従来のSAP ERP製品は2027年末にサポートが終了してしまうため、SAP S/4HANAへの移行を検討中の企業の方も多いことでしょう。そこで本記事では、SAP S/4HANAの概要、従来のSAP ERP製品との違い、2027年問題の内容などについて分かりやすく解説します。
S/4HANAへの移行をご検討中のご担当者様へ
基幹システムの移行は、企業にとって避けては通れない道です。ノウハウのない企業では、しばしば計画が甘くなってしまい、想定外のトラブルによって失敗することも少なくありません。
もしも現在、
- SAPのS/4HANAへの移行を考えており、進め方の相談に乗ってほしい
- 2027年問題への対応の進め方がわからない
- システム移行の必要があるが、社内リソースが足りず困っている
- 移行に関するノウハウがないが、リスク回避のポイントを押さえたい
などのお困りごとがありましたら、私達リアルテックジャパンへご相談ください。
リアルテックジャパンはSAP製品に精通したエンジニアが多数在籍する、テクノロジーコンサルティングファームです。
2002年の設立後、SAPシステムを導入されている企業、クラウドベンダー、ハードウェアベンダー、コンサルティングファーム等のお客様から高い評価を頂いております。
移行の規模を問わずさまざまなお悩みに対応していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
SAP S/4 HANAとは
SAP S/4 HANAとは、ドイツに本社を置く大手ITベンダーのSAP社が提供する次世代ERP製品です。SAP S/4 HANAは、SAP HANAをアーキテクチャ基盤として開発されており、同社のERP製品の第四世代に当たります。
SAP S/4 HANAはオンプレミス、パブリッククラウド、プライベートクラウドの3つの形態で提供されているため、ユーザーは自社のニーズに合わせた形態で導入可能です。SAP S/4 HANAは2015年の発売以来、順調に市場シェアを伸ばしており、現在では世界中の様々な業種の企業に多数導入されています。
SAP HANAとの違い
SAP S/4 HANAについて語る上では、SAP HANAの存在が欠かせません。SAP HANAとは簡単にいうと、さまざまなSAPアプリケーションのコア技術となっているデータベースを指します。SAP HANAの最大の特長は、インメモリといわれるデータベース形式の採用により、非常に高速なデータ処理を実現していることです。つまり、SAP HANA とSAP S/4 HANAの違いは、前者がデータベースである一方で、後者がSAP HANAプラットフォーム上で実行されるアプリケーション(ERPスイート)であることです。
SAP HANAやインメモリデータベースについて詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。
SAPユーザ必見!? SAP HANAとは
SAP HANAの仕組みを確認しよう
従来のSAP ERP製品との違い
SAP社の第四世代ERP製品であるSAP S/4 HANAは、前世代までと比べてどのような点が進化しているのでしょうか。以下では、SAP S/4 HANAと従来のSAP ERP製品の違いについて解説します。
処理能力が大幅に向上した
SAP S/4 HANAは従来のSAP ERP製品と比べてデータの処理能力が大幅に向上ました。
従来のSAP ERP製品では、システム構造の複雑化とデータの肥大化によって、処理速度が落ちることがしばしばありました。そこでSAP S/4 HANAでは、従来のSAP ERP製品のアーキテクチャを全面的に再構築し、処理速度低下の原因となる不要な中間テーブルを排除しました。
これによりSAP S/4HANAでは、インメモリデータベースの性能を最大限に活かし、従来よりも処理速度を大幅に高速化することに成功しています。SAP S/4HANAの高い処理速度とパフォーマンスは、ビジネスに必要な分析や意思決定を従来よりスムーズに実現します。
UI/UXが改善された
SAP S/4HANAは、いままでのSAP ERPソリューションと比べて、ユーザーエクスペリエンス設計(UX)の操作性が改善しています。
