー攻撃は巧妙化しており、フィッシング詐欺などによってパスワードが盗まれるケースは後を絶ちません。IDaaSの多要素認証を導入することで、たとえパスワードが破られたとしても、攻撃者は次の認証(例えば、利用者のスマートフォンへの通知)を突破できないため、不正ログインを未然に防ぐことができます。実際に、多くの調査でMFAの利用が不正アクセス防止に極めて効果的であることが示されており、企業のセキュリティ対策において必須の機能となっています。

ID情報の一元管理

IDaaSを導入することで、社内で利用されている様々なサービスのユーザーID情報を一元的に管理できるようになります。これにより、情報システム部門の管理業務は劇的に効率化されます。

アカウントのライフサイクル管理

従業員の入社、異動、退職といった一連の流れを「アカウントライフサイクル」と呼びます。IDaaSは、このライフサイクルに合わせたアカウント管理を自動化する上で重要な役割を果たします。

  • 入社時(プロビジョニング):人事システムと連携し、新入社員の情報が登録されると同時に、業務に必要なサービスのアカウントを自動で作成し、適切な権限を付与します。
  • 異動・昇進時:部署や役職の変更に応じて、アクセス権限を自動で更新します。これにより、不要になった権限が残存するリスクを防ぎます。
  • 退職時(デプロビジョニング):退職者のアカウントを即座に、かつ一括で無効化・削除します。これにより、退職者アカウントの放置による情報漏洩リスクを確実になくすことができます。

ディレクトリサービスとの同期

多くの企業では、既にオンプレミス環境でActive Directory(AD)などのディレクトリサービスを利用してユーザー情報を管理しています。IDaaSはこれらの既存システムとスムーズに連携(同期)することが可能です。AD上のユーザー情報をIDaaSに同期させることで、オンプレミスとクラウドのID情報を一貫性のある状態で管理でき、ハイブリッド環境におけるID管理の複雑さを解消します。

ID認証とアクセス制御

IDaaSの役割は、単にユーザーを認証するだけではありません。誰が、いつ、どこから、どの情報にアクセスできるのかを細かく制御する「アクセス制御」機能も、セキュリティを確保する上で不可欠です。

権限管理の重要性

権限管理の基本は「最小権限の原則」です。これは、ユーザーに業務遂行上、必要最小限の権限のみを与えるという考え方です。過剰な権限は、内部不正の温床になったり、マルウェア感染時の被害を拡大させたりする原因となります。IDaaSによって適切な権限管理を行うことは、企業の内部統制を強化し、様々なリスクを低減させる上で非常に重要です。

アクセス権限の付与と制限

IDaaSでは、柔軟かつ強力なアクセスポリシーを設定できます。これにより、ゼロトラストセキュリティの実現に近づくことができます。

  • 役割ベースのアクセス制御(RBAC):営業部、開発部といった部署や役職(ロール)に基づいてアクセス権限をグループ化し、効率的に管理します。
  • 条件付きアクセス(コンディショナルアクセス):IPアドレス(例:社内ネットワークからのみアクセス許可)、デバイスの種類(例:会社支給のPCのみ許可)、時間帯(例:業務時間内のみ)といった様々な条件を組み合わせて、アクセスを動的に制御します。これにより、不審なアクセスをリアルタイムでブロックすることが可能になります。

アクセスログの管理と監査

「誰が、いつ、どのシステムにアクセスし、何をしたか」を記録するアクセスログは、セキュリティを維持するための生命線です。IDaaSは、連携する全てのサービスへのアクセスログを一元的に収集・管理する機能を提供します。

ログ記録の重要性

アクセスログを適切に記録・保管することは、セキュリティインシデント発生時の原因究明や影響範囲の特定に不可欠です。また、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得や、J-SOX法(内部統制報告制度)といったコンプライアンス要件への対応においても、ログの記録と定期的な監査が求められます。

インシデント対応への活用

IDaaSのログ管理機能は、不正の兆候を早期に発見するためにも活用できます。例えば、以下のような不審なアクティビティを検知し、管理者にアラートを通知することが可能です。

