いよいよ国内でのERPのHANA化検討が本格化しつつある状況を現場で実感しています。
ERPのHANA化をご検討中のBASIS担当者は、どれだけのメモリーを用意すればいいのかというのは気になるところです。
これまでのERPシステムの選定と同様にメモリーサイズは大きいに越したことは無いのですが、HANAのライセンス単位がメモリーサイズとなっているため、安易に大きくできないというジレンマに苦しまれているのではないかと想像しています。
今回は、HANAのメモリーサイジングの考え方を整理したいと思います。
一声にHANAと言っても用途に応じて、下記の4つタイプに分類できます。
- Pure HANA
- Suite on HANA
- BW on HANA
- Business one on HANA
Business one on HANAは日本ではあまりなじみがありませんので、今回はそれ以外の3つのタイプについて見ていきます。
それぞれの用途ごとにSAP Noteがリリースされていますが、それに基づくとデータサイズ1TB(1024GB)の既存データベースをHANA化する場合に必要となるメモリーのサイジングは下表のようになります。
HANAデータサイズとHANA必要メモリーサイズが異なることに注意してください。
HANAはインメモリーデータベースですので、当然ながらメモリーにデータを持ちます。そして、HANAの内部処理やクエリー実行によりデータ領域とは別のワークメモリーの領域が必要になります。そのため、データサイズの2倍のメモリーを用意することがサイジング上必要とされているのです。
先の表では机上計算によってサイズを算出していますが、BW on HANAやSuite on HANAの場合は既存システムで実行するサイジング用ABAPレポートが利用可能です。詳細はSAP Noteをご参照ください。
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HANAの必要メモリーサイズ(初期)が決定すれば、データ増を加味してサーバーを選定します。
HANAの本番稼働にはSAP社認定モデルの利用が必須となっており、下記のCertified SAP HANA Hardware Directory Webサイトで確認することができます。
https://global1.sap.com/community/ebook/2014-09-02-hana-hardware/enEN/appliances.html
2016年7月6日時点の認定情報に基づくサーバー構成パターンは下記のようになります。
大きなメモリーサイズを確保する方法には、単体サーバーのメモリーサイズを大きくするScale Upと複数サーバーを連携させてメモリーサイズを大きくするScale Outがありますがそれぞれに制限があります。
Suite on HANA用途の場合、Scale Out構成は2016年7月現在限定出荷中となっているため、結果的にScale Up構成となります。
また、Pure HANAおよびBW on HANA用途の場合、CPU1coreあたりのメモリーサイズ制限により、4TB以上はScale Outでの構成となります。
尚、Scale UpとScale Outの両方が選択可能な場合はScale Upの選択をSAP社は推奨しています。
例えば、Pure HANA用途で4TBのHANAを導入する場合、4TBのサーバー1台での構成と2TBのサーバー2台での構成が可能ですが、この場合は4TBの1台構成が推奨となります。2台構成の場合、クエリー実行結果の生成のためにネットワーク通信が必要になる場合があるため、性能が劣る可能性があります。また、運用面でも1台構成のほうがシンプルにできるという利点があります。
いかがでしたでしょうか。構成検討の一助となれば幸いです。
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- カテゴリ: S/4HANA