従来型は機能別に画面がまとまっているため、多くの画面の行き来を強いられることがあり、作業が大変でした。この問題を克服するため、SAP S/4HANAでは、業務ロール別に画面を設計し直し、画面の行き来が可能な限り少なくなるよう工夫しています。たとえば、ある業務で、従来のSAP ERPソリューションでは10画面必要だったところを、SAP S/4HANAでは、6画面減らして4画面のみで業務が完了できるよう設計されています。
さらに、SAP S/4HANAでは、取引入力とデータ分析を同一プラットフォームで実施可能です。そのためプラットフォームが異なることが原因で、入力データがリアルタイムで分析できないといった業務が断続的になるという問題が解消され、業務をより効率的に行えます。
コアに機能を統合している
SAP S/4HANAでは、コアに機能を統合し、各ビジネスプロセスにはひとつのソリューションといったPrinciple of Oneの原則にもとづいて、SCMやCRMなどのシステム間でなるべく重複が起きないように、コアの範囲を再定義しています。
たとえば、いままでのSAP ERPソリューションでは、標準機能の品目コードが最長で18桁に設定されていました。しかし、それでは品目コードの桁数が不足してしまう製造業のような業種もあります。そこで従来は、業種別のソリューションという扱いで、標準よりも22桁増やした40桁の品目コードをサポートする機能をオプションとして提供していました。
一方、従来のSAP ERPを改良したSAP S/4HANAは、他業種のオペレーションをひとつの構築プラットフォームのみで動かすことを目標に、日々進化し続けています。たとえば、従来型ではオプションだった40桁の品目コードを扱える機能は、SAP S/4HANAにおいて、標準機能として提供されています。
SAP S/4HANAがもたらすメリット
SAP S/4HANAは従来の SAP ERP製品よりさまざまな点で優れているため、移行によって企業は多くのメリットを得られます。SAP S/4HANAがもたらす主なメリットは以下の通りです。
システムのレスポンスタイムがゼロになる
SAP S/4HANAを実際に使ってみると、SAP社製だけでなく他社製も含めた従来型のERPソリューションと比べて、データ処理速度の速さを実感できます。SAP社では、SAP HANA上での圧倒的な処理能力によりシステムのレスポンスタイムがなくなるとして「ゼロレスポンスタイム」と呼んでいます。
TCOやストレージコストの削減になる
SAP S/4HANAによって、レスポンスタイムが大きく改善されることで、ビジネスプロセスの見直しが従来よりも簡単になるでしょう。SAP S/4HANAにグレードアップすると、SAP ERP 6.0を使っていたときよりも、少ないオペレーションで済み、TCO(総保有コスト)が削減されて、生産性が大きく向上します。さらに、SAP S/4HANAではデータが圧縮化と効率化されるため、増加の一方を辿るデータ量も移行することで相対的にストレージコストを削減できます。
分析・レポーティングを同一プラットフォームで
SAP S/4HANAに移行すれば、いままで別のプラットフォーム上のDWH(データウェアハウス)などを利用しないと行えなかった分析やレポーティングを、同一のプラットフォームで実現できます。そのため、ERP上での基幹システムとしての機能だけでなく、ビジネスを加速させる情報を取得できるシステムとしても、その両方での情報がスピーディーに取得できるようになります。
クラウドで運用効率をさらに高める
SAP S/4HANAでは、オンプレミスやクラウド等の運用プラットフォームを自由に選べます。オンプレミスバージョンでは、自社サーバへの導入だけでなく、セキュリティ性が高いプライベートクラウドでも導入できます。SAP S/4HANAへの移行をきっかけに、思い切ってクラウドへとプラットフォームを切りかえれば、従来よりもシステムの運用効率を大幅に高められるでしょう。
迫るSAP 2027年問題(2025年問題)とは
上記のように、従来のSAP ERP製品からSAP S/4HANAに移行することにより、さまざまな点でビジネスパフォーマンスの向上が可能です。しかし、SAP S/4HANAに移行した方がよい理由はもうひとつあります。それが「SAP 2027年問題(2025年問題)」です。以下では、これがどのような問題なのかを解説します。
なお、この問題については以下の関連記事もぜひご参考にしてください。
SAPサポート延長と「2025年の崖」問題
SAPサポート期限「2025年問題」とは?
