SAP S/4HANAで何が実現できるのか?

 2018.11.26  リアルテックジャパン株式会社

SAP S/4HANAというERPソリューションをご存知でしょうか?現在SAPを運用している企業も、他のSAP ERPソリューションを運用している企業でもSAP S/4HANAに注目しているところは多いかと思います。

SAPソリューションの幅広いコンサルティングサービスを提供している当社リアルテックジャパンには、「SAP S/4HANAって何?従来のSAP ERPと何が違うの?」という素朴な質問を受けます。SAP S/4HANAというERPソリューションが何だか従来のものと違って様々な利点を持っていると理解はしていても、詳しい内容までは分からないという方が多いようです。

そこで今回は、このSAP S/4HANAについて概要を説明し、移行・導入することでのメリットについて紹介します。

SAP HANAとは?

SAP S/4HANAについて説明する前に、SAP HANAとは何かを理解していきましょう。

SAP HANAはデータベースを提供するサービスの1つであり、SAP独自のアーキテクチャを搭載しているサービスです。その最たる特徴がメインメモリデータベースとして提供し、高速なデータ処理を実現している点です。

通常データベースではデータを格納する際に、ハードディスクまたはソリッドステートにデータを保持します。これに対しSAP HANAは全てのデータをコンピューターのインメモリに展開しながら処理を行います。

メモリとは「一時的なデータを保持した複数のアプリケーションを同時に稼働するための領域」のことです。そのため、通常はデータベースのストレージ領域を全面メインメモリにすることは難しく、ハードディスクやソリッドステートといった処理スピードの劣る方法でしかデータベースを構築できません。

しかしSAP HANAではインメモリを全面採用したデータベースを構築できるため、従来のデータベースに比べて処理が非常に高速になります。SAP HANAはクラウドまたはオンプレミスでの展開が可能

SAP HANAの説明を読みピンときた方も多いでしょう。SAP S/4 HANAとは、SAP HANAを構築プラットフォームとして稼働するSAP ERPソリューションを指します。メインメモリデータベースを全面的に採用するため、データ処理が高速になるのはもちろんこと、従来のSAP ERPソリューションに比べて次のような違いを持っています。

SAP HANAに合わせてアーキテクチャを再構築している

SAP S/4 HANAはデータベースとしてSAP HANAを採用しスピードアップを図ったわけではありません。それならば、他のERPソリューションをSAP HANAで構築するのと同じことです。SAP S/4 HANAではその能力を最大限に引き出すためにSAP ERPソリューションのアーキテクチャを全面的に再構築し、データモデルを大幅にシンプル化しています。

たとえばこれまでのSAP ERPソリューションでは品目に関する在庫情報において、30近くのテーブルが存在しました。従来の構造では何万点もの部品点数を持つようなアセンブリー品のバックフラッシュ処理(部品在庫の引き落とし)を行う場合、処理が追い付かないことが多々発生していました。対策としては夜間バッチ処理でまとめて行うケースが多かったのですが、SAP S/4 HANAでは中間テーブルをすべて排除した2つだけのテーブルを使用し、SAP HANAの高速性を活用することで瞬発的に在庫数の計算処理が可能になっています。

ユーザーエクスペリエンス設計の応答性が向上している

従来のSAP ERPソリューションでは機能別にまとまった画面にて行う処理を行うケースで、多くの画面を行き来しながら処理を行っていました。その点SAP S/4 HANAで業務を行うユーザーごとにロール別に画面を再設計し、画面の行き来が大幅に少なくなっています。たとえば特定の業務において10画面から4画面で業務が完了できるよう設計されています。

さらにSAP S/4 HANAでは取引入力とデータ分析を同一プラットフォームで実現しているので、プラットフォームの違いで業務が断続的になることもありません。

コアに機能を統合している

もう1つのポイントはPrinciple of Oneという原則にもとづいて、SCMやCRMなどのシステム間での重複をなくしながらコア範囲を再定義している点です。たとえば従来のSAP ERPソリューションでは品目コードは最長18桁でしたが製造業では桁が足りなくなる場面も多く、40桁の品目コードをサポートしている機能を業種別ソリューションとして別途提供していました。これがSAP S/4 HANAでは標準機能として提供されます。

これはあくまで一例であり、SAP S/4 HANAは他業種のオペレーションをたった1つの構築プラットフォームで動かせるように日々進化を続けています。

SAP S/4 HANAがもたらすメリット

実は、SAP社が提供する従来のSAP ERPソリューションは2025年にそのサポート期限を終了するというアナウンスがすでにされています。つまり、現在SAP ERPソリューションを利用しているユーザーは、2025年までにSAP S/4 HANAもしくは他のERPソリューションへの移行が求められています。

ここではSAP S/4 HANAを採用することでどういったメリットがあるのかを具体的にご紹介します。

システムのレスポンスタイムがゼロになる

SAP S/4 HANAはデータベースとしてインメモリ技術を全面的に採用しています。これは実際に体感したユーザーにしかが実感できないことですが、SAP ERPソリューションをはじめ従来のERPソリューションに比べてそのデータ処理速度は圧倒的に向上します。SAP社ではそれを「ゼロレスポンスタイム」と呼んでいます。

TCOやストレージコストの削減になる

レスポンスタイムが大幅に改善することでビジネスプロセスの見直しも従来より簡単になります。エンドユーザーのオペレーションが少なくなりTCO(総保有コスト)が削減されるため、生産性が高まった分ビジネスプロセスを大幅に改善できるでしょう。さらに、データサイズが小さくなることで相対的にストレージコストの削減にもなります。

分析・レポーティングを同一プラットフォームで

従来のSAP ERPソリューションでは分析やレポーティングなど、経営戦略に結びつくような情報を取得する仕組みを、ERPとは別に構築したDWH(データウェアハウス)等で実現していました。それに対してSAP S/4 HANAでは分析もレポーティングも同一プラットフォームで可能になり、ビジネスに欠かせない情報をスピーディに取得できます。

クラウドで運用効率をさらに高める

SAP S/4 HANAはオンプレミスやクラウド等の運用プラットフォームを自由に選択できます。SAP S/4 HANAへの移行を機にクラウドへ展開すれば、運用効率を大幅に改善できます。

リアルテックのSAP S/4 HANA新規導入・移行サービス

当社リアルテックは、HANAアプリケーション効果測定、インメモリーデータベース設計、マルチテナントデータやインメモリーデータベース活用を研究し、あらゆる市場やあらゆる産業へのHANAプラットフォーム適正を分析して、様々な業種のお客様でSAP HANA導入を支援させていただいています。

SAP S/4 HANAの新規導入や既存ERPソリューションからの移行はユーザー企業独自に行うことは難しい課題が多く、プロジェクトが長期化するケースも少なくありません。当社ではSAP社とのパートナーシップを活かし、オンプレミスからのシステム移行測定、HANAアプリケーションのパフォーマンス分析とチューニングなど、お客様の要件にお応えし適切な環境構築を支援いたします。

SAP S/4 HANAの導入や移行に関するご相談はぜひ当社までご連絡ください。

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