SAPのパフォーマンスに問題が出てきたら?その分析のポイント

 2018.09.07  リアルテックジャパン株式会社

世界で最も導入されているERPソリューションのSAP。これからERPを導入しようと考えている皆さんの中でも、SAP導入を検討している方は多いでしょう。SAPは“SAP S/4HANA”という、インメモリデータベースをプラットフォームとしたERPスイートを提供し、超高速なデータ処理を実現したり、リアルタイムな経営情報の可視化を提供しています。

導入によって得られる効果は大変大きいのですが、課題になるのはそのパフォーマンスをいかに維持するか?という点です。

SAPのような大規模なERPソリューションは、一つ一つの業務システムを統合するように設計されていますが、複数の業務システムをまたぐプロセスが複雑になったりすることでパフォーマンスが低下するなどの影響が出る場合があります。

そこで今回は、SAPにパフォーマンス問題が発生したらどうすればよいのか?をご紹介します。

SAPのパフォーマンステストツール

SAPを運用していてパフォーマンス問題が発生した際に、まず使用すべきものはSAPが提供するパフォーマンステストツールです。これはSAP上のトランザクション“ST30”というもので提供されています。ST30を使用すると自動テストを実行できるため、効率良くパフォーマンスの現状を把握することができます。

自動パフォーマンステストを実行するためには次の前提条件が必要です。

≪プロファイルと権限≫

テスト対象システムで必要なプロファイルは、以下のとおりです。

  • S_TOOLS_EX (統計レコードの使用、STAD)
  • S_ADMI_FCD (値 ST0M、ST0R、SM21)
  • S_ADMI_FCD (SQL トレースの使用、ST05)

セントラルテストシステムで必要なプロファイルは、以下のとおりです。

  • S_TABU_ALL (テーブル更新ビューの使用、ログID の編集)

テスト対象システムで汎用グループを実行するために必要な権限は、以下のとおりです。

  • ECATT_EXECUTE
  • SSQ0
  • SAPWL_STAT

セントラルテストシステムで必要な権限は、以下のとおりです。

  • RFC の実行権限
  • ST30 カスタマイジングデータを入力するために、データベーステーブルビューの更新のために必要となる権限 (SE16 権限と類似) を持っていることを確認する必要があります。

≪その他の前提条件≫

テスト対象となるシナリオが、セントラルテストシステムで eCATT テスト設定として使用可能である必要があります。

信頼性のある結果を獲得するには、テスト設定を繰り返し実行する必要があります。このため、テスト実行中に登録または変更されたデータが後続のテスト実行に影響を与えないようにする必要があります。

  • テスト対象システムで eCATT を使用できる必要があります。GUI スクリプトを強くお奨めしますが、これはすべての場合に使用できるわけではありません。
  • クライアントで eCATT 機能を使用できるようにするには、トランザクション SCC4 を使用します。スクリプトを作成できるようにするには、トランザクション RZ11 を使用してシステムパラメータ sapgui/user_scripting を TRUE に設定します。 

※引用元:SAPライブラリ「グローバルパフォーマンス分析(SAP自動パフォーマンステストの実行 )

ST30を利用することにより短時間でSAPのパフォーマンスを測定することができ、問題に関する様々な情報を収集できます。

パフォーマンステストツールだけで十分なのか?

SAPにはパフォーマンステストを自動化するツールが揃っており、パフォーマンスに関する情報を収集できます。しかし果たして、それだけでSAPのパフォーマンスを最適化することは可能なのでしょうか?

答えは「No」です。SAPのパフォーマンステストツールを使用しても、問題はその後の問題解決に向けたアクションであり、SAPから出力されたパフォーマンスレポートを解析して問題を特定する必要があります。

実はパフォーマンステストツール以外にも、SAPでは様々なサービスを提供しています。たとえば“GoingLive Check(GLC)”というサービスではSAPの本稼働を順調に開始できるよう、本稼働の前後に提供される予防的なサービスです。GLCを利用するとシステムやビジネスプロセス設定が最適化されていないことによって生じるリスクが軽減されます。

一方“EarlyWatch Check(EWC)”というサービスはユーザーが使用しているSAPの各コンポーネント、オペレーティングシステム、データベースを対象として解析を行い、パフォーマンスを最適化し総保有コストを最小限に抑える方法を発見するためのサービスです。

これらのサービスを利用することでSAPのパフォーマンスに関する情報を得ることはできますが、サポート範囲はレポートの提出のみです。ユーザーはレポートの内容を評価し、レポートに記載されているNoteを熟読した上で、どの推奨事項を適用するかを慎重に判断しなければなりません。

さらにレポートといっても様々な情報があり複雑で、ユーザーがこれを読み解くためには相応の知識や技術が求められます。そのためパフォーマンテストツールを使用したり、GLCやEWCといったパフォーマンス評価サービスを利用するだけでは、パフォーマンス問題を引き起こしているボトルネックの解消までを行うことは難しいでしょう。

専門家によるパフォーマンス解析を検討する

SAP運用でのパフォーマンス低下問題に悩んでいた、これからSAPを導入したいがパフォーマンス管理について懸念しているという企業は、専門家によるパフォーマンス解析サービスの利用をおすすめします。

たとえば当社リアルテックはSAPが提供するGLCやEWCレポートの解析を行っており、SAPパフォーマンスに関する深い経験と知識を持っています。その経験と知識をもってCPUリソースやメインメモリーの不足、パフォーマンス最適化が行われていないプログラムやシステムを分析することで、パフォーマンスに対するお客様の要求を全面的にサポートしています。

ERPソリューションであるSAPは大規模なシステム環境を構築するため、ユーザーだけでパフォーマンス管理を内製化することは難しいという側面もあるのです。そのため、SAPを適切に運用するためには、ときに専門家によるパフォーマンス解析も必要でしょう。

日常的なパフォーマンス監視も欠かせない

SAPのパフォーマンスを維持するためにもう一つ欠かせない点が、日常的にパフォーマンスを監視することです。SAPのパフォーマンスは組織全体の業務遂行に直結する問題なので、パフォーマンス低下などが発生した際はすぐさま対応せねばなりません。しかし、それはあくまで事後対応であって高いパフォーマンスを維持するための活動にはつながらないでしょう。

SAPを運用するにあたっては、その生産性を最大化するためにも日常的にパフォーマンスを監視し、障害を未然に防ぐことが欠かせません。しかしながら、SAP運用でのパフォーマンス監視は容易ではありません。そもそもシステム規模が大きいということもあり、APMソリューションなどを導入するか、多くのリソースを割いてリアルタイムに監視する必要があります。

当社リアルテックのIT運用サポートサービスでは、このような課題をお持ちのお客様に最適なサービスを提供しています。SAP運用に関する豊富な経験と知識を持つコンサルタントが次のようなサポートを行います。

  • SAPリリースに潜むアプリケーション障害やパフォーマンス低下時の原因調査
  • SAPシステム運用手順策定
  • コンプライアンスのための権限見直し支援
  • SAP Basis全般における日々のリソース監視や月次運用レポート提供
  • 移送運用効率化の支援

SAPのパフォーマンスを日常的に監視していれば、パフォーマンス低下の予兆をいち早く察知し、かつ最適化に向けて素早くアクションを取ることができます。これからSAPを導入しようと検討している方も、すでにSAPのパフォーマンス問題に悩まされている方も、この機会に専門家によるパフォーマンス診断と監視のサービスをご検討ください。

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