SAP S/4HANAとは?サポート期限切れが迫る中移行するメリットをご紹介

 2022.07.15  リアルテックジャパン株式会社

現在、SAP社のERPソリューションを運用している企業では、サポート期限切れがシステム課題となり、SAP S/4HANAへの移行を検討している企業が多いことと思います。本記事では、SAP S/4HANAとはどのようなものか概要を説明したうえで、移行・導入によって実現できることや生み出されるメリットについて紹介します。

SAP HANAとは?

まず、SAP S/4HANAのベースとなるSAP HANAについて、理解しておきましょう。SAP HANAは、SAP独自のアーキテクチャを搭載した、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)です。その最も特徴的なところは、インメモリを全面採用したデータベースを導入できるため、従来のデータベースと比較して処理が非常に高速になるという点にあります。

SAP HANAが採用しているインメモリデータベースとは、コンピューターのランダムアクセスメモリ(RAM)と呼ばれるメインメモリ上の領域に、全てのデータを格納する方式をとるデータベースのことを指します。そして、メインメモリというのは「OS上のアプリケーション・プログラムを同時に動かすためにデータを一時的に保持する領域」のことです。

従来のデータベースでは、インメモリ機能が付いているものであっても、大半のデータは基本的にはハードディスク(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などのストレージ領域にデータを格納しており、そこからデータをメインメモリ上に展開して処理してします。これに対し、SAP HANAでは、全データをコンピューターのメインメモリに展開して処理することで、処理スピードの劣るストレージの性能に左右させない高速処理が実現可能です。

また、メインメモリはDBデータの長期保存に向かないとされてきましたが、HANA DBのアーテキチャではストレージ領域へのデータ保存を組み合わせ、従来のデータベースと同じくデータの永続性を保証しています。なお、SAP HANAは、クラウドまたはオンプレミスでの導入が可能です。

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SAP S/4HANAとは?

SAP S/4HANAとは、SAP HANAのデータベース上で動作するSAP社のERPソリューションです。SAP S/4HANAの大きな特徴といえば、もちろんSAP HANAのインメモリデータベースを活かした高速データ処理ということになります。SAP S/4HANAといままでのSAP ERPソリューションを比較すると、以下のような違いがみられます。

SAP HANAに合わせてアーキテクチャを再構築している

SAP S/4HANAは、従来のSAP ERPソリューションを単にSAP HANAというプラットフォーム上に移行したものではありません。SAP S/4HANAでは、インメモリデータベースの性能を最大限に活かすために、従来のSAP ERPのアーキテクチャを全面的に再構築し、データモデルを大幅に簡略化することで、スピードアップを図っています。

従来のSAP ERPソリューションでは、システム構造の複雑化とデータの肥大化によって、リアルタイム性が失われる事態が多発していました。たとえば、品目に関する在庫情報において30近くもテーブルが存在するせいで、部品点数が数万点もあるアセンブリー品のバックフラッシュ処理(部品在庫の引き落とし)を実行するときに、必要とされる期限までに処理を終えるのが困難になっていました。

そのため、SAP S/4HANAでは、中間テーブルを排除し、2つのテーブルだけを使用するようにデータモデルを簡略化しました。そして、SAP HANAのスピードを活用して、瞬発的に在庫数の計算処理ができるように改良しています。

ユーザーエクスペリエンス設計の応答性が向上している

SAP S/4HANAは、いままでのSAP ERPソリューションと比べて、ユーザーエクスペリエンス設計(UX)の操作性が改善しています。

従来型は機能別に画面がまとまっているため、多くの画面の行き来を強いられることがあり、作業が大変でした。この問題を克服するため、SAP S/4HANAでは、業務ロール別に画面を設計し直し、画面の行き来が可能な限り少なくなるよう工夫しています。たとえば、ある業務で、従来のSAP ERPソリューションでは10画面必要だったところを、SAP S/4HANAでは、6画面減らして4つの画面のみで業務が完了できるよう設計されています。

さらに、SAP S/4HANAでは、取引入力とデータ分析を同一プラットフォームで行えます。そのためプラットフォームが異なることが原因で、入力データがリアルタイムで分析できないといった業務が断続的になるという問題が解消され、業務をより効率的に行えます。

コアに機能を統合している

SAP S/4HANAでは、コアに機能を統合し、各ビジネスプロセスには1つのソリューションといったPrinciple of Oneの原則にもとづいて、SCMやCRMなどのシステム間でなるべく重複が起きないように、コアの範囲を再定義しています。たとえば、いままでのSAP ERPソリューションでは、標準機能の品目コードが最長で18桁に設定されていました。しかし、それでは品目コードの桁数が不足してしまう製造業のような業種もあります。そこで従来は、業種別のソリューションという扱いで、標準よりも22桁増やした40桁の品目コードをサポートする機能をオプションとして提供していました。

一方、従来のSAP ERPを改良したSAP S/4HANAは、他業種のオペレーションを1つの構築プラットフォームのみで動かすことを目標に、日々進化し続けています。たとえば、従来型ではオプションだった40桁の品目コードを扱える機能は、SAP S/4HANAにおいて、標準機能として提供されています。

2027年のサポート期限とは?

