サイバーリスクとは?
代表的な事例や企業が実施すべき対策を紹介

 2024.07.02  リアルテックジャパン株式会社

現代のIT社会において、サイバーリスクはあらゆる企業が警戒すべき脅威です。この脅威に備える上では、サイバーリスクの実態についての把握が欠かせません。そこで本記事では、サイバーリスクの概要や種類、対策方法を解説します。

サイバーリスクとは? 代表的な事例や企業が実施すべき対策を紹介

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サイバーリスクとは?

サイバーリスクとは、サイバー攻撃やヒューマンエラーなどによって企業が被る恐れのある損害のことです。サイバー攻撃の被害としては、機密情報の漏えいや改ざん、消去といったデータ被害が第一に考えられますが、これをきっかけとして経済的な損害や企業イメージの悪化、個人情報保護法違反による法的トラブルなどにつながる恐れもあります。

昨今では、まったくITが関与しないビジネスなどおよそ考えがたく、サイバーリスクはあらゆる企業に関係する問題といわねばなりません。昨今ではサイバーリスク保険も登場し、注目を集めています。とはいえ、たとえ保険に加入していようと、そもそも被害に遭わないことが最善なので、適切な対策が重要です。

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企業に起こり得るサイバーリスクの事例

サイバーリスクには多種多様な形があります。その中には、フィッシングやマルウェアなどの悪意ある攻撃はもちろん、従業員のミスや内部不正による情報漏洩なども含まれます。企業としては、多角的な観点からリスクの存在を把握することが重要です。

フィッシング

フィッシングとは、実在する企業や人物などになりすましてメールやSMSを送信し、受信者から情報を盗む攻撃です。フィッシングメールに記載されたURLには、本物そっくりに作られた偽サイトがリンクされており、そこへ個人情報などを入力するように受信者を誘導することで、情報を盗み取ります。

フィッシングサイトは非常に巧妙に作られているため、一見してそれが罠だと見抜くことが困難な場合もあります。また、フィッシングメールに関しても、アドレスを本物そっくりに偽装するどころか、なりすます相手のアカウントを事前に乗っ取って、正真正銘本物のアドレスから送ってくることすらあり、注意を欠かせません。

マルウェア・ランサムウェアによる被害

マルウェアは、システムに損害を与えることを目的とした悪意あるソフトウェアの総称です。システムやデバイスがマルウェアに感染すると、システムへの侵入や乗っ取り、情報の盗取を攻撃者に許す恐れがあります。

そして、このマルウェアの中でも、特に悪質なものとして知られているのがランサムウェアです。ランサムウェアは、被害者のファイルやシステムを暗号化して使用不能にし、これを解除するための身代金を要求します。IPAが毎年公表している「情報セキュリティ10大脅威」の組織編では、ここ数年ランサムウェアが連続して首位を獲得している状況です。

参照元:情報セキュリティ10大脅威|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)

Webサイトの改ざん

Webサイトの改ざんとは、攻撃者がサーバーやシステムに侵入し、Webページを無許可で書き換える行為です。このような改ざんは、Webサイトのイメージや信頼性を損ねたり、訪問者の情報を盗んだり、マルウェアを配布したりすることを目的に行われます。Webサイト改ざんの手口としては、システムの脆弱性を突いた攻撃や、従業員のアカウント情報を乗っ取って行う方法が一般的です。

DDoS攻撃

DDoS攻撃とは、多数の端末から大量のパケットをサーバーやネットワークに送信し、過剰な負荷をかけて攻撃する方法を指します。これによって、Webサイトのダウンやシステム停止を発生させ、企業活動に重大な支障を与えることが目的です。DDoS攻撃によってサーバーやシステムがダウンすることで、企業は売り上げが低下したり、ブランドへの信頼を毀損したりする恐れがあります。