  • 深夜や早朝など、通常業務時間外のログイン
  • 短時間での大量のログイン失敗
  • 海外のIPアドレスからの不審なアクセス
  • 退職したはずの従業員アカウントによるログイン試行

これらのログを監視・分析することで、インシデントが深刻化する前に迅速な対応をとることができ、被害を最小限に抑えることにつながります。

IDaaSの認証方式

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IDaaSのセキュリティと利便性を支えているのが、その裏側で動いている「認証方式」です。一見複雑に感じるかもしれませんが、IDaaSがどのようにして安全かつスムーズなログインを実現しているのか、その仕組みを理解することは、自社に最適なサービスを選定する上で非常に重要です。IDaaSは、SAMLやOpenID Connectといった標準化されたプロトコル(通信規約)を巧みに利用することで、多様なサービス間の認証連携を可能にしています。 この章では、IDaaSを支える主要な認証方式について、その仕組みと特徴を分かりやすく解説していきます。

シングルサインオンの認証方式

シングルサインオン(SSO)を実現するための技術的なアプローチは一つではありません。IDaaSは、連携するサービスの仕様や要件に応じて、複数の認証方式を使い分けています。では、具体的にどのような方式があるのでしょうか? 主なSSOの認証方式を以下の表にまとめました。

認証方式 概要 メリット デメリット
フェデレーション方式 SAMLやOpenID Connectなどの標準プロトコルを用いて、IDaaS(IdP)と各サービス(SP)間で認証情報を安全に連携する方式。 ・セキュリティが高い
・標準技術のため多くのサービスが対応
・連携先サービスも同じプロトコルに対応している必要がある
代理認証(フォームベース認証)方式 ユーザーの代わりにIDaaSがIDとパスワードを代理で入力する方式。ブラウザの拡張機能などを利用して実現されることが多い。 ・連携先サービスの改修が不要
・SAML非対応のサービスにも導入可能
・パスワードをIDaaSに保管する必要がある
・ログイン画面の仕様変更に弱い
リバースプロキシ方式 社内ネットワークと外部サービスの間にリバースプロキシサーバーを設置し、そこですべての通信を中継して認証を行う方式。 ・エージェントのインストールが不要
・多様なアプリケーションに対応可能
・ネットワーク構成の変更が必要
・通信がプロキシに集中するためボトルネックになる可能性
エージェント方式 連携したいWebサーバーに「エージェント」と呼ばれるソフトウェアを導入し、認証情報をやり取りする方式。 ・詳細なアクセス制御が可能
・リバースプロキシ方式より柔軟な構成が可能
・各サーバーへのエージェント導入・管理の手間がかかる

これらの方式の中で、現在のクラウドサービス連携において最も主流となっているのが「フェデレーション方式」です。特に、次に解説するSAML認証は、多くの法人向けSaaSで採用されています。

SAML認証の仕組み

多くのIDaaSで中心的な役割を担っているのが「SAML(Security Assertion Markup Language)」認証です。 SAMLは、異なるインターネットドメイン間でユーザーの認証情報と属性情報を安全に交換するためのXMLベースの標準規格です。 では、具体的にSAMLはどのような仕組みでシングルサインオンを実現しているのでしょうか?

SAMLの基本概念

SAMLの仕組みを理解するためには、まず3つの登場人物の役割を知る必要があります。

  • ユーザー(Principal): サービスを利用したい本人。通常はWebブラウザを介して操作します。
  • IdP(Identity Provider): ユーザーのID情報を管理し、認証を行う役割を担います。IDaaS製品(例: Okta, Microsoft Entra ID)がこれにあたります。
  • SP(Service Provider): ユーザーが利用したいサービスを提供します。Microsoft 365やSalesforceなどのSaaSがこれにあたります。