従来型のSAP ERPソリューションである「SAP ERP 6.0」は、ビジネス環境の変化と機能の充実によって、システムが大きくなって複雑になりすぎ、リアルタイム性が担保できなくなったために、保守サポートが打ち切られることになりました。SAP ERP 6.0を利用中のユーザーは、保守サポートが終了する前に、新しいERP製品であるSAP S/4HANAへの移行を求められています。

サポート打ち切り問題は、当初の標準サポート期限が2025年末だったことにより「2025年問題」と呼ばれていましたが、サポート対象期限が2027年末に変更されて「2027年問題」と呼ばれるようになりました。しかし、2027年12月までサポートが延長される対象は、エンハンストパッケージ(EHP)6以降が適用されたERP 6.0のみで、それ以前のものは2025年にサポート終了となります。したがって、EHP5のユーザーは、EHP6にバージョンアップしないと、サポート期限が延長されないので気を付けましょう。なお、2%の延長保守料を支払うことで、保守期限を2030年末まで引き延ばすことができます。

SAP S/4HANAがもたらすメリット

サポート期限を過ぎても、従来のSAP製品を標準サポートなしで継続利用できますが、SAP S/4HANAには様々なメリットがあるため移行するのがおすすめです。ここからはSAP S/4HANAがもたらすメリットを紹介します。

システムのレスポンスタイムがゼロになる

SAP S/4HANAを実際に使ってみると、SAP社製だけでなく他社製も含めた従来型のERPソリューションと比べて、データ処理速度の速さを実感できます。SAP社では、SAP HANA上での圧倒的な処理能力によりシステムのレスポンスタイムがなくなるとして「ゼロレスポンスタイム」と呼んでいます。

TCOやストレージコストの削減になる

SAP S/4HANAによって、レスポンスタイムが大きく改善されることで、ビジネスプロセスの見直しが従来よりも簡単になるでしょう。SAP S/4HANAにグレードアップすると、SAP ERP 6.0を使っていたときよりも、少ないオペレーションで済み、TCO(総保有コスト)が削減されて、生産性が大きく向上します。さらに、SAP S/4HANAではデータが圧縮化と効率化されるため、増加の一方を辿るデータ量も移行することで相対的にストレージコストを削減できます。

分析・レポーティングを同一プラットフォームで

SAP S/4HANAに移行すれば、いままで別のプラットフォーム上のDWH(データウェアハウス)などを利用しないと行えなかった分析やレポーティングを、同一のプラットフォームで実現できます。そのため、ERP上での基幹システムとしての機能だけでなく、ビジネスを加速させる情報を取得出来るシステムとしても、その両方での情報がスピーディーに取得出来るようになります。

クラウドで運用効率をさらに高める

SAP S/4HANAでは、オンプレミスやクラウド等の運用プラットフォームを自由に選べます。オンプレミスバージョンでは、自社サーバへの導入だけでなく、セキュリティ性が高いプライベートクラウドでも導入できます。SAP S/4HANAへの移行をきっかけに、思い切ってクラウドへとプラットフォームを切りかえれば、従来よりもシステムの運用効率を大幅に高められるでしょう。

リアルテックのSAP S/4HANA新規導入・移行サービス

リアルテックでは、SAP S/4HANAの新規導入・移行サービスを提供するために、HANAアプリケーション効果測定やインメモリデータベース設計、マルチテナントデータ、インメモリデータベース活用について、日々研究を重ねています。さらに、あらゆる市場やあらゆる産業へのHANAプラットフォーム適正を分析しており、いかなる業種のお客様に対しても、SAP S/4HANA導入をサポートすることが可能です。

SAP S/4HANAの新規導入や既存ERPソリューションからの移行をユーザー企業が自力で行おうとすると、難しい課題が出てきて思うようにいかず、プロジェクトが長期化するケースも珍しくありません。リアルテックにご相談いただければ、SAP社とのパートナーシップを活かして、各企業に合わせた適切な環境構築を支援できます。

まとめ

SAP S/4HANAは、SAP HANAのインメモリデータベースを活かし、従来のSAP ERPソリューションのアーキテクチャを全面的に再構築して、圧倒的な高速処理を実現したERPソリューションです。SAP S/4HANAに移行するメリットとしては、従来のERPソリューションと比べて、生産性や運用効率などが大幅に向上することが挙げられます。

従来のSAP ERPソリューションについては、サポート期限が多少延びましたが、時間的な猶予はそれほどありません。SAP S/4HANAの導入や移行に関する相談があれば、ぜひリアルテックまでご連絡ください。

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