はじめに
S/4HANAの製品発表時に、Hasso Plattner氏は「あらゆる内容の実績、予測データをリアルタイムで分析し、シミュレーション、議論ができる姿を目指している」と理想を語っています。「予測」と「シミュレーション」をするために統計解析機能がシステムに必要です。本記事では、HANAのAFMとAFLを使った統計解析について説明していきます。
なお本記事は、下記シリーズ記事の一部で、他記事も参照されることをお勧めします。
第1回 S4/HANAの勘所:HANAの歴史と概要
第2回 S4/HANAの勘所:HANA Viewを使った分析高速化
第3回 S4/HANAの勘所:HANA AFMとAFLを使った統計解析 【本記事】
第4回 S4/HANAの勘所:HANA XSエンジンを使ったWebアプリケーション
第5回 S4/HANAの勘所:HANA基本実践編(PALとLumiraを使った顧客分析)
第6回 S4/HANAの勘所:HANA応用実践編(PALとUI5を使った顧客分析)
AFMとAFLについて
まずはAFMとAFL関連の用語を以下で説明します。
- AFM(Application Function Modeler):ノーコーディングでプロシージャを定義できるモデリングツール。AFLの機能を使用可能。
- AFL(Application Function Library):PALとBFLとで構成されるC++で記述された関数群。
- PAL(Predictive Analysis Library):クラスタリング等の予測・分析をするための関数群。
- BFL(Business Function Library):主に金融関連の計算をするための関数群。
それぞれの下図で表現できます。
AFMの使い方
下図のような画面でモデリングしていきます。右側のパレットから左側のエリアへドラッグアンドドロップするだけで、PALやBFLの機能を使用できます。ノーコーディングで定義可能なので、データ解析のハードルを下げることができるツールです。下図の例ではPALのK平均法を使用してクラスタリングしています。また、統計に強いオープンソース言語のR言語をモデリング内に組み込むことも可能です。
※リンク先の動画を見るとイメージしやすいです。
まとめ
統計解析は今までのABAPスタック上では難しい処理でした。AFMとAFLを使うことでS/4HANAの目標である「あらゆる内容の実績、予測データをリアルタイムで分析し、シミュレーション、議論ができる姿」をノーコーディングで実現できるようになりました。(もちろん、コーディングをして複雑な処理も可能です)。今後、以下の記事でAFM、AFL(PAL)を使用した顧客分析例を紹介しく予定です。
- カテゴリ: S/4HANA
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