はじめに
HANAはS/4HANAの土台にあたり、S/4HANAを理解する上で欠かせない要素です。本記事は、そのHANAの根幹をなす機能であるHANA Viewについて解説していきます。
なお本記事は、下記シリーズ記事の一部で、他記事も参照されることをお勧めします。
第1回 S/4HANAの勘所:HANAの歴史と概要
第2回 S/4HANAの勘所:HANA Viewを使った分析高速化 【本記事】
第3回 S/4HANAの勘所:HANA AFMとAFLを使った統計解析
第4回 S/4HANAの勘所:HANA XSエンジンを使ったWebアプリケーション
第5回 S/4HANAの勘所:HANA基本実践編(PALとLumiraを使った顧客分析)
第6回 S/4HANAの勘所:HANA応用実践編(PALとUI5を使った顧客分析)
HANA Viewとは
「HANA View」を端的に言うと、高速な分析処理を実現するためのデータベースビューです。HANA Viewとして、以下の3種類のViewを定義することができます。
- Attribute View:マスタデータのテーブルを結合したビュー
- Analytic View:マスタとトランザクションテーブルを結合したビュー(スタースキーマのOLAPキューブのイメージが近いです)
- Calculation View:テーブルやViewを結合して定義する柔軟なビュー(計算処理や複雑な結合に対応可能)
売上データを例に示すと、それぞれのビューを下図のようにマッピングすることができます。
HANA Viewでの高速アクセス
HANA Viewを使うと通常のSQLを使ったアクセスに比べて、処理速度が早いです。下図のようにそれぞれのViewに対応したEngineがあり、テーブル結合の事前キャッシュや並列化処理等を駆使して高速に処理されます。また、どのEngineを使うかはオプティマイザが最適なアクセス方法を判断してくれます。
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最後に
S/4HANAでは、その特徴のひとつとしてリアルタイムに高速分析可能なことがあげられます。その根幹をなす技術としてHANA Viewがあり、3種類のViewとEngineを使った高速処理を実現しています。HANA View内の機能拡張や処理パフォーマンス向上がSPごとにされており、SAP社の力の入れ具合を感じることができます。
次回は「S4/HANAの勘所:HANA AFMとAFLを使った統計解析」というテーマで"Application Function Modeler"と"Application Function Library"を使った統計解析について解説していきます。
- カテゴリ: S/4HANA