SAP ERPのサポートが2027年で終了
SAP 2027年問題とは、従来のSAP ERP製品のサポートが2027年12月に終了してしまうことを意味します。このサポート終了時期は元々2025年に予定されていたため、当初は「SAP 2025年問題」と呼ばれていました。
とはいえ、2027年までサポート期限が延長されたのはエンハンストパッケージ(EHP)6以降の「SAP ERP 6.0」のみなので、それよりも古いバージョンのSAP ERP製品を利用しているユーザーは、やはり2025年までに対処しなければなりません。それ以降もどうしても従来の製品を使いたい場合は、SAP社に2%の延長保守料を支払うという選択肢もあります。ただし、その延長期間も2030年末までなので一時しのぎにしかならないでしょう。
まとめると、EHP6以降のSAP ERP 6.0ユーザーは2027年までに、それ以前のSAP ERP製品ユーザーは2025年までに後継のソリューションであるSAP S/4HANAに移行すべきであるというのが「SAP 2027年問題」の基本的な内容です。ERP製品はビジネスにおける重要なIT基盤である上、SAP ERP製品のユーザーは世界中に多数存在するため、この問題は非常に大きな影響力を持っています。
サポート終了後もSAP ERPを使い続けるとどうなる?
サポート終了後も従来のSAP ERP製品を利用し続けようという方がおられるかもしれませんが、それは長期的に見ておすすめできない選択肢です。
というのも、サポートの終了後は、システムの不具合や法規制への対応、新機能の追加などが打ち切られてしまいます。つまり、サポートが終了したら、その製品は時間が経てば経つほど陳腐化する上、不具合のリスクも大きくなっていくということです。
IT活用がビジネスの成否に直結している現代において、その基盤であるERP製品に不安を抱え続けるのは大きなデメリットになります。万一、深刻な不具合が発生すれば、業務が停止してしまうことも覚悟しなくてはなりません。
他社のERP製品に乗り換えることも選択肢のひとつにはなりますが、従来からSAP ERP製品を利用してきたユーザーには、最新世代であるSAP S/4HANAへの移行をおすすめします。同じSAP社製のSAP S/4 HANAならば、従来の使用感を基本的に引き継いだまま、より快適かつ効果的にERPの機能を活用できます。
リアルテックのSAP S/4HANA新規導入・移行サービス
リアルテックでは、SAP S/4HANAの新規導入・移行サービスを提供するために、HANAアプリケーション効果測定やインメモリデータベース設計、マルチテナントデータ、インメモリデータベース活用について、日々研究を重ねています。さらに、あらゆる市場やあらゆる産業へのHANAプラットフォーム適正を分析しており、いかなる業種のお客様に対しても、SAP S/4HANA導入をサポートすることが可能です。
SAP S/4HANAの新規導入や既存ERPソリューションからの移行をユーザー企業が自力で行おうとすると、難しい課題が出てきて思うようにいかず、プロジェクトが長期化するケースも珍しくありません。リアルテックにご相談いただければ、SAP社とのパートナーシップを活かして、各企業に合わせた適切な環境構築を支援できます。
リアルテックのSAP S/4HANA新規導入・移行サービスの詳細については、以下のページもご覧ください。
SAP S/4 HANA新規導入・移行サービス
まとめ
SAP S/4HANAとは、SAP HANAのインメモリデータベースを活かして高速度の処理能力を実現する次世代型ERPソリューションです。SAP S/4HANAは従来のSAP ERP製品よりも多くの点で優れているので、その移行によってビジネスパフォーマンスを大きく向上できます。
従来のSAP ERP製品は2027年末にサポート期限が切れてしまうため、そうした面でもSAP S/4HANAへの移行はおすすめです。SAP S/4HANAの導入や移行に関する相談があれば、ぜひリアルテックまでご連絡ください。
S/4HANAへの移行をご検討中のご担当者様へ
基幹システムの移行は、企業にとって避けては通れない道です。ノウハウのない企業では、しばしば計画が甘くなってしまい、想定外のトラブルによって失敗することも少なくありません。
もしも現在、
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- 2027年問題への対応の進め方がわからない
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移行の規模を問わずさまざまなお悩みに対応していますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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