ERP(Enterprise Resource Planning)ソリューションの“SAP”はその製品のすべてにおいて、世界で数百万以上のユーザーを使用するクラウドコンピューティングサービスの“AWS(Amazon Web Service)”を本稼働環境として認定しています。
SAPとAWSは2011年から共同でSAPのアプリケーション、プラットフォーム、データベースの本番デプロイに適したAWS環境の確立に注力しており、確固たるパートナーシップがあります。
今回はそんなSAPをAWSへ移行するための方法とポイントをご紹介します。
なぜSAPはAWS上で稼働させると良いのか?
方法とポイントを紹介する前に、SAPをAWS上で稼働させる利点についてお話します。大まかな利点については次のような理由が挙げられます。
- AWSはSAPの認定を豊富に受けており稼働インスタンスの幅が広い
- ユーザー企業が要望する可用性を担保するための選択肢が多数ある
- 開発及び移行期間を短縮できる
- AWSおよびシステムインテグレーションパートナーの支援が充実している
各利点について具体的に説明していきます。
AWSはSAPの認定を豊富に受けており稼働インスタンスの幅が広い
SAPは包括的にアプリケーションを提供するERPソリューションであり、多様な機能を提供しています。AWSはそのSAPのすべての製品において本稼働認定を受けている唯一のクラウドコンピューティングサービスです。SAPとAWSには確固たるパートナーシップが築かれているため、SAPの新製品提供開始と同時に認定を受けるのが通例になっています。
さらに、AWSではSAP本稼働認定において豊富なAmazon EC2インスタンスがあります。これを取得することは容易ではなく、厳しいベンチマークテストを通過したものだけが認定されます。AWSではSAPの大規模な本稼働環境展開において、その重要な要件を満たすために次のようなストーリーがあります。
“2016年5月 – クラウド上でSAP HANAを稼働する目的で構築された2TBメモリを搭載したx1.32xlargeインスタンスタイプを発表しました。
2016年8月 – 最大7ノード、つまり14TBメモリまでのスケールアウトクラスタのサポートとSAP認定を発表しました。
2016年10月 – テスト用および小規模なSAP HANA展開に最適な、1TBのメモリを搭載したx1.16xlargeインスタンスタイプを発表し、両方のX1インスタンスのリージョンの利用可能範囲を拡大しました。
2017年5月 – 最大17ノード (34TBメモリ)の非常に大規模なスケールアウトのSAP HANAクラスタのSAPサポート、および4TBのメモリを搭載したx1e.32xlargeインスタンスタイプを発表しました月 – 最大17ノード (34TBメモリ)の非常に大規模なスケールアウトのSAP HANAクラスタのSAPサポート、および4TBのメモリを搭載したx1e.32xlargeインスタンスタイプを発表しました。
2017年11月 – x1.32xlargeを最大25ノード (50TBメモリ)のさらに大規模なオンデマンドのSAP HANAクラスタのSAPサポートを発表しました。”
ユーザー企業が要望する可用性を担保するための選択肢が多数ある
AWSのようなパブリッククラウドでSAPなど大規模なシステム環境を稼働すると十分な可用性が担保できないのではないか?という懸念もあるでしょう。しかし、AWSにおけるSAPの可用性はオンプレミス環境と変わる点はありません。
第一に、Amazon EC2 Auto Recovery”という機能を使用すればハードウェアに障害が発生すると、自動的に他の物理マシン上で仮想マシンが再起動し、いわゆるHA機能によって可用性を担保できます。
他には同一リージョンのほかのアベイラビリティゾーンにまたがって、従来型のHAクラスタを組むことで瞬時の切り替えができます。
こうした機能からAWS上ではオンプレミス環境と変わらない可用性でSAPを運用可能です。
開発及び移行期間を短縮できる
物理サーバーで開発や移行を始めようとすると、ハードウェア調達だけで1~2ヵ月を要します。一方AWSではAmazon EC2インスタンスを立ち上げるだけで即座に作業に取り掛かることが可能です。この違いは非常に大きく、最短で開発・移行環境を整えられます。
さらにAWSを使用すれば開発から検証、本稼働に至るまでのサイジング作業から解放されるため、物理サーバーの買い替えで発生するタイムロスはありません。
世界屈指の食品・飲料メーカーであるダノン社は、南アフリカに拠点を構える顧客コールセンターにて受注から支払までのサイクルを一つのシステムで管理することが可能なシステムを、本社同様の環境で遠隔地でも構築しました。最初のアプリケーションを開発するまでに至った期間はわずか2ヵ月です。
引用:「SAPのPaaSでコールセンターやWebサイトの短期システム開発を実現社したダノン社」
およびシステムインテグレーションパートナーの支援が充実している
日本国内ではSAPジャパン認定のパートナーがSAP on AWSの専門部署立上げ、顧客の支援に当たります。当社リアルテックジャパンもそのうちの一社です。
さらにAWSジャパンではSAP on AWSを推進するパートナーと協業し、場合によっては“AWSプロフェッショナルサービス”という有料コンサルティングサービスを通じ、顧客に対して直接的に様々な支援サービスを提供しています。
SAPをAWS上に構築したり、あるいはオンプレミス環境から移行したいというユーザーは豊富なコンサルティングサービスによって、最適なシステム構築が可能です。
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SAPをAWS上に移行するための方法とポイント
SAPをAWS上に移行するにあたってまず大切なことが、移行の目的を明確にしてAWS移行の妥当性を確認することです。SAPをAWS上に移行する理由としては「コスト削減を目指したい」や「システムパフォーマンスを向上したい」、あるいは「アプリケーション開発環境を柔軟にしたい」など企業によって様々な目的があります。そうした目的を明確にすることは、SAPのAWS移行の軸がブレないための指針を作る上でとても大切です。
目的の明確化が完了すれば次に対象システムの洗い出しを行います。基本的には業務への影響度が小さいサービスから移行していくのですが、それは企業ごとの環境を考慮して決める必要があります。さらに、対象システムを選定する際にはAWSを利用するにあたっての制約条件も十分に確認しましょう。
AWSではOSにWindowsやLinuxは利用できても、SolarisやAIXといったOSは利用できません。
この他にも様々な移行手順やポイントがあるのですが、これらが手間とコストだと感じたら当社リアルテックのSAP移行支援コンサルティングをご検討ください。SAP S/4 HANA、SAP Solution Managerの最新テクノロジーの構築、既存SAP ERPシステムなどの移行など、お客様が必要とするシステム環境を整えます。
お客様は、ハードウェアリソースを用意する必要がなく、またOS・SAPシステムへのパッチ適用など定常的なメンテナンス作業をリアルテックにお任せいただけます。
リアルテックのコンサルティングには豊富な経験により、最短・最適なかつ安全な方法で構築・移行を実施するためのノウハウがあり、お客様には継続的に安定稼働するシステムをご利用いただけます。
SAPをAWS上に構築・移行することは大変有効な選択肢ではありますが、そのためには専門的な知識と経験、それとノウハウが必要です。貴社のSAP構築・移行はぜひリアルテックまでご相談ください。
- カテゴリ: クラウド
- キーワード:SAP
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