SAML認証では、IdPがユーザーの本人確認を行った後、「SAMLアサーション」と呼ばれるXML形式の証明書を生成します。 このアサーションには、「このユーザーは確かに本人です」という認証結果や、ユーザー名、所属部署といった属性情報が含まれており、SPはこの証明書を受け取って内容を信頼することで、ユーザーのログインを許可するのです。

SAMLによるSSO実現方法

SAMLによるSSOのプロセスには、ユーザーが最初にSPへアクセスする「SP-Initiated」フローと、最初にIdPへアクセスする「IdP-Initiated」フローの2種類があります。 ここでは、より一般的な「SP-Initiated」フローを例に、その流れを解説します。

  1. ユーザーが利用したいクラウドサービス(SP)にアクセスします。
  2. SPはユーザーが未認証であることを確認し、認証を要求するメッセージ(SAMLリクエスト)を生成して、ユーザーのブラウザをIdPへリダイレクトさせます。
  3. ユーザーはIdPのログイン画面でIDとパスワードを入力し、認証を受けます。(多要素認証が設定されている場合は、追加の認証も行います)
  4. IdPは認証が成功すると、認証情報を含む「SAMLアサーション」にデジタル署名を付けて生成し、ユーザーのブラウザを介してSPへ送り返します。
  5. SAMLアサーションを受け取ったSPは、そのデジタル署名を検証し、内容が正当であることを確認します。
  6. 検証に成功すると、SPはユーザーのログインを許可し、サービスが利用可能になります。

このように、ユーザーのパスワードそのものはSPに渡ることなく、IdPが発行した信頼できる「証明書」をやり取りすることで、安全なシングルサインオンが実現されています。

その他の認証プロトコル

IDaaSの世界ではSAMLが広く使われていますが、用途に応じて他のプロトコルも重要な役割を果たしています。特に「OpenID Connect」と「OAuth」は、現代のWebサービスやアプリを支える上で欠かせない技術です。

プロトコル 主な目的 データの形式 主な利用シーン
SAML 2.0 認証 XML 法人向けクラウドサービス(SaaS)間のSSO
OpenID Connect (OIDC) 認証 JSON (JWT) コンシューマー向けサービス、モバイルアプリ、SPA(シングルページアプリケーション)でのSSO
OAuth 2.0 認可 JSON あるアプリが別のアプリのデータ(API)にアクセスする際の権限付与

OpenID Connect (OIDC)は、OAuth 2.0という「認可」の仕組みを拡張して作られた「認証」のためのプロトコルです。 皆さんも「Googleアカウントでログイン」や「Facebookでログイン」といった機能を使ったことがあるかもしれませんが、これらの多くはOIDCの技術を利用しています。SAMLがXMLをベースにしているのに対し、OIDCはJSONという軽量なデータ形式を用いるため、特にモバイルアプリやモダンなWebアプリケーションとの親和性が高いのが特徴です。

一方で、OAuth 2.0は認証ではなく「認可」を専門とするプロトコルです。 例えば、「カレンダーアプリにGoogleアカウントの連絡先へのアクセスを許可しますか?」といった同意画面がOAuthの役割です。これは、ユーザーのパスワードを教えることなく、特定の機能やデータへのアクセス権限(トークン)だけを安全にアプリに与える仕組みです。 IDaaSにおいても、API連携時のアクセス制御などで活用されています。

IDaaS導入のメリット

IDaaS導入のメリット

IDaaSの導入は、単なるITインフラの更新にとどまらず、企業経営に多岐にわたる恩恵をもたらします。一見すると管理者向けのツールに思えるかもしれませんが、実は従業員一人ひとりの働きやすさにも直結するソリューションです。具体的には、「ID管理業務の効率化」「セキュリティの向上」「業務生産性の向上」という3つの大きなメリットが挙げられます。では、それぞれどのように改善できるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

ID管理業務の効率化

IDaaS導入の最も直接的なメリットは、情報システム部門が担うID管理業務を劇的に効率化できる点にあります。これまで手作業に頼らざるを得なかった煩雑な業務を自動化し、管理者の負担を大幅に軽減します。

