予測分析の裏側
前回記事、「予測分析(Predictive Analysis)でシステムの価値を高める(中編)」では、HANAを使った予測分析を解説しました。
少しここでハードルをあげます(笑)。
前回の記事では紹介しませんでしたが、こんな画面で分析しています。
また、予測分析モデルは以下の式を使っています(この式を深く意識せずに使っていますが)。
Φ(B)Yt=HTXt+Θ(B)εt, t∈Z
εt~i.i.d.N(0,σ2)
技術に強い人はワクワクしてくるかもしれません。ですが、プログラムや数学に苦手意識がある人は目を背けたくなるかもしれません。でも安心してください。プログラムを書かず、細かいアルゴリズムを知らなくても素早く実現できる便利なソリューションもあります!今回はそのソリューションPredictive Analyticsを解説します。
なお本記事は、下記シリーズ記事の一部で、他記事も参照されることをお勧めします。
予測分析(Predictive Analysis)でシステムの価値を高める(中編)
予測分析(Predictive Analysis)でシステムの価値を高める(後編)【本記事】
Predictive Analyticsとは
Predictive AnalyticsはAutomated AnalyticsとExpert Analyticsの2つのモードがあります。
Automated Analytics
Automated Analyticsは煩雑なステップがなく自動で素早く予測分析を行うためのツールです。細かい説明はさておき、画面を見てみましょう。
下図はデータソースを指定して時系列分析の設定をしている画面です(前回と同様社内SNSデータを使っています)。プログラミングや詳しい統計知識とは無縁で非常に簡単です(データソース指定と列確認画面は割愛しています)。
数クリックで設定を完了して予測結果画面を出すことが可能です。外れ値(異常値)も自動で検出してくれています。結果をEXCELへダウンロードできます。
また、今回は分析対象に全曜日を入れていますが、予測と関係無かった金曜日以外の曜日を予測モデルから除外してくれています。これは非常に便利でした。下図は説明変数(予測値の元データ)の貢献度の画面です。
Expert Analytics
Expert Analyticsは"Expert"とあるように細かい設定、分析ができるツールです。過去記事で紹介したLumiraに予測分析機能を付加しています。
下図はHANAからデータを取得して時系列分析をかけるモデリングをしている画面です。実行後には、モデリング結果をそのままグラフで確認して共有することができます。
日本人にこそ向いている
今回、「予測分析(Predictive Analysis)でシステムの価値を高める」と題して予測分析について解説しました。実際に予測分析をしてみて、「日本人の得意分野かも?」と感じました。「データサイエンティスト」など華やな言葉の裏では、地味な作業の連続です。仮説立案・データ抽出・加工・仮説検証・仮設再立案とひとつひとつのプロセスに真摯に向き合わないといけません。細かいデータ加工や、結果的に徒労に終わる仮説もたくさんあります。それらをやり遂げるための忍耐力・勤勉さは、まさに日本人の得意分野と重なっているように感じました。また、どんなにツールが優れていてもある程度、数学をベースとした統計知識を必要とします。その点、今でも世界的に数学的リテラシーの高い日本人に向いているように思えます。
今はまだ、そこまで予測分析の事例を多く見ないですが、今後革新的な企業が挑戦し、世界を席巻していく姿を期待してしまいます。読者の皆様にも試して頂けたら幸いです。
- カテゴリ: S/4HANA