SAP BPCの紹介! 特徴、狙いの解説、SAP BWとの違いも解説

 2022.11.02  リアルテックジャパン

予算編成や着地予測などが含まれる経営管理業務に、多くの時間を費やしている企業も少なくないでしょう。本記事では、経営管理業務をサポートするSAP BPCの機能と導入効果を紹介します。今後、事業計画や予算管理の効率化を図るために、有用なツールの導入を検討している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

SAP BPCとは

SAP BPC(Business Planning and Consolidation)とは、事業計画の合理化と決算処理の効率化に有用なソフトウェアです。事業計画と事業予測の調整や予算編成サイクルの加速、決算処理の迅速化と精度向上、財務報告基準に対する考えの強化を支援する機能などで構成されています。SAP BPCには、オンプレミス型とクラウド型の両方が用意されており、自社の目的や用途に適した導入形態を選択できます。

また、非SAPデータが利用できるのもポイントです。Microsoftプラットフォームと統合して、使い慣れたExcelインタフェースによるレポートが作成できるなど、利便性に優れたツールとなっています。さらに、意思決定の改善に有効な「SAP Analytics Cloud」を用いてSAP BPCを拡張すれば、計画の強化や予測機能の拡充も実現できます。

SAP BPCの機能

財務計画および事業計画の要件を満たす多彩な機能を有しているのがSAP BPCの特徴です。連結プロセスの自動化機能によって迅速かつ正確な決算処理を可能にします。ステークスホルダーに提示するレポートは、Excelの他にHTML5を用いて作成することも可能です。

処理が適切に実施されたことを示す、監査証跡(オーディットトレイル)の要件を満たした財務レポートにも対応しています。予算モデルの構築、予算のスピーディーな調整や更新を実現する機能も実装されており、予算編成と事業予測に大きく貢献するでしょう。

シナリオ計画とwhat-if分析(シミュレーション分析)を用いて適正な予算をリアルタイムで評価します。シミュレーション分析で導かれたシナリオパターンを考慮し、必要に応じた軌道修正も素早く見極められます。事業計画に関連した管理業務を統合的に把握できるため、管理作業の時間削減とエラーの低減も実現できるでしょう。

なお、ERPシステム「SAP S/4HANA Cloud」とのリアルタイムアクセスや「SAP BW/4HANA」「SAP Net Weaver」にも対応しているため、幅広い分野に活用できます。

SAP BPCの効果

経営管理業務の効率化に悩む企業は数多く存在します。SAP BPCを活用すれば、経営分析資料の精度向上や予算に対する実務のコントロールなど、経営管理におけるさまざまな問題が解消できるはずです。

的確な意思決定

経営は意思決定の連続です。特に、事業計画の策定では、今後の運営に関わる重要な判断が求められるといっても過言ではありません。また、合理的な計画や予算の決定には、整合性の取れた客観的なデータが必要です。SAP BCPには、事業計画をはじめ事業予測や財務、予算に関して的確な意思決定を実現する統合的な分析機能が備わっています。

事業計画に有効な分析機能としてSAP BCPが採用しているのは、what-if分析です。仮説を立てたうえで検証を行い、合理的な意思決定を可能にします。不確実性の高い現代において、経営上に潜むリスクの洗い出しは重要です。起こり得るさまざまなリスクを回避して、企業の成果向上を実現へと導きます。

コラボレーションの改善

SAP BPCは、他のSAP製ツールとのコラボレーションにより、より正確な経営判断と現状把握、説明責任の強化が図れます。データウェアハウスのSAP BW/4HANAとの親和性が高く、直接マスタデータを参照しながら連結処理を実行することも可能です。BIツールの「SAP BusinessObjects」をレポートツールに使用できるなど、多彩な用途に対応しています。

また、SaaS(Software as a Service)型のサービスとして提供される統合型BIツール「SAP Analytics Cloud」との連携も可能です。たとえば、グローバル企業などの場合、国外の拠点にある子会社がSAP Analytics Cloudを利用して作成した事業計画のデータをオンラインで連携し、リアルタイムに内容を確認できます。

統合による業務の効率化

SAP BPCは、複数のシステムからトランザクションデータの複製と自動収集を行う機能も搭載しています。この機能により、他のSAP製品との自動連携や連結処理が可能になるのです。連結処理を実行する際は、データに対して仮想コンテナの定義と処理の単位、自動計算処理などを指定できます。これらを応用すれば、複数会計基準の対応やサブ連結対応といったさまざまな処理が行えるようになり、決算処理の迅速化が実現するでしょう。

「SAP BPC optimized for SAP S/4HANA Finance」のRTC機能を活用すれば、ほぼリアルタイムでの連結処理も実行できます。従来の連結処理では、照合作業に多くの手間がかかったり、データの反映が遅延したりする事態が発生しやすくなっていました。SAP BPCであれば、従来の連結処理が課題としていたこれらのトラブルを低減できます。

SAP BWとの違い

SAP BWはデータウェアプラットフォームです。企業内の基幹系システムから集まる大規模な業務データを集約する目的で活用します。データを格納する以外に、拡張性のあるデータ分析を実行することも可能です。データの抽出・累積・整理を行う統合的な機能が備わっているため、あらゆる場所から集約されたデータを横断的に分析できます。

2016年から次世代型に切り替わり、2022年現在はSAP BW/4HANAとして提供を開始しています。SAP HANAはマルチモデルデータに対応したインメモリーデータベースです。なお、SAP BWはSAP HANA上で稼働する仕様になっています。

一方、SAP BPCは、事業計画や予算に関する課題解決や効率化に有用なソフトウェアです。主に経営管理業務の支援を目的としており、経営に必要なデータを一元的に管理します。データ集計や予算編成などの作業を自動化することで業務の効率化を図り、本来注力すべき分析などに集中しやすい環境を整備できます。

このように、2つのソフトウェアは活用シーンや機能の異なるソフトウェアです。SAP BWは、社内のあらゆるデータの集約と分析に焦点が当てられているのに対して、SAP BPCは経営管理業務のあらゆる作業プロセスの効率化を目的としています。

また、サプライチェーン計画の支援を目的とした基盤システム「SAP IBP」という製品もリリースされています。将来の需要の感知や販売事業計画、在庫計画などの活動を統合的に管理し、事業継続性を高めることを目的としたツールです。

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まとめ

SAP BPCは、これまで多くの時間を要してきた経営管理業務の効率化に有用な基盤システムです。BPCを他のSAP製品と連携して活用すれば、決算・連結処理の迅速化や予算サイクルの短縮が実現するでしょう。what-if分析とシナリオ計画に基づき、的確な意思決定が行えるようになれば、リスクを回避しながら効率よく成果向上を目指せるはずです。

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