管理工数の削減

従来、従業員の入社、異動、退職のたびに、情報システム部門は利用するクラウドサービスや社内システムごとに手作業でアカウントの発行、権限変更、削除を行っていました。これは非常に時間のかかる作業であり、ヒューマンエラーが発生する原因にもなっていました。 IDaaSを導入することで、これらのアカウントのライフサイクル管理を自動化・一元化できます。 例えば、人事システムと連携すれば、人事情報が更新されると自動的に各システムのアカウント情報がプロビジョニング(同期・反映)されるため、管理工数を大幅に削減可能です。

人的リソースの最適化

アカウント管理やパスワードリセットといった定型的な業務から解放されることで、情報システム部門の担当者は、より付加価値の高い戦略的な業務にリソースを集中させることができます。 具体的には、以下のような業務へのシフトが可能です。

  • 全社的なセキュリティポリシーの策定・強化
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)推進のための新規ITサービスの企画・導入
  • サイバー攻撃への対策強化やインシデント対応体制の構築

このように、IDaaSは単なるコスト削減ツールではなく、企業の競争力強化に貢献する戦略的IT投資と位置づけることができます。

セキュリティの向上

クラウドサービスの利用拡大やテレワークの普及により、企業のセキュリティリスクは増大しています。IDaaSは、こうした現代のIT環境に不可欠なセキュリティ基盤を提供します。

多要素認証による不正アクセス防止

IDとパスワードだけの認証では、パスワードリスト攻撃などのサイバー攻撃によって容易に突破される危険性があります。IDaaSが提供する多要素認証(MFA)は、従来のID・パスワード(知識情報)に加えて、スマートフォンアプリへの通知(所持情報)や指紋・顔認証(生体情報)など、複数の異なる要素を組み合わせて本人確認を行うことで、不正アクセスを極めて困難にします。 実際にMicrosoft社の調査によれば、多要素認証を有効にすることでアカウント侵害のリスクを99%以上低減できると報告されており、その効果は絶大です。

ゼロトラストセキュリティへの対応

「社内は安全、社外は危険」という従来の境界型防御モデルは、もはや有効ではありません。そこで注目されているのが、「何も信頼しない」ことを前提に、すべてのアクセスを検証する「ゼロトラスト」という考え方です。 IDaaSは、このゼロトラストセキュリティを実現するための中心的な役割を担います。 ユーザー、デバイス、場所、ネットワークなど、あらゆる要素を検証し、信頼できるアクセスにのみ許可を与えることで、社内外を問わず情報資産を安全に保護します。

内部不正リスクの軽減

見落とされがちですが、退職した従業員のアカウントが削除されずに放置されることは、重大なセキュリティリスクとなります。IDaaSは、人事システムとの連携により、退職者のアカウントを自動的に削除・無効化する仕組みを構築できます。 これにより、悪意のある元従業員による情報漏洩や、放置されたアカウントの乗っ取りといった内部不正のリスクを大幅に軽減します。 また、誰がいつどのシステムにアクセスしたかのログを一元的に管理・監査できるため、不正の早期発見と抑止にも繋がります。

業務生産性の向上

IDaaSは、管理者だけでなく、システムを利用する全従業員の業務生産性を向上させる効果も持っています。

ユーザーの利便性向上

多くの従業員が、業務で利用する多数のクラウドサービスごとに異なるIDとパスワードを覚え、入力することにストレスを感じています。IDaaSのシングルサインオン(SSO)機能は、一度のログインで、連携されたすべてのサービスやアプリケーションにアクセスできる環境を提供します。 これにより、ログインにかかる手間や時間が削減され、従業員は本来の業務に集中できるようになります。 結果として、企業全体の生産性向上が期待できます。

サポートデスクの負担軽減

情報システム部門やヘルプデスクへの問い合わせの中で、非常に高い割合を占めるのが「パスワードを忘れた」という内容です。ある調査では、問い合わせの3割から5割がパスワードリセット関連とも言われています。IDaaSを導入し、従業員が覚えるべきパスワードが実質的に一つになることで、これらの問い合わせが激減し、サポートデスクの業務負担を大幅に軽減します。 これにより、サポートデスクはより専門的な問い合わせ対応に時間を割くことが可能になります。

