S/4HANA構成要素について データモデル編(OLAP統合)

 2015.02.16  リアルテックジャパン

はじめに

「【S/4HANA】プレスリリースからそのコンセプトに迫る」「【S/4HANA】プレスリリースからその実態に迫る」という記事で、S/4 HANAの発表内容について解説しました。

記事の中で、以下の3分野が革新の基軸であると書きました。

「theGuard! SmartChange Transport Management」 導入
SAPシステムパフォーマンス分析パック
  • 画面(User Experience)
  • データモデル
  • システム設定

上記の「 データモデル」に関して、下表で3ステップのデータモデル革新方法に整理しています。
今回は、下表No.1「ERPとサテライトシステムの統合」の特にOLAP統合について解説していきます。

No. データモデル革新方法 内容
1 ERPとサテライトシステム*の統合

現在のERPとサテライトシステムでは多くのデータ連携をしてマスタやトランザクションを複製しています。イベント内では「データロードの40%をERPとCRMのデータ交換が占めている」と例示しており、1システムに集約することで多重データとデータ連携の冗長性を省くと力説していました。
1点、気になったのはスライドに”Planned Availability”と書かれており、まだ実現を確約でる段階ではないようです。ただ、イベント内で大々的に発表しているので、高い確率で実現するのではないかと予想しています。

2 モジュール内でのデータの単純化 モジュール内で使用するデータモデルを単純化することで、データサイズ圧縮を図ります。会計モジュールの例では、「1つの会計処理で、DBに対して15回更新処理を行っていたのを4回更新まで単純化した」と発表しています。
3 実績データと過去データの分離 データを実績データと過去データに分け、実績データをインメモリのアクセスが早い領域に展開することで最適化を図るようです。
 

※画面(User Experience)については「S/4HANA構成要素について 画面編(Fioriとは)」を参照ください。

統合範囲について

「サテライトシステム」はCRMやSRM等のBusiness Suite群のこと、とS/4HANA発表イベント内でHasso Plattner氏が言っていました。Hasso Plattner氏が明言していないですし、公式サイトで明確な定義がないのでわかりませんが、本内容ではBWも「サテライトシステム」に含めています。
イベント内では下図のようなスライドを使って「ERPとサテライトシステムの統合」について話していました(左が旧来ERPで、右がS/4HANAです)。

S4HANA_ONE_SYSTEM.jpg

S/4HANAでは、ERPが基軸でサテライトシステムがアドインのような扱いとなっています。ERPとCRM等との統合は"Planned Availability"となっており、具体的にどうのように設計・実装されるかは現時点ではわかっていません。しかし、実現されることにより、システム間のインタフェース処理やデータの冗長化等が解消され、より"Simple"なアーキテクチャになることが期待できます。
今回は、実現済のERP(OLTP)とBW(OLAP)統合に焦点を当てていきます。

SAP S/4HANAで何が実現できるのか?」もぜひご覧ください。

ERPと同システムでOLAP処理を可能とするための技術要素

S/4HANAでは、ERPと同システムで分析(OLAP処理)をします。従来のシステム構成では、トランザクション処理(OLTP)と分析(OLAP)をシステム単位で分けていました。その理由を端的にいうと、ERP上での分析処理は遅くて多大なシステム負荷がかかるからでした。下図が比較のイメージです(上が旧来ERPとBWで、下がS/4HANAです)。S/4HANAでは、集約処理およびデータ複製という冗長性が解消されたシンプルな構成になっていることがわかります。では、レポーティングの早さを担保している5つのHANA技術を解説していきます。

S4HANA_OLAP_OLTP.jpg

1. インメモリDB

HANAはインメモリとして設計されたDBであり、データをメモリから取得するため、ディスクアクセスと比較して高速な処理が可能です。昔であればコストを考えると、ディスクに大容量データを保持することが現実的な選択肢でした。しかし、近年メモリ単価が下がっており大容量データをメモリ上に保持することも可能になりました。また、ディスクに対するアクセス速度向上は頭打ちの状態になっていますが、メモリアクセスの高速化は進歩していて、まだ伸び代があると言えます。

2. カラムストア

HANAはロー(行)ストアだけでなく、カラムストアをサポートしています。カラムストアは分析用途のデータアクセス方法に対して非常に相性がいいです。また、「Consistent View Manager」という機能を使用して、カラムストアテーブルでのOLTP処理を安定したものにしています。

※カラムストアについては「【SAP BWで最新SQLServer活用】第2部 カラムストアインデックスを活用したBIバックエンド」でも取り上げているので参考にしてください(具体的な設計・実装はHANAとSQL Serverで異なりますが理解の一助になるかと思います)。

3. パーティショニング

テーブルのパーティショニングにより、大規模テーブルを複数に分割することが可能です。これにより、1つの重いテーブルアクセス処理のボトルネックが解消でき、高速化に寄与します。

4. 並列化

HANAはマルチコアでの並列処理を前提としてアルゴリズムが設計されています。「2. カラムストア」の結果として1件のSQLをカラム単位で処理細分化をした場合、その処理を並列化をすることによって、高速化が見込めます。また、「3. パーティショニング」の結果としてデータが分割された場合にも並列処理が効果を発揮します。

5. HANA View(Information View)

HANAでは3種類のViewを定義することが可能です。それぞれのビューに応じた最適なアルゴリズムで高速データアクセスが可能です。「HANA Live入門」で説明した内容はHANA Viewが基盤になっています。

[SMART_CONTENT]

まとめ

S/4HANAでERPとOLAP(BW)を統合することにより、以下のメリットを享受できます。

  • リアルタイムな経営・業務判断が可能になること
  • システムの冗長性をなくせること

そして、そのために使われている5つのHANA技術要素について解説しました。個々の技術要素については、踏み込むとかなり深い内容となるため、今回は概要のみの説明としています。

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