SAPのアドオン開発はなぜなくならないのか?

 2019.02.01  リアルテックジャパン株式会社

ERP開発の基本から考えれば「アドオン開発(追加開発)を極力抑える」ことは、システムの複雑化を避けてバージョンアップ時の様々な問題を回避するために必要とされています。しかし、それは本当に正しいのでしょうか?

確かにアドオン開発が増えるごとにシステムが複雑になり、管理負担が増し、バージョンアップ時には色々と問題が発生する可能性もあります。しかし、アドオン開発によって追加された機能は「その企業独自の強みであり、ビジネスを円滑に遂行するためのキーポイントでもある」はずです。そのため最近ではアドオン開発を最小限にして業務プロセスをERP側に合わせるという取り組みでERP開発に取り組んでいる企業もあります。

クラウドERPが市場を牽引していることで、既存の業務プロセスを変更させることに抵抗感の無い企業が増えているのでしょう。しかしながら、必ずしもアドオン開発を最小限にして業務プロセスを変更することが正解ではありません。本稿ではSAPのアドオン開発の必要性と問題点を整理しながら、企業ごとのアドオン開発について考えていきたいと思います。

アドオン開発の種類は4つ

アドオン開発といっても企業によってどんな追加機能が必要かは異なるので、企業ごとに多様なアドオン開発があると言ってよいでしょう。ただし多様なアドオン開発も大別すると4つの種類に分けることができます。

中でも最も多いのが「帳票に関するもの」です。社外のクライアント向けの見積書や請求書、財務報告書等を目的としたものから、社内の業務管理用に必要なものまで、その数は数百種から数千種に達する場合もあります。アドオン開発で新しい帳票の入出力機能を実装する場合、簡単なものなら1つあたり0.5人月程度の開発工数が必要になります(SAPが提供する帳票ツール「SAP Crystal Reports」を使用すると少ない開発工数で帳票が作成できます)。

次に多いのが「画面関係」のアドオン開発です。業務管理や部門管理など様々な目的で異なる入出力画面や集計レポート等の作成をすることが多く、これらの2つのアドオン開発は比較的負担が軽いものですが、数が多いため絞り込みがアドオン開発コストをコントロールするポイントだとされています。

3番目に多いのが「他システムとの接続インターフェース」に関するアドオン開発です。ERPを導入したからといって社内全体のシステム環境をまるごと統合した、ということにはなりません。既存環境から刷新するにしても残しておくべきシステム等もあるため、これをERPと連携する必要があります。業務上連携が必須になるケースが多いため、アドオン開発が避けられないことが多いでしょう。連携方法によって開発コストをコントロールできます。アドオン開発によるバグや障害といったトラブルが多いのがこの部分になります。

そして4番目に多いアドオン開発が「ロジックに関するもの」です。これは、企業独自の業務処理やこだわりの機能といった要件をアドオン開発で追加するというものです。標準機能では対応できないことが多いので、独自の商習慣を持つ企業などはアドオン開発が避けられないケースが多いでしょう。開発の程度にもよりますが業務プロセスや特有の機能ロジックのアドオン開発は大規模になりがちなので、開発コストも大きくなります。

アドオン開発はなぜ必要なのか?

SAPならびにERPを構築するにおいてアドオン開発を不要とする企業は非常に稀です。たとえば外資系企業の日本法人として新しく設立され、本社との連携性を高めるためにクラウドERPを導入したという企業ならば、設立すぐからERPがある環境なので業務プロセスをERPに合わせることが容易であり、アドオン開発を必要としないケースがあります。

しかしながら、そうした企業でも帳票類を本社のものと合わせるために少ないながらもアドオン開発に取り組むことが必要になります。つまりアドオン開発は企業ごとの商習慣を維持し、これまでと極力変わらない環境でERPを構築するためにも、欠かせない存在ということです。

だからといってすべてのアドオン開発が「正義」というわけではなく、やはり追加開発を最小限に留めることは大切です。ただしそれを意識するあまり必要なアドオン開発まで削ってしまうと、企業独自の強みを失うことになったり、ERP導入の効果を最大限引き出せなくなったりすることもあります。

アドオン開発の問題点とは?

アドオン開発は企業独自の強みや商習慣を維持するために欠かせないものですが、問題点が多いのも事実です。ここではその問題点を整理していきます。

開発工数と開発コストが増える

アドオン開発を行うということは通常のERP導入に比べて新たな開発工数と開発コストが加わるということなので、初期投資は自然と大きくなります。追加機能が多い場合は、ERP導入費用に匹敵するほどアドオン開発コストが肥大化することもあります。

管理負担が大きくなる

アドオン開発を加えて構築したERPでは通常のものと比べて管理項目が多くなります。そのため情報システム担当者の負担が大きくなり、新しいリソースが必要になる可能性があります。

バージョンアップ時の足かせになる可能性がある

企業独自に行ったアドオン開発の場合、ERP側がそれに対応していないケースがあります。そのためバージョンアップ時の足かせになり、正しくバージョンアップを完了させるために一度アドオンをERPから切り離さなければならない可能性があります。膨大な数のアドオン開発によってバージョンアップが難しくなり、旧バージョンで塩漬け状態になっているERPも少なくありません。

バグが発生しやすくなる

ERPに新しい開発を加えるということはそれだけバグが発生しやすくなるということです。特に問題なのは、企業独自に開発したアドオンはSAP社の管理外なので、標準プログラムにセキュリティ修正が加えられてもアドオンにバグは無くならないという点です。そのため、アドオンプログラムに脆弱性があることに気づかずにセキュリティ問題が発生する可能性があります。

ベンダーロックインの危険性がある

アドオン開発を特定のベンダーに委託し、かつ開発したプログラムのソースコードがベンダーによってブラックボックス状態になっている場合、今後はそのベンダーとしてか取引できなくなる可能性が高くなります。万が一ベンダーが事業撤退や倒産したら、開発されたプログラムを理解できる開発者は皆無なので、バグが発生したとしても対処できなくなる危険性があります。

以上のようにアドオン開発には様々な問題点があります。これらの問題点とどう向き合いながら、アドオン開発を最小限に留めるかを考えることで安定的に稼働し、企業課題を解決するERPを構築することに繋がります。

SAP構築時のアドオン開発はREALTECHにお任せ!

当社REALTECHはSAPに特化したテクノロジーコンサルティングファームであり、グローバルでの経験と最新技術を活用し、SAPシステムを検討、導入・運用されるお客様に最適なソリューションとその構築をお任せ頂けます。

1994年の設立後、ITサービスプロバイダとして急速な発展をとげ、現在はSAPテクニカルコンサルティングを提供する 世界的プロバイダとして成長しています。その技術力の高さは、ドイツSAP社からNetWeaver 最適化の要請を受け、バージョンアップ、マイグレー ション、サーバ統合などのサービス&サポートを行っていることでも実証されています。

SAPのアドオン開発についてお悩みの際はぜひREALTECHまでご相談ください。

リアルテックジャパン会社案内

RECENT POST「SAP情報」の最新記事


この記事が気に入ったらいいねしよう!