2011/6/13 added. English version is here.
先週本ブログで「【AWS/EC2】Amazonクラウド上でのSAP製品の動作保証一部開始」を掲載しておりましたが、ご覧になられましたでしょうか?
現時点では一部のサポートしか提供されていませんが、詳細まで読んで頂けると様々な情報が得られます。今回はSAPでのパフォーマンスに着目してみました。
実際にAWSでSAPを利用するにあたって、どのくらい快適なのか、どのくらいまで負荷をかけられるのかについての定量的な情報がどこにもありませんでした。そこで、AWS上でSAPを動作させたらどのくらいの負荷まで耐えられるのかをSD Benchmark driverを使ってテストしてみました。(現時点でこの情報は世界中どこにもないです、きっと。)
今回は最速のベンチマークを実施することが目的ではありません。ユーザ様のごく一般的な活用を想定して、あえて素の設定で特別なことをなにもせずにどれくらいでるのかです。
ー測定環境概要
東京都千代田区にある弊社サーバにSD Benchmark driverを稼働させ(=SAPのクライアントPCがこちらにあるイメージ)、AWS東京リージョン上のSAPサーバに負荷をかけています。
Windows上からみたAWSインスタンスはこちら。(稼働クロックは以前の記事でも書きましたが、変動します。)
ーAmazon上のインスタンス
テスト環境は以下の通りです。
・インスタンスタイプ( http://aws.amazon.com/jp/ec2/instance-types/)
Large Instance(東京リージョン):
7.5 GB メモリ
4 EC2 Compute Unit(2 EC2 Compute Unitを有する2仮想コア)
850 GB インスタンスストレージ
・OS
Windows Server 2008 R2
・RDBMS
MS SQL SERVER 2008 R2
・SAP
SAP ERP 6.0 EhP4
ワークプロセス数はデフォルトのまま。(dialog:10、background:3)
ー測定結果
○SDbenchmarkユーザ数 : 150
→エラー発生なし。
CPU平均負荷は約95%。
平均応答時間:約1.1秒
×SDbenchmarkユーザ数 : 155
→約半数のユーザでエラーが発生。
CPU平均負荷は約100%。
×SDbenchmarkユーザ数 : 160
→全ユーザでエラーが発生。
CPU平均負荷はほぼ100%。
1SDbenchmarkユーザ = 5 SAPS で計算すると、AWS Large Instanceは、約 750 SAPSという結果が出ました。
SAP Note 1588667 によると、High-memory Double Extra Large Instance(ECU13.0)で3700 SAPSとの記載があるので、今回のテスト環境のLarge Instanceでは、
3700[SAPS] * 4.0[ECU] / 13.0[ECU] = 約1138[SAPS]
となり、この値と今回のテスト実測値の割合は、
750[SAPS] / 1138[SAPS] = 約66[%]
で、SAPが定義したSAPSの 約2/3 の性能はでていることが分かりました。
この結果をふまえると、小規模のSAPシステムであれば、Large Instanceでも十分運用に耐えうるのではないでしょうか。
「いけてます、東京リージョン!」
----付録----
SD Benchmarkツールって、かなりマニアックなツールで見たことない方がほとんどではないでしょうか?そもそも限られたパートナーしか使えないツールなので、誰でも使えるツールではありません。ちなみに弊社でもたまに動かすことがありますが、そもそもプロ向けのツールということもあり、SPのレベルが違うと挙動が変わったりして毎回汗を流しています。
せっかくなので画面ショットを掲載します。
SAPのサーバ稼働認定の壁を易々と乗り越えたAWSですが、次回はクラウドにとって最も重要な課金に踏み込むべく、AWSを上でSAPを稼働させた場合のコストについて今回の結果から分析をしてみたいと思います。ちょっと時間がかかりそうですが、楽しみにしていてください。
長文お読み頂きありがとうございました。
詳しくは、こちら「SAPのパフォーマンスに問題が出てきたら?その分析のポイント」記事でご参考にしてください。
- カテゴリ: クラウド
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