IDaaS導入のデメリットと注意点

IDaaS導入のデメリットと注意点

IDaaSはID管理の効率化やセキュリティ強化に大きく貢献しますが、その導入はメリットだけではありません。導入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、事前にデメリットと注意点を正確に理解し、対策を検討することが不可欠です。ここでは、IDaaS導入における3つの主要な課題と、その対策について詳しく見ていきましょう。

運用コストの発生

まず考慮すべきは、継続的な運用コストです。IDaaSは一般的にクラウドサービス(SaaS)として提供されるため、オンプレミス型のシステムとは異なるコスト構造を持っています。

サブスクリプション費用

IDaaSの利用には、ユーザー数や利用機能に応じた月額または年額のサブスクリプション費用が継続的に発生します。 これは、初期投資が大きい代わりにランニングコストを抑えやすいオンプレミス型とは対照的です。例えば、ユーザー1人あたり月額500円のプランを1,000人の従業員で利用する場合、月額50万円、年額で600万円のコストがかかります。ハードウェアの購入や保守費用は不要ですが、この継続的な支出が予算を圧迫する可能性は十分に考慮すべき点です。

規模による費用変動

サブスクリプション費用は、企業の成長や組織変更に直接影響を受けます。従業員数が増えれば、その分ライセンス費用も増加します。また、最初は基本的なシングルサインオン機能のみを利用していても、事業の要求に応じて多要素認証(MFA)や高度なアクセス管理機能を追加する場合、上位プランへのアップグレードが必要となり、コストが増加する可能性があります。将来的な事業計画を見据え、長期的な視点でコストの変動を試算しておくことが重要です。

システム連携の制約

次に、すべてのシステムとスムーズに連携できるわけではない、という点も重要な注意点です。IDaaS製品によって連携できるアプリケーションやプロトコルには差異があります。

対応サービスの確認

導入を検討しているIDaaSが、自社で現在利用しているすべてのクラウドサービスや社内システムと連携可能か、事前の確認が不可欠です。 特に、独自に開発した業務システムや、SAMLなどの標準プロトコルに対応していない古いオンプレミスシステムは、IDaaSとの連携が難しい場合があります。 ベンダーが公開している連携対応アプリケーションのリストを確認するだけでなく、可能であればトライアル期間を利用して、主要システムとの連携を実際にテストすることをお勧めします。

カスタマイズの制限

IDaaSはクラウドサービスであるため、オンプレミス型システムと比較してカスタマイズの自由度が低い傾向にあります。企業の独自のセキュリティポリシーや特殊な業務フローに合わせた、細かい認証プロセスの変更や画面デザインの調整などは、標準機能の範囲外となる可能性があります。もし、複雑なカスタマイズ要件がある場合は、導入前にベンダーへ実現可能かどうかを詳細に確認し、代替案についても検討しておくべきでしょう。

障害発生時のリスク

最後に、認証基盤をIDaaSに集約することによる「障害発生時のリスク」を理解しておく必要があります。これは、利便性の裏返しとも言えるデメリットです。

サービス停止時の影響

IDaaSのシステムに障害が発生すると、それに連携しているすべてのクラウドサービスやアプリケーションにログインできなくなるというリスクがあります。 これは、認証の入り口を一つに集約しているために起こりうる「単一障害点(Single Point of Failure)」の問題です。万が一、IDaaSが長時間停止した場合、メールやチャットツール、顧客管理システム(CRM)など、日常業務に不可欠なツールが利用できなくなり、事業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

