SAP導入を成功させるポイントはこれだ

 2018.09.28  リアルテックジャパン株式会社

世界で最もメジャーなERP(Enterprise Resource Planning)製品といえば“SAP”でしょう。設立された1972年から46年以上にわたって、エンタープライズビジネスの基盤を支え続けています。

ERPは今や導入していて当たり前の時代です。日本で普及が始まった1990年代後半当初は、大規模なインフラが必要なことから「大企業が導入するもの」という認識が強かったのではないでしょうか。しかしここ数年では、クラウドサービスの普及に伴い、中小企業でもERPの導入が活発化しています。

ERP市場が順調に拡大している背景には、やはり中小企業におけるERP導入の活発化が大きく寄与していると思われます。そのためここ最近ではERP導入を検討する企業数が増えており、業種や規模にかかわらずリアルタイムな情報分析や情報活用へのニーズが高まっていることがうかがえます。

このような背景の中、ERP導入にあたってSAPは優先的に検討される製品です。それは、大企業、中堅企業、中小企業を問わずSAPが世界で高いシェアを持つ製品だからです。SAPでもクラウドサービスを提供することで、中小企業からも高い支持を得ています。

今回ご紹介するのは、そんなSAPを導入するにあたって注意すべきポイントです。特に、そのプラットフォームの観点からまとめてみたいと思います。

SAP導入で最も注意すべきポイントとは?

皆さんはSAP HANAをご存知でしょうか?これは現在のSAP導入において非常に重要なプラットフォームであり、大量データの高速な処理を提供する“インメモリデータベース”です。

ではインメモリデータベースとは何でしょうか。一般的なデータベース(Oracle、Microsoft SQL Serverなど)は搭載されたハードディスク上にデータを展開して動作することを基本としています。それに対してインメモリデータベースは、すべてのデータをコンピューターのメインメモリ上に格納しながら動作するものです。

従来のデータベースと比較して、データアクセスに最も時間がかかるディスクI/Oがほとんど発生しないことから、インメモリデータベースは高速に処理できるデータベースとして人気が高まっています。インデックス構造やバッファ領域管理の違いから、従来のデータベースに比べてかなり高速な処理を可能にしているのです。

このインメモリ技術を採用したデータベースの一つがSAP HANAです。オンプレミスまたはクラウドでの展開が可能で、ビジネスプロセスの高速化やより多くのインテリジェンスを提供します。

なぜSAP HANAがSAP導入にあたって重要であるかというと、SAP HANAを利用することで高速データ処理による、ほぼリアルタイムな情報分析や情報活用が可能になる一方で、従来のデータベースの展開や運用方法と異なる点があるからです。

SAPを高速化することのメリット

SAP HANAによってSAPのデータ処理を高速化することでどういったメリットがあるのでしょうか?

1.経営スピードが圧倒的に違う

企業経営は情報分析を主体とした“データドリブン(データ駆動)”の時代です。高速な経営スピードを手にするために多くの企業がERPを導入しますが、すべてのERP製品がリアルタイムな情報分析を可能にしているわけではありません。通常は、従来型のデータベースをプラットフォームにするため、その設計やスペックによってはデータ処理に時間がかかり情報分析が思うように進まないこともあります。

それに対してSAPは、SAP HANAと統合することで高速なデータ処理を実現し、情報の収集や分析を高速化し、結果として経営上の意思決定スピードを劇的に向上させます。データ処理のタイムラグがゼロになり、リアルタイムな情報分析を可能にするからです。

2.全社最適化が促進する

ERPを導入する企業の多くが統合されたITシステム環境による“全社最適化”を目指しています。このことは、これまで部門ごとに最適化されていた業務システムを連携させることで、組織全体のデータを集約するとともにデータの不整合をなくすことができ、適切な業務を可能にすることを意味します。

SAPは、SAP HANAとの統合によりデータ処理が高速化し、かつ部門ごとの業務システムやデータ連携も高速化するため、より高い業務効率化や生産性向上の効果が得られます。

このように、SAPとSAP HANAを統合することによるデータ処理の高速化は、従来のERPには無かった付加価値が生まれます。それはビジネスの成長に大きく貢献し、まったく新しい経営スタイルや業務スタイルを確立するきっかけにもなるでしょう。

SAP導入で検討すべきクラウドについて

SAP導入にあたってもう一つ検討すべきものが“クラウド”です。クラウドとは外部ネットワークを経由して提供されるサービスの総称であり、そのサービス内容によってIaaS、PaaS、SaaSなど種類が分けられています。

そして、SAPの導入や展開においてもこのクラウドサービスが有力な選択肢になってきています。なぜクラウドを検討すべきかというと、従来型のインフラに比べて運用負担が少なかったり、チューニングが簡単だったり、導入費用を抑えらえるといったメリットがあるからです。

たとえばSAPにSAP HANAを統合した“SAP S/4HANA”は、SAPのマネージド・プライベートクラウド、AWSやAzureおよびGoogle Cloud Platformといったパブリッククラウドにその環境を構築することができます。さらに“SAP S/4HANA Cloud”はクラウドの構築されたSAPをSaaSとして利用できます。

つまり企業はそのニーズに合わせた形でSAPをクラウド上に構築したり、サービスとして利用することができるのです。ここで、クラウドの利点について掘り下げてご紹介します。

クラウドのメリット

SAPをクラウド上に構築したりクラウドサービスとして契約することのメリットは、まずインフラ調達に時間や手間がかからないことです。従来のERPならばインフラ調達にかなりの時間と手間がかかり、かつ初期投資も莫大にかかっていました。ERP構築も一大プロジェクトになり、コストが肥大化する傾向にあったのです。

一方、クラウドでのインフラ調達は非常に簡単で、SAP構築のために必要なインフラの設計さえしてあれば、展開は非常に短時間で完了します。これがクラウドの大きな利点でしょう。その後はSAP運用環境に合わせてインフラの増減も容易に行えます。

もう一つの重要なメリットは、運用負担がかからないこととセキュリティを向上できることです。たとえばSAPをクラウドに構築した場合、インフラ監視や運用といった業務負担を大幅に効率化することができます。クラウドサービスとして提供されるSAPにいたっては、バージョンアップ対応も不要なので、運用負担をかなり軽減できるでしょう。

さらに、クラウドはセキュリティの監視や対策をクラウドベンダーが行っており、自社独自にセキュリティシステムを構築するよりも、低コストかつ堅牢なセキュリティを構築できます。

SAP導入のポイント

このように、現在のSAP導入においては、従来の導入時にはなかったインメモリデータベースやクラウドというプラットフォームの検討が必要になっています。このことは、導入時の設計や調達などのプロセスを変化させるとともに、運用に対しても大きな影響を与える要素になります。

この新たな世代のプラットフォームを運用まで含めて設計し、展開することが現在のSAP導入を成功させる重要なポイントと言えるでしょう。

まとめ

SAPを導入する際は、インフラとアプリケーションという2つのレイヤーに分けて設計を行うでしょう。インフラではSAP HANAやクラウドの導入という要素を積極的に活用するための検討を行い、中長期的な視野で選択や設計を行っていただければと思います。

リアルテックでは、このようなプラットフォームに対応した設計や運用のご支援をいたします。今後のビジネスプラットフォームとして最大限ご活用いただくためにも、ぜひご相談ください。

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