Microsoft Azureを企業で本格的に使い始めようとすると、個別のアカウント毎にクレジットカードや請求書払いベースでは、会社全体のコスト管理が行き届かなくなります。年単位の前払い契約(*注)を行うことで、従量課金制より費用的なメリットを享受することがが可能になりますので、そのような包括契約を締結される方も今後増えてくることが想定されます。
*注:エンタープライズアグリーメント(EA)契約とか、ボリュームライセンス(VL)契約とか、SCE(Server Client Enrollment)契約とかで呼ばれるもの。本記事では、現場でよく使われるEA契約という言葉を使います。
今回はEA契約をされて複数のAzureサブスクリプションを管理していくにあたって、最初のゴールをパブリッククラウドの使いこなしで重要なコスト最適化の観点からサブスクリプションをどう設定すべきかに絞り、かつ注意しなければいけないポイントも交えながらご説明していきます。
第1回 EA Azureサブスクリプション設計:Azureのサブスクリプションとは<ー本記事
サブスクリプション(Subscription)とは
下記の説明がわかり易いので、ご紹介させて頂きます。日本語でよい訳語がないので、本記事では「サブスクリプション」のままでいきます。
www.nttpc.co.jp/yougo/サブスクリプション方式
要は、Azureのコストを長期的に最適化していくためには欠かせない要件なのですが、なにも考えずに適当に作ってもAzure自身は使えてしまいますので、設計や管理がおざなりになっている方も多いかと思います。
Azureにおけるサブスクリプションとは
下記の説明がわかり易いので、ご紹介させて頂きます。
アカウント、サブスクリプション、管理ロールの管理
サブスクリプションに紐付いて、アカウント(後述)とロール(役割)が強く結びついているのがわかります。
上記LINKを開いて読むのが面倒という方は、Azure管理ロールの種類と各ロールの権限をみて、①「アカウント管理者」、「サービス管理者」、「共同管理者」があり、②サブスクリプションには上限という形で制約があるという2点は必ず押さえて下さい。
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Azure サブスクリプションとサービスの制限、クォータ、制約
サブスクリプションには、いくつかの制約がありますが、それらは「既定の制限(クォータ)」と「上限」で定義され、「既定の制限」は都度サポートにインシデントという形で問い合わせることで「上限」まで引き上げることが出来ます。
弊社の経験でいうと、当初何も意識していなかったのですが、Azure上でインスタンスを増やしていくと、仮想マシンのコア数が既定の制限(クォータ)である20コアに到達してしまい、下記の内容のインシデントをMSサポート宛てに登録して、数日で増やしてもらいました。
内容:仮想マシンのコア数クオータ増加依頼:
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1. サブスクリプション名 : xxxxxxxxx
2. サブスクリプションID : xxxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxx
3. ご希望のクォータ増加をするサービス : コア数
4. ご希望クォータ数 : 40
5. ご利用予定のデータセンター : 東京
6. 理由:台数増加に伴い20では足りなくなり、今後増強予定のため
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ここまで読んで頂いた時点で、「サブスクリプション」がコスト管理だけでなく、ユーザ管理とリソースの制約に関連しているんだという雰囲気はご理解いただければ幸いです。 次回はAzure内部の管理体系と使いこなしについて書きます。
最後までにお読み頂きありがとうございました。
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