信頼性の高いサービス選定の重要性

このリスクを最小限に抑えるためには、信頼性の高いIDaaSベンダーを選定することが極めて重要です。選定の際には、以下の点を確認しましょう。

  • サービス品質保証(SLA): 稼働率の保証値がどの程度かを確認します。多くのサービスでは99.9%以上の稼働率を保証しています。
  • 過去の稼働実績>: 公開されている稼働率の実績や、過去の障害履歴とその対応内容を確認します。
  • 第三者認証: ISO 27001(ISMS)など、情報セキュリティに関する国際的な認証を取得しているかも信頼性の指標となります。

以下の表は、SLAで保証される稼働率と、それに伴う年間の許容停止時間を示したものです。稼働率のわずかな違いが、ビジネスインパクトに大きな差を生むことがわかります。

保証稼働率 年間の許容停止時間
99.9% 約8時間45分
99.95% 約4時間22分
99.99% 約52分
99.999% 約5分

これらのデメリットや注意点を十分に理解し、自社の状況と照らし合わせながら対策を講じることで、IDaaS導入の失敗リスクを大幅に低減させることができるでしょう。

IDaaSの選定ポイント

IDaaSの選定ポイント

IDaaSの導入を成功させるためには、自社の環境や目的に合ったサービスを慎重に選定することが不可欠です。多種多様なIDaaS製品の中から最適なものを選ぶためには、いくつかの重要なポイントが存在します。ここでは、IDaaSを選定する上で特に注目すべき4つのポイントを具体的に解説します。

既存システムとの連携性

IDaaS選定において、まず最初に確認すべき最も重要なポイントは、既存システムとの連携性です。導入の目的である「IDの一元管理」を実現するためには、現在社内で利用している様々なシステムやクラウドサービスとスムーズに連携できることが大前提となります。連携性が低い製品を選んでしまうと、一部のシステムが連携できずにID管理が分断され、かえって運用が煩雑になる可能性があります。

では、具体的にどのような点を確認すればよいのでしょうか。確認すべき項目を以下の表にまとめました。

確認項目 具体的な確認内容
連携対象サービスの確認 Microsoft 365やGoogle Workspace、Salesforceといった主要なSaaSはもちろん、自社で利用している会計システム、人事システム、グループウェアなどとの連携に対応しているかを確認します。各IDaaS製品の公式サイトで対応アプリケーションリストを確認したり、問い合わせたりするのが確実です。
オンプレミスシステムとの連携 多くの企業で利用されているActive Directory(AD)との連携は必須の確認項目です。ADのID情報をIDaaSに同期できるか、その方式(エージェント方式など)は自社の環境に適しているかを確認しましょう。また、社内開発のWebシステムなど、オンプレミスのアプリケーションと連携できるかも重要です。
対応プロトコルの確認 SAMLやOpenID Connect、SCIMといったID連携の標準プロトコルに対応しているかを確認します。これらの標準プロトコルに対応していれば、リストにないアプリケーションでも連携できる可能性が高まります。

セキュリティ機能の充実度

IDaaSは企業のID情報を集約する、セキュリティの要となるシステムです。そのため、企業のセキュリティポリシーを満たす、あるいはそれ以上に強化できる機能が備わっているかを見極める必要があります。単にIDを統合するだけでなく、認証プロセスを強化し、不正アクセスリスクをいかに低減できるかが選定の鍵となります。

セキュリティ機能を評価する際は、以下の点を中心に確認しましょう。

  • 多要素認証(MFA)の多様性
    ID/パスワードに加える二つ目以降の認証要素として、どのような方法が利用できるかを確認します。SMSやメールでのコード認証だけでなく、以下のような多様な選択肢があると、利便性とセキュリティレベルを両立しやすくなります。

    • スマートフォンアプリによるプッシュ通知認証
    • ワンタイムパスワード(OTP)
    • 生体認証(指紋、顔など)
    • FIDO2準拠のセキュリティキー

    特にフィッシング詐欺への耐性が高いFIDO2への対応は、セキュリティを重視する上で大きなアドバンテージとなります。

  • アクセス制御の柔軟性
    ユーザーの状況に応じてアクセス権限を動的に制御できる機能も重要です。例えば、「誰が」「いつ」「どこから」「どのデバイスで」アクセスしているかに基づいて、アクセスを許可または拒否するポリシーを柔軟に設定できるかを確認しましょう。具体的には、以下のような制御が可能かどうかがポイントです。

