SAP環境における高可用性検証はそれ相応の環境準備が必要なためなかなか手を付けられずにいましたが、昨年末にDELL様より共同検証する機会を頂きました。検証結果の詳細は近日技術ホワイトペーパーという形で公開予定ですが、実際の動作を確認頂くための動画を先行で公開させて頂きます。
今回取り上げる具体的な技術要件ですが、S/4HANAの可用性を高める代表的な手法のひとつ「HANA System Replication」とその周辺のご説明並びにその挙動はどうなるかというところです。
はじめに
SAP社の次世代ビジネススイート製品であるSAP Business Suite 4 SAP HANA(略称S/4HANA)は最先端のインメモリープラットフォームである SAP HANA上ですべて構築されることになります。本検証では基幹システムに求められる高可用性(High Availability、以降HA)について、今後主流になるであろう実装方式を用いて基本動作検証を実施しました。
その際にはフェールオーバー時のシステム挙動の観察だけでなく、トランザクションを実際に処理させることで、業務への影響も併せて考察を行ないました。
「SAP S/4HANAで何が実現できるのか?」もご参考にしてください。
実装方式パターン
一言で申し上げると、「SAP HANA System Replication + SLES HAE アドオンによるS/4HANA向け高可用性システム」となります。
SAP HANA標準のデータ複製機能 HANA System Replication(HANA SR)とLinux OS及びSAPクラスター構築用アドオンとしてSUSE Linux Enterprise Server(SLES)及び High Availability Extension(SLES HAE)を組み合わせることで可用性を高める方式です。SLES HAEの代わりに3rd Party製のクラスタソリューションを用いることも可能です。SLES HAEはLinux HA機能の実装面でSAP NetWeaverと統合されたHAソリューションとして2012年に最初に認定された製品であり、SAP製品との親和性も高いことから代表的な実装パターンとして採用しました。なお、単体サーバではなく複数のHANAサーバを使ったスケールアウト構成が存在しており、その場合はSAP HANA Host Auto-FailoverシナリオによるHA構成がありますが今回は対象外としています。
今回は実機がありますので、百聞は一見にしかずということで、勘所を動画にしてみました。
そもそもS/4HANA環境自体に触ったことがない方も少なくないかと思いますので、GUI周りの見た目も紹介しています。
あとHAとは直接関係ないのですが、HANAならではの組み方ということでマルチテナント構成で組んでいたり、待機系のサーバは通常運用時に品質保証機として活用しています。
環境説明編
フェイルオーバ動作確認編
雰囲気伝わりましたでしょうか?
HANA特にS/4HANAはサーバリソースを要することもあって、実機を見る機会が少ないかと思います、なにかの参考になれば幸いです。
最後になりましたが、貴重の機会を賜りましたデル株式会社の関係者皆様に心から御礼申し上げます。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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