SAP NetWeaver Cloud とは?

 2012.10.10  リアルテックジャパン

これから注目をあびるであろうNetWeaver Cloud注目をあびるであろうNetWeaver Cloud。

下記記事が出たもあり、今ある情報を元にざっくりまとめてみました。

SAP、PaaS「NetWeaver Cloud」の一般提供を近く開始か

最新の追加機能の内容が十分な成熟段階を示唆

(2012年09月28日)

ーNetWeaver Cloud はSAP社が提供する JavaベースのPaaSです。

ーNetWeaver Cloudはどんな用途で使われることを想定しているのか?

SAP社のプレス記事によると、「モバイル・クラウド・ソリューションの充実したポートフォリオ全体を対象に、SAPは統合PaaS(Platform-as-a-Service)製品として「SAP NetWeaver Cloud」の提供計画を発表しました。」とあります。また、「SAPは本日、VMware Cloud Foundry™など、業界をリードするサードパーティのPaaS製品との提携を発表し、「オープンさ」への取り組みを再確認しました。お客様は今後、さまざまなSAPソリューションを対象に「SAP NetWeaver Cloud」から各種プラットフォームサービスを併用できるようになります。」とあります。

また、こちらのSAPPHIRE 2012に関するこちらの記事によると、「SAPのクラウド戦略は、4つの領域にフォーカスする。顧客管理、人員管理、財務経理、サプライだ。これらのクラウドサービスを提供すると共に、疎結合でエンド・ツー・エンドの統合を実現する。そのために、PaaSとして「NetWeaver Cloud」を発表する。」とあります。上記記事にあるプレゼンの絵が参考になります。

ーSAP社のクラウドって今までもあったけど、どうなったの?

最新の戦略に関する情報は、SAPがクラウド戦略を見直し--疎結合のソリューションアプローチへ - (page 2)という記事が参考になります。

最も有名だったSAP社のSaaS 「SAP Business Bydesign」については上記記事でも触れられており、継続はするものの、「ビジョンは素晴らしい。だが、大きすぎた。すべてをクラウドにリプレースする準備ができている企業はいない」とコメントするなど、主力製品と位置付けていない姿勢を示したとあります。

顧客が求めるのは統合ではなく疎結合--クラウドでオープン戦略を進めるSAPという記事にもあるように、今までのSAP社のクラウド戦略は、オンプレミスで事業を展開ししてきたSAP社が考えたもので、今回の新しい新しい戦略は、SAP社が買収したSaaS専業ベンダーのSuccesFactorsの創業者兼CEOのLars Dalgaard氏(現時点でSAP社のクラウドビジネス全般を統括)により打ち出されたもののようです。

ちなみに、NetWeaver Cloud は SAP NetWeaver OnDemand,JPaaS,Neo,Project River,Edge Platformという名前で出ていたものに相当するそうです。

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前置きが長くなってしまいました、NetWeaver Cloudの実体について、テクノロジの観点から読み解いて参ります。(2012年10月執筆時点でNetWeaver CloudはBeta版ですが、公開されている情報は豊富で、今回はSCNにあるSAP NetWeaver Cloud Developer Centerに掲載されている情報を元に抜粋、超訳しています。正確さを求めるお大尽は、上記サイトをご参照ください。

忙しくて英語読む時間がないよという方でこういうのは雰囲気が理解できればよいという方向けに、「NetWeaver Cloudって、何でできているの?」について、ざっくり7つのポイントをお伝えします。なお、最新のオープンスタンダードに関する用語が満載でしたので、そのあたりは補足説明をしました。

1.オープンスタンダードな開発環境

・Java 6 Web Profileがサポートされています。(Java 7は将来サポート)

・Eclipse、Apacheのオープンソースを活用しており、オープンスタンダードな製品となっています。

・迅速にアプリのデバックをするために、ローカルでの開発用に組み込み型RDBMS(Derbyエンジン)が含まれています。(他のDBMSも使えるとあります。)

・3rdパーティのClass追加に関して制限なし。

・OSGiバンドルや、WARファイルを使って実装されています。

OSGiバンドル:

OSGiとはOSGi Allianceという非営利団体が規定するJavaモジュールの動的追加や実行を管理するための基盤システムを指しており、その上で動くJavaモジュールのことをバンドルと呼びます。

ソフトウェア統合開発環境のEclipseは、OSGiフレームワーク上で動作するように設計されていて、プラグインだけでなくEclipseの実行環境もバンドルとして実装されていたり、SpringやJBoss、GlassFishでも基盤技術として採用されています。バンドルの実体は、複数のクラスファイルとリソースファイルをアーカイブとして1つにまとめたJARファイルで、一般的なJARファイルとの違いはマニフェストファイルにOSGi特有の属性を追加されています。

WARファイル:

Web Application Resourcesの略。Webアプリケーションに関するリソースをアーカイブとして1個にまとめたものをいいます。内部的にはZIPファイルと同じ「圧縮ファイル」ですが、WARファイルには単なるZIPファイルとは異なる特性があり、具体的にはWARファイルはアプリケーションフォルダ配下に配置することで、コンテナ再起動時に自動的に展開(インストール)され、クライアントからアクセス可能な状態になります。

2.パーシステンシー(永続)サービス

・物理的、時間的境界を越えて維持、保存する機能ということで、要はデータ保持の仕組みですが、HANA,Sybase ASEを使って構造化ストレージが提供されており、JDBC経由でアクセスします。

3.ドキュメント・サービス

・非構造化データ向けストレージ用途で、企業向けコンテンツ管理システム(CMS)へのアクセスが CMISで Document Service APIとして実装されています。

・デバッグ用途でローカルのDocument Serviceもサポートされています。

CMIS:Content Management Interoperability Servicesの略。

企業向けCMSの相互運用仕様のことで、これをオープンソースで実装するプロジェクトとして「Apache Chemistry」があります。

EMC、IBM、マイクロソフトの3社、CMSの相互運用仕様「CMIS」を共同開発が元になっているようです。

4.クラウド接続サービス

・SAP Business Suitesやオンプレミスのシステムとのセキュアな統合を実現します。

5.アイデンティティ・サービス

・NetWeaver CloudとSAPアプリケーションをまたがったユーザ認証が実装されています。

6.リモートからのモニタリングと管理

・自動アラート検知機能、使用率、稼働レポート、ログツール、Webベースの運用コンソールがあるそうです。

7.メールサービス

・NetWeaver Cloudアプリケーションから直接メールが送信できる機能で、OSGi Webアプリのバンドルから直接メールが送れます。

JNDI(Java Naming and Directory Interface) 経由でlookupしたWARベースのアプリーションがサポートされます。

・デバッグ用途でローカルのファイルシステムもサポートされています。

ということで、NetWeaverというキーワードがあるものの、オンプレミスで従来から展開していたSAPプロプライエタリなNetWeaver環境とはまったくの別物として見るのがいいかもしれません。

ある意味、Mobileから入ったSAPコンサルの方にとっては最新のオープンスタンダードな環境に映り、従来からSAP基盤に携わっているコンサルの方にとっては、まったく違うスキルセットが必要となりそうです。(汗;

SAP社のクラウド戦略に関する参考記事

【参考資料】SAP、勢いを増した新たなクラウド戦略を発表

長文お読みいただきありがとうございました。

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