    • IPアドレスによるアクセス元制限
    • 時間帯によるアクセス制限
    • 国や地域からのアクセス制限
    • 特定のOSやバージョンを満たしたデバイスのみ許可
  • ログ管理・監査機能
    「いつ、誰が、どのサービスにログインしたか」といったアクセスログを詳細に記録・管理できる機能は、万が一のインシデント発生時に原因を追跡するために不可欠です。ログの保存期間や、不審なアクティビティを検知した際に管理者に通知するアラート機能の有無も確認しましょう。

運用コストと費用対効果

IDaaSは多くがサブスクリプションモデルで提供されるため、継続的な運用コストが発生します。初期費用だけでなく、長期的な視点で総コストを把握し、投資に見合う効果(ROI)が得られるかを慎重に評価することが不可欠です。

コストを検討する際は、以下の3つのステップで進めると良いでしょう。

  1. 料金体系を正確に理解する
    IDaaSの料金は、主に利用するユーザー数によって決まります。しかし、サービスによっては連携するアプリケーションの数や利用する機能によって追加料金が発生する場合があります。自社の従業員数や利用予定の機能、将来的な事業拡大の可能性も踏まえ、複数の料金プランを比較検討しましょう。最低契約期間やユーザー数の縛りがないかも確認が必要です。

  2. 削減できるコストを試算する
    IDaaS導入によって、どれだけのコストが削減できるかを具体的に試算します。例えば、パスワード忘れによる問い合わせ対応工数や、入退社・異動に伴うアカウント管理業務にかかる人件費などが削減対象となります。これらの削減効果とIDaaSの利用料金を比較し、費用対効果を判断します。

  3. 隠れたコストを確認する
    提示された月額・年額費用以外に、追加コストが発生しないかを確認することも重要です。例えば、初期導入時の設定サポート費用、特定のアプリケーションとの連携コネクタ利用料、手厚いサポートプランへの加入料などが別途必要になるケースがあります。見積もりの段階で、総費用を明確にしておきましょう。

サポート体制と信頼性

IDaaSは、社内のあらゆるサービスへのログインを司る認証基盤です。もしIDaaSに障害が発生すれば、全社の業務が停止してしまう甚大な影響が出かねません。そのため、万が一のトラブルに迅速に対応できる手厚いサポート体制と、サービス自体の高い信頼性・可用性は、極めて重要な選定ポイントです。

信頼できるサービスかを見極めるために、以下の点を確認しましょう。

  • サポート体制の充実度
    トラブル発生時の問い合わせ窓口が、日本語で対応可能か、また対応時間は自社の業務時間と合っているかを確認します。メールやチャットだけでなく、緊急時に電話での問い合わせが可能かどうかも重要です。導入前の構築支援から導入後の運用支援まで、一貫したサポートを提供しているベンダーを選ぶと安心です。

  • SLA(サービス品質保証制度)の有無
    サービスの稼働率を保証するSLAが設定されているかを確認します。多くのサービスでは「稼働率99.9%以上」といった目標値を掲げています。この基準を下回った場合の返金ポリシーなども明記されていると、より信頼性が高いと言えるでしょう。サービスの稼働状況を公開しているステータスページの有無も確認しておくと安心です。

  • 導入実績と第三者認証
    国内外での導入実績、特に自社と同じ業界や企業規模での実績が豊富であることは、信頼性を測る一つの指標となります。また、「ISO/IEC 27001 (ISMS)」や「SOC2」といった国際的なセキュリティ認証を取得しているかどうかも、サービスが客観的に高いセキュリティ水準で運用されていることを示す証明となります。

よくある質問(FAQ)

IDaaSに関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

IDaaSとActive Directoryの違いは何ですか?

