S/4HANAアドオン移行のコツ(計画・準備編)

 2016.05.02  リアルテックジャパン

移行シミュレーション

「地獄シミュレーター」なるツールを最近、試してみました。年収などの質問に回答した結果、老後の生活をシミュレーションできます。興味がある方は、「地獄シミュレーター」で検索してみてください(金融取引のサイトなので、職場で見ている方は注意ください)。

現代では、クラウドサービス使用料・年金試算等、様々なシミューレーションをするツールがあります。
今回はS/4HANA化シミュレーション(計画・準備)の紹介をします。取り急ぎ移行概算費用を見積もりたい場合、実際に移行準備フェーズで準備をする場合の両者で参考になる内容です(S/4HANA化だけでなくSuite on HANA化・EHP適用において共通した内容も多いです)。

なお本記事は、下記シリーズ記事の一部で、他記事も参照されることをお勧めします。

S/4HANA化計画・準備

S/4HANAは、 「データ単純化」を筆頭に様々な点でBusiness Suiteから大きく変わっています。当然、多かれ少なかれアドオンプログラムにも影響があります。その影響範囲を抽出し、対応コストを算出することは計画・準備ステップで非常に重要です。S/4HANA On Premiseを移行ターゲットとしたときに3種類の対応が必要です(クラウド対応は今回、割愛します)。
ERP and AddOn for S4HANA OP.jpg

アップグレード対応

S/4HANAとは関係なくSP適用やEHP適用時の対応です。従来のアップグレードと同様に、標準プログラム・テーブル等の変更に伴って影響を受けるアドオンプログラムを特定・対応します。

DB HANA化対応

DBをHANA化することで、既存のプログラムのままでは想定どおりに動かなくなるものが一部あるかもしれません。わかりやすい例は、既存DB固有のNative SQLを使っていた場合は、HANAでは動作せずに強制終了(ダンプ)します。それらDB HANA化に影響のあるアドオンプログラムを特定・対応します。

S/4HANA化対応

S/4HANA化することで、テーブル構成や使用可能なAPIが大きく変わり、既存のプログラムのままでは想定どおりに動かなくなるものが出てきます。それらS/4HANA化の影響を受けるアドオンプログラムを特定・対応します。

計画・準備ツール

計画・準備時には以下のツールを使います(CCLMの説明は 「S/4HANAアドオン移行のコツ(CCLMで定常運用)」を参照ください)。

ERP and AddOn Preparation.jpg

アップグレード対応 計画・準備ツール

アドオンプログラムのメタデータ(SAP標準オブジェクト参照有無)とアップグレード後のSAP標準オブジェクトを比較して影響を受けるアドオン一覧を抽出します。細分化すると計画(シミュレーション)時に使う機能と準備・移行時に使う機能にわかれます。前者はモジュールごとの影響一覧の表やグラフで可視化できます。一方、後者の機能は、個々の影響一覧のステータスや責任者(対応者)の管理ができます。
リンク先動画は前者の機能でわかりやすいです。

DB HANA化対応 計画・準備ツール

DB HANA化で影響を受ける(正常動作しなくなる)アドオンプログラム、使用統計(SQLパフォーマンス情報)を統合し、対応の一覧管理をします(下図参照)。

HANA AddOn Preparation.jpg

ATCからは改修が必須、SQL Monitorからは改修任意の一覧が生成されます。後者は移行前システムで処理時間が長いSQLおよびその呼出アドオンプログラムから重点チューニング候補を洗い出すために使うます。

S/4HANA化対応 計画・準備ツール

S/4HANA化対応の計画・準備に特化したツールがあります。
アドオンプログラムのメタデータ(標準オブジェクト参照有無)、使用統計、"Simplifacation List"と呼ばれるSAP標準オブジェクト変更リストを比較し、影響対象の一覧と対応方法の提案をしてくれます(下図参照)。

※Simplification ListはSAP標準オブジェクトが単純化(Simplified)された一覧という意味です(例:透過テーブル"BSID"の廃止)。

S4HANA AddOn Preparation.jpg

参考となるノート番号や影響を受けている標準オブジェクト名も明確化してくれる点がありがたいです。各影響事項に対して責任者とステータス管理もできます。分析システムはS/4HANAでなく、NetWeaver ABAP7.5を使えます。使用統計(UPL)情報を使うことで、「アドオンプログラムが今は使われていないので対応しない」という判断もできます。

少ない予算で速く正確に

SAPのシステムは膨大なテーブルとプログラムによって構成されています。そのため、アップグレード時にアドオンへの影響を人間が速く正確にシミュレーションすることは不可能です。逆に機械(システム)にとっては、シミュレーションは得意分野です。速くて正確なシミュレーションをすることで、「地獄」ではなく少しでも余裕と安心のある移行計画・準備ができたら幸いです。

こぼれ話:CDS Viewの普及

こぼれ話として、技術的に興味がある方向けに深いマニアックな内容です。
S/4HANA化対応計画・準備ツールの仕組としてCDS Viewを使っています。CDS Viewの実態はSAP GUIから参照できないのでEclipseから見ます。CDS Viewは、進化の激しい技術要素のひとつなので、EclipseのADT(ABAP Development Tool)を最新化して見てみました。そうするとGraphical Viewが使えるようになっていました!

CDS View Graphical.jpg

CDS Viewがこんな分野(アドオン移行)まで実装されているとは、普及が進んできたな、と改めて感じました。今後、CDS ViewとBOPF(Business Object Processing Framework)はABAP上で重要性が増してくると予測しています。

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