SAP移送のよくある課題と解決策のご紹介

 2021.11.30  リアルテックジャパン

SAPの運用時に重要な移送業務は、近年の市場環境変化に伴うプログラム開発需要の高まりにより、作業件数の増加や複雑化が進んでいます。移送による開発現場の負担は大きく、システムエラーなど多くの課題が散見され、解決策が求められています。本記事では、SAP移送の課題や解決策、おすすめの移送ソリューションについて解説します。

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SAP移送の現状

SAPの移送(Transport)とは、開発機で開発したプログラムを検証機や本番機に移す事です。SAPの移送は、本番機で問題が生じることを防ぐため、主に開発機、検証機、本番機の3つで行われます。SAPではこれを3システムランドスケープと呼びます。

移送は、「移送依頼番号」を取得してから依頼をリリースして行われます。リリースとは、開発機で作ったプログラムを検証機や本番機へ移すために、修正・チェックまでを全て完了させる作業です。

リリース後、移送資源であるプログラムなどをまとめたファイルを開発機からエクスポートし、検証機、本番機の順にインポートを行うことで移送が完了します。リリース後にプログラムを修正する場合は、再度「移送依頼番号」を取得して移送作業を行う必要があります。

この移送作業により不具合が発生する恐れがあり、中でも本番機への移送の際はシステムへの影響が大きいため、作業は夜間や土日など利用者が少ない時間帯で行われるケースが一般的です。

現在、SAPはさまざまなプラットフォーム上で使用されています。他のソフトウェアとの連携使用も増加傾向にあるため、SAPの移送業務はより複雑化していくでしょう。この複雑化により、移送作業に付随した課題が多く生じることが懸念されます。

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移送依頼をはじめ、移送時に生じる代表的な課題

移送時の課題には、「移送依頼時のオブジェクト不足によるプログラム障害」、「夜間、休日などリリースタイミングによる負担」、「オペレーターの手動作業におけるミス」などさまざまなものがあります。移送時のプログラム処理後、実行内容は全てのRC(リターンコード)がログとして残ります。

RCは、ALOG、SLOGとしてそれぞれ移送ディレクトリのサブディレクトリlog内に情報が残されるため、移送後に記述内容を確認すると、エラーが出ているかどうかの把握が可能です。移送ログ内のRCには、「エラーなく実行された場合」、「移送内容に警告が出された場合」、「エラーにより移送ができなかった場合」、「移送依頼とは関係ない重大なエラーが発生した場合」などのコードがあります。

オペレーターが移送作業、RCを確認、修正箇所への対応などを手動で行いますが、移送依頼の指定ミスによるオブジェクト不足など、移送フローにおける人的なミスによりエラーが起きるケースも多くみられています。

また、前述したように、リリースのタイミングは多くの場合、夜間や休日に設定されます。これにより、作業担当者の負担が増加して、人的ミスが生じる確率が高くなる点も課題のひとつです。

SAP移送が抱える課題の解決策

これらSAP移送が抱えている課題は、移送作業を効率的に行う体制の構築により解決できます。システム運用ルールの最適化、移送業務の自動化など、効果的な対策方法を紹介します。

システム運用ルールの最適化

移送業務における課題の対策には、移送業務ルールの整備や、企業の業務に適したグッドプラクティス「ITIL」に準拠している運用ツールの設計が有効です。

しかし、企業によって社内システムの管理に適した運用ツールは異なり、SAP以外の使用システムにも違いがあります。運用ツールが異なるため、適したSAPの移送業務フローも異なるでしょう。そのため、システム運用ルールを自社のシステムに合うものへ最適化することが重要です。運用ルールは、実際の移送業務を想定して策定してください。

移送時の業務フローで必要となるプログラムの開発担当者から基盤担当(Basis)側へ送る「移送依頼書」の内容のルール化や、移送依頼をBasis側で確認できる体制を整えるなど、移送内容を相互で確認できる環境を築きましょう。これにより、移送内容に不備がある場合や、承認手続きと移送依頼の作業内容が異なっている場合などに、エラーを早期発見できます。また、プログラムの開発担当者間でも情報をお互いに共有しておくことで、問題が発生した際の迅速な対応にもつながります。

移送業務の自動化

移送業務の課題には、業務の自動化により解決できる部分もあります。移送業務を誤ったタイミングで行ってしまったことでデータに問題が生じたり、承認手続き後の移送ファイル指定を間違えたりするなど、手動での移送には単純な人的作業ミスが生じやすいです。そこで、これまでオペレーターが手動で行っていた移送作業を可能な限り自動化することで、人的な作業ミスを防ぐことが有効な解決策だと考えられます。

移送業務の自動化は、他にも、夜間や休日などの時間帯に移送業務のため勤務していた人員を削減できるメリットや、オペレーターが手作業で行っていた移送業務の工数削減など様々な課題解決につながります。

例えば、移送予定や移送実績などを簡単に確認できるレポートの作成や、SAP外のシステムへの自動リリースなどは、担当者の負担軽減につながります。これまで、作業担当者への過負荷が原因で発生していた人的ミスが削減されれば、移送後の修正といった出戻りの作業にかかる工数も大幅に削減できることが期待できます。

リアルテックの移送管理ソリューション

このような、SAP移送に関する様々な作業の自動化を可能にするのが、リアルテックジャパン株式会社(以下リアルテック社)の移送管理ソリューションです。

リアルテック社製ソフトウェアのモジュールの1つである「theGuard! SmartChangeTransport Management 」では、ABAP・非ABAP移送を自動化し、管理工数を大幅に削減できます。移送状況の一括監視機能や、承認フロー、品質チェックなど幅広い機能を搭載しているので、安全に移送業務を行うことが可能です。

一元管理により承認から適用実施までの確実性を向上したり、複数移送依頼をまとめる機能や順序指定機能などにより移送タイミングを調整したりできます。そのほか、権限コンセプトやレポート作成など、データ管理を透明化し、耐監査性を向上する機能も搭載されているなど、多くのメリットが期待できるソリューションです。

まとめ

SAPシステムの移送は、システムの機能を改善し、拡張を行うために必要な作業です。開発機で開発したプログラムを移送依頼により検証機・本番機へと移送して、新しい機能の利用を可能にします。SAPの移送により生じるシステムエラーや開発担当者の負担は、システム運用ルールの最適化や移送業務の自動化により解決できます。業務を効率化し作業ミスを防ぐために、効果的なソリューションを利用しましょう。SAPの運用実績豊富なリアルテック社の運用コンサルティングなら、SAPの移送を安全かつ確実に行い、業務の効率アップが期待できます。ぜひご検討ください。下記URLより詳細が確認できます。
https://www.realtech.jp/software/transport-management

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