最も大きな違いは、管理対象の領域です。Active Directoryは、主に社内ネットワーク(オンプレミス)のユーザーやデバイスを管理するための仕組みです。一方、IDaaSはクラウドサービスなので、社内外の区別なく、様々なクラウドサービス(SaaS)を含めたID情報を一元管理できる点が特徴です。

中小企業でもIDaaSは必要でしょうか?

はい、必要性が高まっています。利用するクラウドサービスの数が増えれば、ID管理の負担は企業の規模に関わらず増大します。むしろ、情報システム担当者が少ない中小企業こそ、IDaaSによる業務効率化とセキュリティ強化の恩恵は大きいと言えるでしょう。

IDaaSの導入費用はどれくらいかかりますか?

費用は、利用するユーザー数や必要とする機能によって大きく変動します。多くのサービスがユーザー1人あたりの月額料金制(サブスクリプション)を採用しており、数百円から数千円が一般的です。まずは無料プランやトライアルを活用し、自社に必要な機能とコストのバランスを見極めることが重要です。

日本でよく利用されているIDaaS製品には何がありますか?

日本国内では、グローバルベンダーが提供するIDaaSや、国内企業向けに最適化されたサービスが広く利用されています。Microsoft 365との連携を重視する企業では Microsoft Entra ID(旧Azure AD) が採用されるケースが多く、クラウドとオンプレミスが混在する環境では OneLogin のようなIDaaSが選択肢となります。企業のIT環境や運用方針に応じて、最適なIDaaSが選ばれています。

IDaaSを導入すればセキュリティは万全になりますか?

IDaaSはセキュリティを大幅に向上させますが、「導入すれば万全」というわけではありません。IDaaSはあくまでセキュリティ対策の一環です。ゼロトラストの考え方に基づき、デバイス管理や従業員へのセキュリティ教育など、他の対策と組み合わせて多層的な防御を構築することが不可欠です。

ゼロトラストとIDaaSはどのような関係ですか?

ゼロトラストは「何も信頼せず、全てを検証する」というセキュリティの考え方です。IDaaSは、まさにこのゼロトラストを実現するための中心的な役割を担います。なぜなら、誰が、いつ、どの情報にアクセスしようとしているのかを厳密に認証・認可することで、「信頼できないネットワーク」を前提としたセキュリティの第一歩を固めることができるからです。

まとめ

この記事では、IDaaSの基礎知識から主な機能、導入のメリット・デメリット、そして選定のポイントまでを網羅的に解説しました。クラウドサービスの普及やテレワークの拡大といった現代のビジネス環境において、従来のID管理手法は限界を迎えています。では、どのようにこの課題を乗り越えればよいのでしょうか?その答えが、IDaaSの活用にあります。
IDaaSを導入する最大の理由は、「セキュリティの強化」と「業務効率の向上」を両立できる点にあります。シングルサインオン(SSO)はユーザーの利便性を高め、多要素認証(MFA)は不正アクセスリスクを大幅に軽減します。また、情報システム部門は煩雑なID管理業務から解放され、より戦略的な業務に集中できるようになるのです。
もちろん、導入にはコストや既存システムとの連携といった注意点も存在します。しかし、これらの課題は、自社の状況を正確に把握し、目的に合ったサービスを慎重に選定することで乗り越えることが可能です。IDaaSは、もはや単なるITツールではありません。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支え、安全で生産性の高い働き方を実現するための戦略的基盤と言えるでしょう。本記事で解説したポイントを参考に、ぜひ貴社に最適なIDaaSの導入をご検討ください。

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【本記事の監修体制について】

執筆:リードプラス株式会社

監修:リアルテックジャパン株式会社SAPソリューション事業

この記事は、SAP導入プロジェクトの豊富な経験を持つ当社の専門部門が内容を精査し、 以下の最終承認プロセスを経て公開しています。

最終監修責任者:リアルテックジャパン株式会社 代表取締役社長 松浦 一哉

企業の代表として、お客様の課題解決に繋がる有益で正確な情報発信に責任を持って取り組んでまいります。


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