世界シェアNo.1のERPソリューションSAP。大企業はもちろんのこと、中堅・中小企業でもSAP導入が拡大しており、それぞれのニーズに適合した統合システム環境を構築できることで、多くの企業がその効果を実感しています。
これに伴ってSAP運用基盤も多様化しており、昨今ではクラウドコンピューティングを活用した運用に注目が集まっています。クラウドコンピューティングとは、システム稼働に必要なリソースやミドルウェア・OSといった稼働環境をオンラインで調達し、かつ利用に応じた費用を支払うというものです。
その中でも、マイクロソフトが提供するAzureは世界中で採用されているクラウドプラットフォームの1つです。SAPをクラウドプラットフォームで運用するにあたって、選択肢はいくつかありますがAzureとAmazon.comが提供するAmazon Web Services(AWS)が有力候補に挙がります。どちらのクラウドプラットフォームもSAP運用を強力にサポートするためのソリューションを提供しており、ユーザーとしては選定に悩むところもあるでしょう。
本稿では、マイクロソフトのクラウドプラットフォームAzureに着目し、そのメリットと移行する方法・ポイントをご紹介します。
Azureとは?
Azure(正式にはMicrosoft Azure)は2010年1月に世界21ヵ国で正式サービスを開始したクラウドプラットフォームです。クラウドコンピューティングにはソフトウェアを提供するSaaS、プラットフォームを提供するPaaS、それとインフラを提供するIaaSの3種類があります。AzureではこのうちPaaSとIaaSを提供し、システム稼働に必要なリソースを提供したり、あるいはソフトウェア開発のための環境を提供します。
さらにAzureは次のように多数のサービスを提供しており、ニーズに応じて適切なサービスを選ぶことが大切です。
≪Azureサービスのカテゴリ≫
- AI+機械学習
- DevOps
- ID
- Microsoft Azure Stack
- Storage
- Web
- コンテナー
- コンピューティング
- セキュリティ
- データベース
- ネットワーク
- メディア
- IoT
- モバイル
- 移行
- 開発者ツール
- 管理
- 統合
- 分析
これらのカテゴリの下に様々なサービスが存在し、サービス数は100を超えます。多彩なクラウドサービスを提供することがAzure人気の理由であり、顧客企業数は世界数百万社、国内だけでも10万社が利用しています。
Azureのメリットとは?
SAPをオンプレミスで運用した場合と比較して、Azureのメリットを紹介します。
初期投資を抑えて、必要なリソースを素早く調達できる
SAPをオンプレミスで構築する場合、サーバーの調達やネットワークの整備等の多数の費用項目がかかり、初期投資は必然的に大きくなります。これは大規模なシステム環境を構築する上では避けては通れないことです。
それに対してAzureでは、サーバー調達やネットワークの整備といった点にコストをかけずSAPを導入・構築可能なので、初期投資を抑えることができます。
Azure上から必要なサービスとリソース、あるいは稼働環境を選択するだけで素早く運用基盤を整えられることも、初期投資の抑制に貢献しています。
優れた拡張性でスケールに合わせた運用が可能になる
Azureに限った話ではないのですが、クラウドコンピューティングはサービス利用途中でも必要に応じてリソースの拡張や収縮ができます。
SAP運用基盤を途中で変更しなければいけない時も、Azure上で運用していればその都度のニーズに合わせたリソースや運用環境をサイジングできます。
そのため無駄な投資をなくしたり、ランニングコストを最適化することが可能で、運用環境に合った基盤をいつでも利用可能です。
Webを経由したネットワーク環境に囚われない利用ができる
クラウドコンピューティングの特徴といえばWebを経由し、ネットワーク環境に囚われず色々な利活用ができることです。従来のシステムは社内ネットワークだけで使用するというのが一般認識でしたが、クラウドコンピューティングなら社外にいても同じようにシステムを利用できます。
これはAzureでも同様であり、Azure上に構築したSAPを社外から利用したり、組織のニーズに合わせた運用が可能です。ただし気になるのがセキュリティ面でしょう。Web経由で利用できるということは、閉じられた社内ネットワークよりも不正アクセス等のリスクがあると考えらえます。
その点に関してAzureでは細やかな権限制御が大きな特徴なので、セキュリティ面でも安心して利用できます。
長期的な投資計画が立てやすく、長期利用でコスト削減になる
Azureが提供するAzure Reserved VM Instancesは1年または3年分の費用前払いで投資額を予算を明示できます。そのためユーザーにとっては長期的な投資計画が立てやすく、かつDv13インスタンスを例にすると1年で30%、3年では50%のコスト削減が可能になります。Azureは長期にわたる安定運用を望むユーザーに利用しやすいクラウドプラットフォームといえます。
SAPをAzure上に移行する方法とポイント
オンプレミスで現在稼働しているSAPをAzure上に移行する場合、まず重要になるのがアセスメント(現状評価)です。同じSAPを運用しているといっても企業ごとにその環境は大きく違います。そのため、現況としてどういった運用をしているのか、何を目的にAzure上に移行したいのか等を考え、Azure移行計画を立てます。
1番難しいポイントが、無数にあるAzureのクラウドサービスの中から何を選択するかです。この点に関しては企業独自に対応するのではなく、導入パートナーに依頼することをおすすめします。
当社リアルテックは、HANAアプリケーション効果測定、インメモリーデータベース設計、マルチテナントデータやインメモリーデータベース活用を研究し、あらゆる市場やあらゆる産業へのHANAプラットフォーム適正を分析して、様々な業種のお客様でSAP HANA導入を支援させていただいています。
当社ではSAP社とのパートナーシップを活かし、HANAから初めてSAPシステムを導入するお客様を支援するだけでなく、既存のお客様のビジネス変革を担うべく、オンプレミスからのシステム移行測定、HANAアプリケーションのパフォーマンス分析とチューニングなど、お客様の要件にお応えし環境構築を支援いたします。
SAPをAzure上に移行したい、移行するだけではなくて適切な運用を支援して欲しい。そういったニーズがある場合は是非当社までご相談ください。環境ごとにマッチした最適なソリューションを提案いたします。
- カテゴリ: SAP クラウド
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