・はじめに
日本時間で2/4(水)にSAP社から「S/4 HANA」という新システムについての発表がありました。S/4 HANAはSAP Business Suite for HANAの略で、現在のBusiness Suiteの後継にあたります。発表イベント内ではSAP社の過去の苦悩や今後の方向性についても語られる興味深い内容でした。今回は、その内容からS/4 HANAのコンセプトに迫ってみます。
S/4 HANAとは
S/4 HANAはSAP Business Suite for HANAの略ですが、SはSimple、4は第4世代を表しているそうです。発表イベント内で使われたスライドでは以下のように世代を示していました。
- 第1世代:R/2
- 第2世代:R/3
- 第3世代:ERP
- 第4世代:S/4 HANA
過去23年間で最大の発表としており、従来のERPから画面、処理、データモデル、設定方法を全面刷新しています。
こちらの「SAP S/4HANAで何が実現できるのか?」についてもっとご覧ください。
SAPの目指す先
イベントでHasso Plattner氏はSAP設立時に「情報入力およびそのレポーティングをリアルタイムに実現すること」を目指したと言及しています。そして、「今までしてきたことの90%はパフォーマンス実現に関すること」と告白しています。それだけの大きな割合で取り組んでいる点を知るとリアルタイム性に対するこだわり、熱意を痛感せずにはいられませんでした。
その上で、最終的に目指す先は「システムの応答時間ゼロ」と訴えています。CEO、COO、マネージャー等がスクリーンに写っているグラフを見ながらディスカッションをしているスライドを指して、「あらゆる内容の実績、予測データをリアルタイムで分析し、シミュレーション、議論ができる姿を目指している」と語っています。
S/4 HANA内容
リアルタイム性を実現するために大きく以下の2ステップを踏んでいます。
- インメモリとカラムストアを特徴とするHANAの開発
- HANAを基盤としたデータモデル単純化およびプログラム書換
2の「プログラム書換」に関してHasso Plattner氏は相当な危機感を持っていたらしく、「数百万行に及ぶプログラムの書換をしなければSAPは遅かれ早かれ死ぬ」とまで感じていたようです。2に関しては、ERPとBW・サテライトシステム(CRM、SCM等)統合という大きな変更から、個別モジュール内でのデータモデル単純化もしています(正直、すごい!)。システムの刷新ではよく"Redesign"という単語をよく見ますが、S/4 HANAのサイトでは"Reimagine"という単語を使って今回の革新を表現しています。このあたりに、目標に向けてどうしていくべきかを想像し直した、という意気込みを感じます。
また、画面に関しても「大きな革新をした」と発表しています。
「過去10年のSAPシステムの大きな弱点は画面」と言っています。その中で、デスクトップPCだけでなくモバイル端末からでも入力可能なFioriを画面として採用しているようです。
S/4 HANAまとめ
最後に4W1HでS/4 HANAについてまとめます。
- Why: ビジネスのリアルタイム性を目指すために
- What: 画面、処理、データモデル、設定を全面刷新
- Where: ERP、 BWおよびサテライトシステム(CRM、SCM等)が対象
- When: 2015にリリース
- How: パブリック・クラウド, プライベート・クラウド, オンプレミスの3形態で提供
今回のイベントはリンク先でリプレイを見ることができます。
次回の投稿では、S/4 HANAの内容にもう少し深く踏み込んでみます。
※今回の引用部分はわかりやくするために、意訳をしています。正確な文言での内容はリプレイを参照ください。
- カテゴリ: S/4HANA
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