SAP運用のポイント

 2018.08.31  リアルテックジャパン株式会社

SAP導入によって期待される効果は多数あります。たとえば“SAP S/4HANA”を導入した場合、インメモリデータベースを活用した超高速データ処理によって、タイムラグをゼロにしたリアルタイムな経営活動に関する情報の可視化と情報分析が実現します。

この他にも、業務システム同士が連携することによるリソースの最適化や、集中的な運用管理などERP本来の価値によってビジネスを大きく前進させることができます。

このSAPを導入するにあたって企業が検討する点は、既存業務への適用や影響を考慮したアプリケーションの設計でしょう。SAPなどのERPは業務に直接影響を与えるシステムであるため、業務プロセスに合わせた導入を行うための設計や実装が欠かせません。

ただ、このような業務に合わせた適用が成功すればSAP導入が成功するわけではありません。SAPの導入効果を最大限に引き出すためには、業務面だけでなく、システムの“運用設計”も欠かせないのです。そこで今回は、SAP運用のポイントをご紹介します。

SAP運用に欠かせないITSMとは?

SAPというITサービスを部門ユーザーに対して、安定的なサービスと継続的な改善を提供するための欠かせない活動や仕組みが“ITSM(Information Technology Service Management)”です。SAPはビジネスの最適化を支援する大規模なITソリューションではありますが、その運用次第では期待する効果は得られません。

そこでITSMという仕組みを構築して、部門ユーザーに安定したサービスを届け、継続した改善を加えていくことで常に高品質なSAPを提供しビジネスの成功を大きく支援します。このITSMを構築する上で欠かせないものがITILです。

ITILとは?

“ITIL(Information Technology Infrastructure Library)”は1980年代に英国政府向けの手引書として開発され、1989年に英国政府より発行。その後は3回の改訂を経て2011年に発行さたれた“ITIL 2011 Edition”が最新版となっています。具体的にどういったものかというと、ITSMの成功事例(ベストプラクティス)を体系化した、ITシステムのライフサイクルマネジメントに関するガイドラインです。

品質マネジメントの国際標準としてはISO9000シリーズが広く知られていますが、ITシステム運用分野に関してはITILが最も有効的なアプローチとして注目されています。

ITILの5段階のITシステムライフサイクル

ITILを知る上で押さえていきたいポイントは5段階のITシステムライフサイクルです。各段階の概要は次の通りになります。

Service Strategy(サービス戦略)

ITサービスを提供するにあたってどのような領域で、どのようなサービスを実現するのかを戦略的に検討します。具体的な検討事項は財務管理、需要管理、サービスポートフォリオ管理、事業関係管理です。

Service Design(サービス設計)

サービス戦略で決定した新しいサービスの提供や変更に関して、ITサービスの設計手法に基づき安全に本番環境に移行できるようサービス設計をします。具体的な検討事項はサービスカタログ管理、キャパシティ管理、可用性管理、SLA管理、情報セキュリティ管理、サプライヤー管理、デザインコーディネーションです。

Service Transition(サービス移行)

顧客(SAP導入の場合は部門ユーザー)やその他の利害関係者の要件に基づいて設計したサービスを、運用段階に移行するための手段や方法をまとめます。具体的な検討事項は計画立案、サポート、変更管理、サービス資産管理、構成管理、リリースおよび展開管理、サービスの妥当性確認、サービステスト、変更の評価、ナレッジ管理です。 

Service Operation(サービス運用)

サービス設計によって合意されたSLA(Service Level Agreement)の範囲内にて、部門ユーザーに対してITサービスを提供する方法をまとめます。

Continual Service Improvement(継続的なサービス改善)

常に変化するビジネスニーズに対応しながら、部門ユーザーにとって有益なITサービスを提供し続けるために、効果測定・現状分析・システムレビューなどの活動によってITサービスとそれを支えるプロセスの継続的な改善のための手法をまとめます。継続的なサービス改善については、すべてのライフサイクルで実行すべきものです。

このように、ITILでは5段階のライフサイクルについてまとめることで、体系的にITSMが実践できるようになっています。

ITILのフレームワーク

次に、ITSMを実践するためにより具体的なITILのフレームワークについてご紹介します。

ITサービスサポート

ITサービスサポートはサービス利用者に対する日常的なサポートを適切に実施するための必要管理事項です。

サービスデスク

サービス利用者にとってIT組織への最初の連絡・相談窓口になり、インシデント(発生した障害や問題、疑問)に対応し問題の記録と解決、監視および要求変更の受付など広範囲にわたり管理します。

インシデント管理

インシデント発生時にその解決およびサービス提供をいち早く復旧するための管理です。インシデントについて適切に記録を採取することで、その後の対応の効率性を大幅に向上できます。アプリケーションが使用できなくなった、ハードウェアが故障したなど様々なインシデントに対応するサポートチームでもあります。

問題管理

発生した問題の根本原因を発見し対策を立てるだけでなく、能動的に問題の発生を防止するための管理です。

構成管理

ITインフラ(サーバーやネットワークなど)は日々変化を続けるため、標準化や状況の監視などのコントロールから構成要素の識別並びに詳細情報の収集および管理を実行します。さらに変更管理や可用性管理といった他のプロセスにITインフラに関する情報提供も行います。

変更管理

ITインフラに対する変更の許可と実装を確実に行う管理です。

リリース管理

テストを経て本番環境への導入を成功させるために、正しいバージョンのソフトウェアおよびハードウェアを確実に提供する管理です。

ITサービスデリバリ

ITサービスデリバリでは実務を実施するための部門ユーザーが必要とするITサービスの内容と、サービスを提供するために必要な管理事項です。

SLA管理

提供されるべきITサービスの種類と品質に関して、提供者と利用者が明確な合意をSLAを通して行うと共に、これを維持することを目標として管理します。具体的な実現方法は、部門ユーザーのニーズ把握とそれに基づくサービスを実施します。

サービス財務管理

ITインフラやITサービスに関わるコストと利益を正しく把握し、予算管理と会計に結びつける管理です。

キャパシティ管理

SLA管理で設定された部門ユーザーとの合意を実現するために、ITリソースコストや取得時期、展開などの最適化を目的にパフォーマンス管理、需要予測、負荷管理、アプリケーションの見直しなどを行います。

この他にもITILにはいくつかのフレームワークがありますが、ここでは特に重要なものをご紹介しました。ITILのフレームワークを活用することで、ITSMを体型的に実践し、SAP運用を効率良く行い高い効果を得ることができます。

まとめ

いかがでしょうか?SAP導入時はツールの設計だけでなく、運用の設計も確実に行うことでその導入効果を最大限に引き出すことができます。

リアルテックは、SAP導入におけるITSMコンサルティングサービスを提供しております。ITILを吸収し、適切なITSMを構築するためにはそれなりの時間とコスト、それと手間がかかります。当社は広範囲にわたったITSMコンサルティングサービスを提供することで、企業ごとに特徴の違うSAP導入と運用成功の支援を行います。SAP導入や運用について課題を感じている場合は、ぜひご相談ください。

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