Tech JAMリプレイ:統合プラットフォームとしてのHANA開発(SAPUI5, OData, PAL, HANA View)

 2015.05.22  リアルテックジャパン

はじめに

先日(5/20)SAP社主催の「SAPHANAの祭典SAPTech JAM」にてブースを出展しました。お忙しい中、お越しいただいた方々、ありがとうございました。

ブースには来られたけどゆっくり見られなかった方、残念ながら来られなかった方に向けて出展内容をリプレイとして投稿します。

 

今回の出展内容は以下の2つのトピックにフォーカスしています。

1.HANAを支える新しい開発基盤と運用支援ツール
2.Businesss Process Automation (BPA)

SAPデータコピーツール Data Sync Manager
SAPユーザー必見!テスト・トレーニング・データ移行時に機密データを守る方法は?

本記事は「1. HANAを支える新しい開発基盤と運用支援ツール」の開発内容概要についてお伝えします。

なお本記事は、下記シリーズ記事の一部で、他記事も参照されることをお勧めします。

1Tech JAMリプレイ統合プラットフォームとしてのHANA開発(SAPUI5, OData, PAL, HANA View)【本記事】

2Tech JAMリプレイHANAテキスト検索でのナレッジ管理効率化

3Tech JAMリプレイ:SAPUI5 SmartTableを使った高度な一覧表示

4 Tech JAMリプレイ:HANA PALを使った将来予測

5Tech JAMリプレイ:HANALumira Desktopでの再発見

そもそもHANAで何ができるの?

HANAは単なるデータベースではなく、基本的に何でもできる統合プラットフォームです(多少乱暴な表現をしています)。統合プラットフォームの説明については別記事「S/4HANAの勘所:HANAの歴史と概要」にHANAの変遷を含めて詳しく書いていますので参照ください。
Tech JAMは技術者向けの祭典ということで、技術者の多くの人が関わる「システム導入プロジェクト」で「こんなツールがあれば」と考えたことを作ってみました。テーマを「過去・現在・将来を見通す」として、ただ現状を見るだけでなく将来のシミュレーションもできるようにという想いを込めています。
また、HANAの祭典ということで、NetWeaver ABAPなどを使わず純粋なHANAのみで作っています。
まずは、ブースでご紹介したデモ動画を御覧ください。

デモコンテンツ

動画のデモコンテンツは以下の3つから成り立っています。

メニュー(Fiori Launchpad)

プロジェクトマネージャー向けの品質(課題)、コスト(工数)、納期(スケジュール)がわかるメニュー画面です。「メニュー上でコンテンツを開くべきかどうかがわかるようになったらいい」という想いで設計しています。課題状況が予想外によくないので原因を見てみる、承認依頼が溜まっていたら処理する、といったといったように必要な場合のみメニューに入ることで効率化を図ります。 
Fiori Launchpadというフレームワークに対してSAPUI5で各画面を実装しています。

課題ダッシュボード

 プロジェクトにおける課題の遷移および現況がわかるようにしています。「課題一覧をExcelでグラフを作って可視化するのではなく、変遷や最新情報をわかりやすくしたい」という想いで設計しています。また、目立たないですが日本語のあいまい検索をできるようにしています。「債権自動消込」で検索したときに「債権自動消し込み」という言葉もヒットできるようにしています。
SAPUI5からOData、サーバサイドJavaScriptを呼び出し、裏ではテキスト検索エンジンとHANA Viewを使っています。HANA Viewを使うことで会計明細のような大量データをリアルタイムで分析できる仕組です。
テキスト検索エンジンに関しては後の記事「Tech JAMリプレイ:HANAテキスト検索でのナレッジ管理効率化」で詳しく解説します。また、テーブル形式の一覧表示は「Tech JAMリプレイ:SAPUI5 SmartTableを使った高度な一覧表示」で詳しく解説します。

開発工数シミュレーション

 過去の開発履歴をもとに開発工数をシミュレーションできるようにしています。「開発者」、「開発タイプ」、「想定ステップ数」と「難易度」を入力することで、過去の同様のケースから合理的な開発工数を算出します。「開発工数を属人的な知見にもとづいて見積するのではなく、合理的に見積もれればいい」という想いで設計しました。
SAPUI5からOData、サーバサイドJavaScriptを呼び出し、裏ではPAL(Predictive Analysis Library)とHANA Viewを使っています。
PALに関しては後の記事「Tech JAMリプレイ:HANA PALを使った将来予測」で詳しく解説します。

HANAでもう一度想像してみる

長いこと特定の分野に関わっていると、色々なことが身についてきます。その副作用として、気づかないうちに考え方に制約をかけていることはないでしょうか?「どうせ、こんなことはできない」、「この要件はこのやり方で設計・実装するんだ」などです。
HANAを使うことで私自身は下記のようなことに気付かされました。頭が堅くなってしまうことは怖いことです。

HANAによる技術的制約からの解放
内容 思い込み HANAで実現できること
メニュー画面 目的のアプリ画面へ遷移するもの。 アプリ画面を使うべきかの判断ができるもの。
データ分析 リアルタイム分析は遅いため、1日遅れの過去情報を見るためのもの。 リアルタイムで最新情報を把握、分析をするもの。将来を予測するもの。
見積等のシミュレーション 優秀な人間が知識、経験にもとづいて行うもの。 過去の履歴から合理的に算出するもの。
日本語のあいまい検索 言語処理に特化したアプリケーションを使う。 基幹データを含めて検索するもの。

過去に存在した既存技術の制約は、今ではなくなっていることも多いです。S/4 HANAでよく使われる"Reimagine"は、現在できることでもう一度業務とシステムがどうあるべきかを想像する、という意味を含んでいるのだと思っています。みなさまの関連する業務、システムでももう一度想像してみると、今よりよいことが多々あるのではないでしょうか。今回の内容が少しでも助けになれば幸いです。

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