“SAP HANA”というシステムは俗にインメモリデータベースと呼ばれるものです。通常、データベース(Oracle、SQL Serverなど)は搭載されたハードディスクにデータを保持しながら動作することを基本として設計されています。それに対してインメモリデータベースは、すべてのデータをコンピューターのインメモリに展開しながら動作します。
ちなみにインメモリとは「一時的なデータを保持し、複数のアプリケーションを同時に稼働するための領域」のことです。パソコンの基本スペックでもあるので、知っている方は多いでしょう。インメモリには自由にデータの読み書きが可能な半導体メモリが搭載されており、読み書きが非常に高速ではありますがインメモリ自体を外部記憶装置として実装することはできません。
しかしSAP HANAではインメモリを全面採用したデータベースを構築できるため、従来のデータベースに比べて処理が非常に高速になります。
今回はこのSAP HANAについて、その仕組みについて解説していきます。
SAP HANAについて
SAP HANAは、単に「高速なデータベースを開発する」という目的ではなく、高速トランザクション処理の実現による「ビジネスの高速化」というニーズから誕生しています。
そのため、SAP社が提供するERPソリューションの高速化技術として開発がスタートしました。その後、このアーキテクチャを分析処理やアプリ開発の領域まで広げることで、ビジネスに求められる各分野へも適用するための発展を遂げながら現在に至っています。
SAP HANAはアプライアンス型などで見られる、特定業務システムの高速化を目的としたものではなく、単一型の「インメモリープラットフォーム」としてERPシステムを中心に、派生する業務データ、または関連する外部システムのデータまで一元的に管理することで、ビジネス全体に求められるトランザクション処理や分析(アナリティクス)業務のリアルタイム化を実現するプラットホームとして位置付けられます。
SAP HANAについて具体的にどういったシステムなのかは、こちらの「SAPユーザ必見!? SAP HANAとは?」でも解説していますのでご一読ください。
SAP HANAの特長
SAPでは、SAP HANAの特長として、以下6つのカテゴリを中心に解説しています。
https://www.sap.com/japan/products/hana/features.html
ここでは、特に注目されるポイントに解説を加えてご紹介いたします。
データベースサービス
インメモリー型のデータベースで構成されるSAP HANAはその最大の特徴でもある高速I/O処理を実現します。そのため使用する環境については、SAP HANA認定により定められたハードウェアベンダーまたはプラットホーム提供事業者から選択することになります。
サポートされる認定パートナーはこちらから検索することができます。
<Supported Intel® Systems>
https://www.sap.com/dmc/exp/2014-09-02-hana-hardware/enEN/intel-systems.html
<Certified IaaS Platforms>
https://www.sap.com/dmc/exp/2014-09-02-hana-hardware/enEN/iaas.html
分析処理
現在求められる分散処理は、定型化された構造化データに留まらず、コールログや社内文書、人事情報など、各種テキストベースの非構造化データの活用も求められています。そのためGoogleなどが採用する検索エンジンと同様に、形態素解析やテキストマイニングなど自然言語処理に対応しています。
また、対象データ量の飛躍的な増加に対応するため、ストリーミング処理によるデータの取り込みや、データ予測分析アルゴリズムを活用することで、大量データに対する予測分析処理をリアルタイムで実行します。
管理
実行されているアプリケーションの管理や包括的な監視をサポートするSAP Solution ManagerやSAP ランドスケープ全体を一元管理するSAP Landscape Managementなど、豊富なツール群でSAP HANAの管理やデータベースの監視をサポートします。
リアルテックでは、SaaS型でSAP Solution Managerが利用できるSOLMAN CLOUD SERVICEを提供しています。
セキュリティ
SAP HANAでは、基幹データや経営指標など機密性の高い情報が取り扱われるため、非常に高いセキュリティレベルが求められるます。
職責・特権権限の設定やID管理、アクセス制御など、不正アクセスの防止やデータを安全な管理のための機能を提供します。さらに、通信経路や保存データ・バックアップデータの暗号化などFIPS認定の暗号化アルゴリズムをサポートすることでデータ保護の強化を図っています。
また、頻発するサイバーセキュリティの脅威に対応するため、SAP EarlyWatch アラートやセキュリティ最適化サービスにより、インシデント発生への迅速な対応や予防保守を支援しています。
SAP HANAをビジネスに生かそう!
インメモリデータベースのマーケットでは、各社がそれぞれ特長を持った製品を提供している状況にあり、アプライアンス型の製品やクラウド事業者が提供するデータベースサービスにもインメモリ型のメニューが追加されて来ているため、ユーザの選択肢は多様化してきています。
しかしながら、テクノロジーの活用はビジネス要件を満たすためのものであり、ビジネスはマーケットのニーズにより柔軟な対応が求められる時代へと変化してきています。世界最大のERPベンダーであるSAPが「SAP HANA」の開発に着手し製品を提供する理由はまさにこの点にあります。
社内業務プロセスの変化、企業や消費者の購買行動の多様化、社会環境全体のデジタル化の浸透などにより、企業では新たなビジネスプラットホームの必要性が一層高まっています。そのため、ERPシステムを知り尽くしたSAPが提供する「SAP HANA」は他社のインメモリデータベースと比較しても、非常にユニークなポジションにあると言えます。
インメモリデータベースが求められる背景は、テクノロジーをビジネスにより活用して行こうとする市場の変化によることは、ご理解いただけたかと思います。
一方で、すでにSAPを利用している企業にとっての選択肢としては、HANAプラットホームをベースにしたS/4HANAへのマイグレーションが最有力となります。
REALTECH AGは、SAP社よりSAP HANA Council メンバーに選ばれた、SAP HANA導入支援のプロフェッショナルです。SAP HANAのアプリケーション効果測定、インメモリデータベース設計、マルチテナントデータやインメモリデータベース活用を研究し、あらゆる市場やあらゆる産業へのHANAプラットフォーム適正を分析して、様々な業種のお客様でSAP HANA導入を支援させていただいています。
リアルテックの活動はそのパートナーシップを活かし、SAP S/4 HANA、SAP Solution Managerの最新テクノロジーの構築、既存SAP ERPシステムの移行など、お客様が必要とするシステム環境整備のためのサービスを提供しています。
SAP HANAやS/4HANAについてもっと知りたい、具体的な検討がしたいという方は、ぜひ当社リアルテックまでご相談ください。
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