SAPサポート期限「2025年問題」とは?

 2018.11.28  リアルテックジャパン株式会社

SAP ERPソリューションは長年にわたり世界No.1シェアを守り続け、多くの企業が持つビジネス課題を解決してきました。日本では約2,000社で稼働しており、今もなおその市場は拡大しています。

そんなSAP ERPソリューションに迫るビッグイベントが「2025年問題」です。これはSAP ERPソリューションの保守サポート期限終了を意味し、それに伴ってSAPユーザーには大きな課題が付き付けられています。

本稿ではSAP ERPソリューションの「2025年問題」について詳しく説明し、その対処についてもご紹介します。

なぜ「2025年問題」が発生するのか?

SAPが従来のERPソリューションの保守サービス終了を決断した背景には、リアルタイム性の欠如とSAP S/4HANAへの移行という2つの理由があります。

SAP ERPソリューションはその前身となるSAP R/3が1992年にリリースされてから、以降25年以上にわたってバージョンアップを重ね、細やかな対応を行ってきました。そのためERPソリューションとしての機能も網羅性には申し分ない製品であり、故に世界トップのシェアを誇っています。

しかしその裏では、ビジネス環境の変化と機能の拡充によってSAP ERPソリューションのリアルタイム性が徐々に欠如していきます。ERPソリューションは統合型の基幹システムのため様々な業務や法制度への対応が求められます。それに伴って機能要件は増える一方であり、過去の機能を利用しているユーザーも新しいバージョンで古い機能を削減することはできません。そこで起こる問題がシステムの肥大化です。

さらにSAP ERPソリューションは1つの伝票データを財務会計と管理会計の両システムで利用しているため、データの整合性を維持するために定められたプロセスに沿った処理があり、膨大な中間ファイルや処理データが作られていきます。その結果、SAP ERPソリューションは利用するほどシステムとデータが肥大化していき、リアルタイム性が欠如していくようになったというわけです。

2つめの理由であるSAP S/4HANAとは、SAP ERPソリューションのアーキテクチャを再構築してインメモリデータベースのSAP HANAを基盤に構築した新しいERPソリューションのことです。2015年2月に最初のリリースを迎え、それ以降大型のアップデートを繰り返しながら現在に至っています。

インメモリデータベースとはリアルタイムかつ高速なデータ処理に特化したデータベースであり、SAP HANAを採用すれば従来のERPソリューションがまるで遅いと感じるほど、超高速なデータ処理や操作性を提供します。

SAPはシステムとデータの肥大化を続けリアルタイム性が欠如したSAP ERPソリューションから、SAP S/4HANAへ移行してほしいという狙いもあり、2025年で保守サポート期限が切れることを決断しています。

SAP ERPを継続する?それとも止める?

多数のメディアではSAP ERPソリューションの保守サポート期限終了に関して「2025年問題」と表現していますが、誤解しないでいただきたいのがSAP ERPソリューションが利用できなくなるわけではないということです。あくまで保守サポート期限が終了するという意味で、既存SAPライセンスに影響を与えるものではありません。

そのため、ユーザーとしてはSAP ERPソリューションや継続するか、あるいは止めるか、という2つの選択肢があります。

SAP ERPを継続する

2025年に終了するのはSAP ERPソリューションのメインストリームサポートです。これは、新しい機能やデザインの更新、あるいはシステム品質の改善、セキュリティプログラムの適用を含むサポートを指します。メインストリームサポートが終了するとこのうちの、機能やデザインの更新、システム品質改善といったサポートが終了します。ただしセキュリティプログラムは継続して更新されるため、2025年以降もSAP ERPソリューションを使い続けるとセキュリティリスクが発生するわけではないのです。

実際にSAP ERPソリューションの継続を決めている企業も多いでしょう。その理由は「メインストリームサポートの終了という理由で、問題無く稼働している統合基幹システムを刷新することはできない、あるいはそれを上層部に打診することが難しい」というものです。

ただし、2025年以降にSAP ERPソリューションに新しい機能やデザインが追加されたり、システム品質が改善されることはありません。前述のようにSAP ERPソリューションが肥大化することでリアルタイム性が欠如するという難点もあります。

SAP ERPを止める

SAP ERPソリューションの稼働を止めるとなると、選択肢としてはSAP S/4 HANAを導入するか、他社のERPソリューションを導入するかという2択になります。SAP S/4 HANAは前述のようにインメモリデータベースを基盤にしたERPソリューションであり、SAP ERPソリューションのアーキテクチャをSAP HANA用に再構築しているため、非常にシンプルなシステムと超高速なデータ処理が実現できます。

さらに、分析とレポーティングという機能を同一プラットフォームで提供しているため、事業成功に欠かせないビジネスインサイトを瞬時に取得できるという大きなメリットがあります。

ただし懸念点もあります。従来のSAP ERPソリューションはUNIX、Windows、汎用機、Linuxなど複数のOSと複数のデータベースに対応しているのに対してSAP S/4 HANAはSAP HANAにしか対応していません。これによって複数のデータベース製品を組み合わせられないという課題が生じます。

しかし視点を変えればマルチプラットフォームへの対応に割かれていた膨大なリソースとサポート体制をSAP HANAに集約できるため、生産性が向上するという見方もできます。

SAP S/4 HANAとSAP S/4 HANA Cloud

「2025年問題」に伴って既存のSAP ERPソリューションを辞め、SAP S/4 HANAに移行するとしてさらに2つの選択肢があります。それがオンプレミスとしてSAP S/4 HANAを導入するか、SAP S/4 HANA Cloudでクラウドサービスとして利用するかです。

SAP S/4 HANAのメリットデメリット

SAP S/4 HANAをオンプレミスで導入する場合、閉じられた社内ネットワークで運用するためシステムパフォーマンスを最大にしつつ、セキュリティを強化できるというのがメリットです。SAP S/4 HANAのインメモリデータベース技術による超高速なデータ処理環境を最大限引き出したいというユーザーにおすすめです。

ただし、オンプレミスで導入する場合は企業独自のシステム運用が必要なので、運用負担が大きくなることは否めません。

運用負担がボトルネックになる場合はMicrosoft AzureやAmazon Web Serviceなどのクラウドプラットフォームへの構築を検討しましょう。

SAP S/4 HANA Cloudのメリットデメリット

SAP S/4 HANA Cloudは予めクラウドプラットフォーム上に構築されたSAP S/4 HANAをサービスとして利用するため、システム運用に必要な作業がありません。システム運用はSAP社が行っているため、ユーザー企業は運用負担なくSAP S/4 HANAと同じERPソリューションを活用できます。

ただいインターネット経由でサービスを提供するためオンプレミスに比べてパフォーマンスは低下します。さらにセキュリティリスクもオンプレミスより多いため、企業独自のセキュリティ体制を整える必要もあるでしょう。

リアルテックジャパンのSAP S/4 HANA移行・導入支援サービス

当社リアルテックジャパンは、HANAアプリケーション効果測定、インメモリーデータベース設計、マルチテナントデータやインメモリーデータベース活用を研究し、あらゆる市場やあらゆる産業へのHANAプラットフォーム適正を分析して、様々な業種のお客様でSAP HANA導入を支援させていただいています。

経験豊富なコンサルタントが在籍し、お客様が「2025年問題」を乗り切るために、環境ごとに合わせたソリューションをご提案いたします。

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