SAP S/4HANA移行とは?

 2020.08.28  リアルテックジャパン

SAP ERPのサポート終了がアナウンスされ、2025年末の移行に向けて頭を抱える情報システム担当者も多かったでしょう。その悩みはサポート終了が2027年末まで延長されたことにより、一旦は難を逃れたと考えているかもしれません。しかし、「SAP 2025年問題」がたった2年間先延ばしになっただけであり、本質的な問題は何も変わっていません。

SAPユーザーにとっての移行選択肢第一候補であるSAP S/4HANAにおいては、今後駆け込み的な移行相談が急増すると予測されており、SAP関連コンサルタントが不足すれば2027年末のサポート終了まで十分な移行期間を取れない企業も多くなります。

そこでご紹介するのは、S/4HANAの移行を検討する際に考慮すべきポイントです。これを機に、SAP ERPのサポート終了まで「まだ6年ある」ではなく、「もう6年しかない」という意識を感じていただきたいと思います。

SAP S/4HANAへの移行に際し事前に検討すべきこと

SAP S/4HANAへの移行では最初に、現行のシステム環境をそのまま移行する「マイグレーション」で行くか、ゼロからSAP S/4HANAの新機能を導入する「リビルド」で行くかを検討する必要があります。

マイグレーションでは現行のSAP ERPシステム設定をベースに移行するため、現在使用しているカスタマイズ設定やアドオン開発、データ等をそのまま移植するため導入期間を短くし、低コストでの移行が可能になります。業務プロセスと現行システムの依存性が高く、変更による影響の範囲と度合いが大きいため現行のシステム環境を極力継続したいという場合におすすめです。また、改善箇所だけにフォーカスして最適化を図ることもできます。

ただし、単純なマイグレーションを実行するだけではSAP S/4HANAが持つ革新的機能を十分に活用できない可能性が高いでしょう。

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一方、リビルドは現のSAP ERPシステム設定にとらわれずに、ゼロから業務プロセスを見直してシステム構築を行っていく方法です。アドオン開発を極力排除することでSAP S/4HANAが持つ革新的な機能を次第現活用し、業務プロセスの刷新がしたい場合に有効です。システムの保守運用の障壁になり、ITコストを圧迫する原因となるアドオン開発を大幅に削減できます。刷新をきっかけとして業務効率の向上やビジネス上の付加価値創造の可能性があるものの、マイグレーションと比較すると導入期間は長期化しがちですし、コストもかかります。

<マイグレーションとリビルドのメリット・デメリット等>

 

マイグレーション(移行)

リビルド(再構築)

メリット

  • 短時間でマイグレーション可能なため低コストで移行できる
  • 現行ドキュメント(設計書や定義書等)の活用ができる
  • 現行の業務プロセスが抱える課題改善を中心として再構築ができる

デメリット

  • 現行システムからの業務プロセス変更が少ないため、SAP S/4HANAのメリットを享受できない可能性が高い
  • 設定作業が多く、マイグレーションと比較するとコストが高く導入期間が長い

リスク

  • ツール実行による現行システムの踏襲なのでリスクは少ない
  • ただし、SAP S/4HANAの費用対効果という点では高い効果が期待できない
  • 人手によるシステム設定やデータ移行が必要なためリスクを伴う

移行

  • プログラム、カスタマイズ、データをツールにより移行できる
  • プログラム、カスタマイズはSAP S/4HANA上に直接設定し、必要に応じて過去のデータを移行する

期間

  • ツールベースによる実行で大部分の機能を現行周到し、短期間での移行が可能に
  • 新しい要件の実現化のステップが必要で時間がかかる

アプローチ

  • 現行システムを踏襲
  • ゼロからのシステム設計

拡張性

  • 現行踏襲のためSAP S/4HANAが持つ新機能を最大限活用することが難しい
  • SAP S/4HANAによる新機能の享受と、ビジネスプロセスの再設計が可能

SAPデータ移行及びマイグレーションのポイント

本記事のテーマは「SAPデータ移行」なので、上記に解説してマイグレーションのポイントに焦点を当てて話を進めていきます。マイグレーションを行うにあたり、まずはそれにかかる期間やコストを計算し、移行計画を立てていく必要があります。その際に、業務プロセス視点での改善構想と、システム視点でのアセスメント(環境調査)が必要です。

業務プロセス視点での改善構想では、SAP ERPシステムに依存しない業務改善策を検討することにより、運用課題の洗い出しや作業観光上の検討、業務プロセスの見直しなどを進めていきます。重要になるのは、現実的考えや組織内での対立関係などを考えずに、広く意見を収集して「業務プロセス効率化のために何が必要か?」を具体化していくことです。そこで、情報システム部門以外に現場にキーマンとなる社員、中立的な立場となったマイグレーションを円滑に進めるためのファシリテーターの参加、それらの体制構築が成功の鍵になります。

システム視点では、現行のSAP ERPシステム設定状況や移行後のシステムに関する深い知識をもとにしながら、To-Beを検討していきます。そのため、ユーザーのみでの進行は困難であり、SAPコンサルタントが提供するアセスメント(環境調査サービス)を受けて、現行のシステム環境からSAP S/4HANAを移行した場合のどの程度の影響が及ぶかを確認する必要があります。

アセスメントでは現行のSAP ERPシステムで機能しているアドオン開発等がそのままSAP S/4HANAで継続的に利用できるか、もしくは改修が必要なのかも判断します。これまで利用してきたABAPプログラム言語の命令文がSAP S/4HANAで利用できないケースが多いことから、改修コストと期間の見積もりを知る上でも重要です。

現行のSAP ERPシステムからSAP S/4HANAへ移行することでデータ構造が大きく簡素化され、パフォーマンス向上が期待できます。しかし、移行すれば必ずパフォーマンスが向上する訳ではありません。ここで注意すべきがデータ移行です。現行のSAP ERPシステムではデータ処理の際の中間ファイルが膨大に作られており、それらのデータをそのまま移行するとSAP S/4HANAのパフォーマンスが低下する恐れがあります。

そのため、データクレンジング作業等を通じてデータの品質を向上し、移行するデータの絶対量を大幅に削減することが強く求められます。

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また、データ移行後の安定稼働やコンプライアンス対応、パフォーマンスの最適化など、多くのお客様が課題とされるSAPシステムの安定運用を専門のコンサルティングによりご支援しています。

現行のSAP ERPシステムからのS/4HANA移行を検討される際は、ぜひ一度ご相談ください。

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