内部不正

サイバーセキュリティの脅威は、組織の内部から発生することもあります。内部不正とは、社内の関係者が故意やミスによって企業の機密情報を社外に持ち出して漏洩したり、データを不正に改竄・消去したりする行為です。自己利益を図る目的のみならず、私怨などが動機となることもあります。このような不正行為は、社内関係者の立場に基づくアクセス権限などを悪用することで行われます。

そのため、ファイアウォールの設置など、外部からの攻撃を防ぐのと同じ方法で内部不正を防ぐのは困難です。昨今では、こうした内部不正のリスクも踏まえて、「ゼロトラスト」という全方位型のセキュリティを整備する動きも増えています。

企業が実施すべきサイバーリスク対策

上記で紹介したような、数多くのサイバーリスクから企業を守るためには、計画的に対策を講じることが重要です。以下では、企業が取り組むべき主要なサイバーリスク対策について解説します。

リスクの把握と対応計画の策定

サイバーリスク対策の第一歩は、リスクを正確に把握し、それぞれのリスクに応じた対応計画を策定することにあります。このプロセスでは、企業が直面する可能性のあるサイバーリスクを綿密に洗い出して、それぞれのリスクが企業に与える影響の大きさを評価し、優先順位をつけながら対応計画を策定します。

この対応計画には、予防策だけでなく、発生した際の迅速な対応や復旧プロセスも含めることが重要です。こうした準備を行うことで、リスクの発生を未然に防ぐと共に、もしリスクが現実になった場合にもその影響を最小限に抑えられます。

社員教育の実施

サイバーリスクは、社員のセキュリティ意識の低さに起因することも少なくありません。そのため、全従業員を対象にした情報セキュリティ教育の実施もまた、企業が講じるべき重要な対策のひとつです。

教育プログラムでは、パスワードなどの管理方法、フィッシング詐欺の見分け方、社外への情報持ち出しのルールなど、基本的なセキュリティ対策を指導します。これにより、従業員の軽率な行動に起因するサイバー被害のリスクを減らすことが可能です。

セキュリティ対策ツールの導入

サイバー攻撃に備えるには、従業員教育のみでは不十分です。ウイルス対策ソフトやファイアウォール、WAFといったセキュリティ対策ツールの導入による、技術的な対策も欠かせません。これらのツールは、マルウェアの感染や不正アクセスの試みを自動で検知・ブロックすることで、企業の情報資産を守ります。ツールを導入した後も、定期的な更新と設定の見直しを行い、常に最新の脅威に対応できる体制を整えることが重要です。

社員ID管理の徹底

従業員のID・パスワード情報の管理や、アクセス権限の厳格な設定をはじめとする、社員ID管理の徹底も求められます。基本的にアクセス管理では、必要な相手に必要な時、必要な権限だけを与えるのが理想です。また、不正アクセスを防ぐには、多要素認証の導入なども役立ちます。社員ID管理の徹底は、外部からの攻撃はもちろん、内部不正に備えるためにも効果的です。

社員ID管理に役立つ「IGA」とは?

社員ID管理を適正に行うためには、IDガバナンスの制御が鍵になります。IDガバナンスとは、システムやデータに対して、必要なアカウントが必要な時だけアクセスできるようにアクセス権限を最適化することです。サイバーリスクに備えるためには、ID情報を管理するだけでなく、こうしたアクセス権限の制御も必要です。

このように、ID管理とIDガバナンスの制御を両立させた管理手法は、「IGA(Identity Governance and Administration)」と呼ばれます。IGAの実施に際しては、入社・退職・異動・休職など、従業員のステータス変更に応じて、各ユーザーの権限が迅速かつ正確に更新されなければなりません。IGAの導入は、セキュリティ強化はもちろん、運用コストの削減やコンプライアンスの向上にも貢献し、自社のステークホルダーに対して安心感を提供できます。

まとめ

本記事で紹介したように、現代の企業を取り巻くサイバーリスクは非常に多種多様かつ巧妙となっています。これらのリスクに備えるためには、入念に対応計画を策定し、社員教育やセキュリティツールの導入、そして社員ID管理の徹底などの取り組みをすることが重要です。

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