「仮想化の次の一手:ハイパーコンバージドインフラ」という記事で、まずは「従来型インフラ」との違いの代表的なところをざっくり説明しておりました。今回は視点を変えて、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)が登場に至るまでのその歴史を振り返りたいと思います。
あえて歴史を理解することに拘る理由は、HCI自身が近年実現した技術革新をうまく取り入れることによって、どのように課題を解決していったのかを「一連の流れ」で掴むことで、効率よく本質的な技術の勘所を理解をすることができるように思ったためです。
これから旬になるので、各ベンダーさんから製品紹介や提案を受けることがあるあもしれませんが、1時間とかの限られた時間では、主要な機能と価格だけになってしまうこと必至です。HCIの検討だけを目的するというよりは、現状の仮想化環境の課題とかもこの歴史を理解することで、より鮮明になると思います。
さて、ここで弊社視点で独自にうんちくを語っても薄っぺらいのは間違いので、いいのがないか探してみたところ、ずば抜けたものがありました。
執筆者は、Steven Poitrasという方で、HCIでトップを走っているNUTANIX社のソリューションアーキテクトの方ですが、自身のBlogで書きためたものを一冊のBibleにまとめ上げたものです。
序文をNUTANIX社CEOの方が書かれており、下記はその一部抜粋です。
・・・その彼はブログを書き始めるにあたって、内容の透明性を維持し、デザインをオープンにすることで業界の支持を築きあげるという大きな夢を持っていました。企業として考えた場合、彼がブログに書いたようなレベルでデザインやアーキテクチャーを公開することは稀です。確かに、オープンソース企業は、ソースコードを公開しているため透明性が高いように思われますが、デザインの詳細や内部的な動作の仕組みについては、決して語ろうとはしません。しかしNutanixの競合相手が製品やデザインの弱点を知れば、逆にそれはNutanixを強くすることにも繋がるのです。
最後に「いつも誠実たらんことを」とあり、原文には Keep us honest とありますが、徹頭徹尾 Honesty で満ちあふれており、技術者マインドを揺さぶる静かな熱意を感じるよい文章だと思います。
これをお読みの方にはまだまだわかりにくいであろう「ハイバーコンバージェンス」という言葉も、実際にググって調べるといろんな説明や定義があり混乱するのですが、下記の説明に集約されているのはお見事です。
前置きがすっかり長くなってしまいました。
以下がそのアジェンダです。
この並びと粒度だけみても事情通にとっては秀逸の出来なのですが・・・
全部読んでも1時間はかかりません。インフラのエキスパートであればその内容の濃さがわかりますが、そうではない方は専門用語はどうぞばんばん飛ばして読んでも、元がよい文章なのでそれなりに理解可能です。
- パート I. これまでの歴史を振り返る
- データセンターの進化
- メインフレーム時代
- スタンドアローンサーバーへの移行
- 集中型ストレージ
- 仮想化の登場
- 仮想化の成熟
- ソリッドステートディスク (SSD)
- レイテンシの重要性
- 転送量について
- メモリレイテンシに対する影響
- Webスケール
- ハイバーコンバージェンス
- ソフトウェアデファインド・インテリジェンス
- 自律分散システム
- インクリメンタルかつリニアな拡張
- ここまでの理解
- データセンターの進化
ここ数年のうちに、この中に書かれている内容の多くがRFI/RFPに登場するのは間違いないと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
Have Fun !
こちらの「ハイパーコンバージドインフラ(HCI)とSAPの繋がり」についてもっとご覧ください。
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