第1回 【SAP標準機能活用】SAP標準のアーカイブ機能を使ってコスト削減(本記事)
第2回 【SAP標準機能活用】SAP標準アーカイブ環境への既存データ移行
第3回 【SAP標準機能活用】アーカイブ環境の見直し
最近のSAPアーカイブ事情
コスト削減の一環で、SAPアーカイブ環境の見直しを検討されるお客様が多くなっているように思います。
日本では、長年サードパーティ製の専用ツールを利用した高機能なSAPアーカイブ実装がほとんどでした。
一方でSAPを長年利用している欧米のユーザ様では、SAPパッケージが標準でもつアーカイブ機能を使って実装しているケースが多く、国内ではSAPを長年利用されているユーザ様がサードパーティ製ツールを用いたSAPアーカイブ環境からSAP標準のアーカイブ環境に移行するケースを幾つか担当させて頂いておりました。
ある意味、昔からSAPを使っていたBASISコンサルやお客様担当者様の方が積極的に採用してソフトウェアライセンス費用削減、ソフトウェア保守費用の削減という形で効果を出されていたのが実情ではないかと思います。今回は改めて、「SAP標準のアーカイブシステムとは?」というところで、基本から説明して参ります。
データ種別と目的
アーカイブ対象のデータ種別で、大きく2種類に分かれます。
・データアーカイブ
・イメージアーカイブ
日本のSAPユーザ様の多くが、データ・アーカイブをメインに実装されており、一部のお客様がイメージアーカイブ実装されている感じかと思います。
SAP標準データアーカイブ概要
データアーカイブ処理とはデータベースのテーブル上にあるレコードをアーカイブファイルに退避した後に削除することです。
SAP標準でアーカイブ実行プログラムが提供されており、ビジネスオブジェクトの内容を1つにまとめてアーカイブファイルに出力します。(ビジネスオブジェクトは、複数のテーブルに分散しています。例:会計伝票ヘッダ、明細等)
またアーカイブデータにアクセスするレポートも提供されており、必要なときにアーカイブ済みデータへいつでもアクセスすることが出来ます。
データベース上のテーブルサイズが小さくなり、扱うデータが少なくなることで処理のパフォーマンスを向上させたり、バックアップ処理時間を短縮することができます。また、アーカイブ済みデータ自体も参照可能なため、長期間のデータ保持要件を満たすことが出来ます。
基本的なアーカイブ手順は下記のような流れになります。
- アーカイブファイルへデータの書出し
- 1の対象となったデータをDBレコードから削除
- 外部ストレージシステムへアーカイブファイルをストア(オプション)
- アーカイブ済みデータの参照
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SAP標準データアーカイブ機能のトランザクション
メインとなるトランザクションコードは「SARA」です。
ここからカスタマイズの設定や指定したアーカイブObjectで削除対象となるデータベーステーブルなどを確認できます。
また、アーカイブ実行と実行結果確認もここから可能です。(通常はジョブ管理ツールなどを使用して自動化します。)
アーカイブ済みデータの参照には、トランザクションコード「SARE」を使用します。
参照に関するカスタマイズのトランザクションコードは「SARI」ですが、今回は割愛します。
参考1) 受注伝票の場合は、受注伝票照会トランザクションコード「VA03」からアーカイブ済み伝票番号を入力しても参照可能です。
参考2) 関連伝票ブラウザ「AL01」からも参照可能です。
画面を見て頂くとお解り頂けたかと思いますが、アーカイブとしての基本機能は網羅しており、長年使い古されて枯れた機能なので安定性も申し分ありません。
今回は以上となり、次回これらを活用するにあたって重要になってくる「アーカイブデータの保管」機能の説明したいと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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