基幹システムのクラウド移行5つのチェックポイント

 2021.12.03  リアルテックジャパン株式会社

近年、クラウドファーストの流れが加速しており、基幹システムのクラウド移行を検討している企業が少なくありません。しかし、基幹システムのクラウド移行にはさまざまなリスクがあり、安全性や堅牢性など高い要件が求められます。そこで本記事では、基幹システムのクラウド移行を実施するうえで押さえておきたいポイントを解説します。

課題の多い基幹システムのクラウド移行

総務省が発行した「令和3年版 情報通信白書」によると、クラウドサービスを利用している企業の割合は68.7%であり、「AWS」や「Azure」などのクラウドサービスを基盤としたシステム構築が一般化しつつあります。

もはやクラウドファーストは企業にとって特別なことでなく、すでに多くの企業が自社の情報系システムをクラウド環境へと移行しています。ところが、時代の潮流がクラウドファーストへと加速するなか、思うように進んでいないのが基幹システムのクラウド化です。

クラウド環境にITインフラを構築できれば、ハードウェアを所有する必要がなく、システムの導入費用や保守・管理における工数を大幅に削減できます。しかし、基幹システムは財務・会計・生産・販売などの基幹業務を管理する非常に重要度の高いシステムであり、ファイルやアプリケーションの移行に失敗は許されません。このマイグレーションにおけるデータの破損・流出リスクの高さから、基幹システムのクラウド移行に踏み切れない企業が多いのが実情です。

また、そのほかにも基幹システムのクラウド移行には、システム運用保守の観点から以下のような課題が存在します。

  • 可用性:突然サービス停止するリスクがある
  • 性能保証とコスト:リソース保証を使うとオンプレミスのほうが安いことがある
  • セキュリティと法令順守:サーバーのある海外現地監査対応が必要となる場合がある
  • カスタマイズ:すべての情報資産をクラウド化できないケースがある
  • アプリケーション運用:OSより上流のアプリケーションとIaaSレイヤーを連携させた運用が難しい

基幹システムのクラウド移行を成功させるためには、これらの課題を踏まえたうえで動作環境や運用体制を分析し、システムの移行計画を立案しなくてはなりません。

基幹システムのクラウド移行の5つのポイント

ここからは、基幹システムのクラウド移行を成功させるために、押さえておきたいポイントを5つご紹介します。先述したクラウド移行における課題について考察するとともに、どのような対策を講じるべきか見ていきましょう。

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システムの可用性

クラウドとオンプレミスはそれぞれにメリット・デメリットがあり、コインの表と裏のように相反する特性を備えています。たとえば、クラウドはベンダーのサーバーにファイルが集約されているため、地震や火災などによって自社システムが故障・停止しても事業を継続可能です。しかし、それはベンダーのクラウド環境に依存することを意味しており、何らかの理由で突然クラウドサービスが停止した場合、事業の継続は困難になるでしょう。

一方でオンプレミスは、ハードウェアの故障や障害に弱いというデメリットこそあるものの、予備サーバーを構築して障害発生時に運用基盤を切り替えることで、可用性を担保できます。もちろん、複数台のサーバーを常時稼動させる必要があるため、ハードウェアの導入費用と保守・管理コストが増大する点は大きなデメリットです。

このようにクラウドとオンプレミスは、可用性という観点において相反する特性を備えており、それぞれにメリット・デメリットがあります。クラウドはベンダーのサービス環境に依存するため、基幹システムをクラウド環境へ移行する際は、自動フェイルオーバー機能を提供している高可用性のサービスを選択しなくてはなりません。アプリケーション側で制御できる仕組みやハイブリッド環境を構築するなど、システムの可用性と事業継続性を高める施策が求められます。

性能保証とコスト

クラウド移行において、多くの企業が期待するメリットが、コストの削減です。自社に大規模なITインフラを構築する必要がなく、システムの導入費用や保守・管理における工数を大幅に削減できるため、オンプレミスと比較してTCOの大幅な削減が期待されます。しかし、IaaS型やPaaS型のクラウドサービスは基本的に従量課金制であり、常時稼働する基幹システムの場合、期待するほどのコスト削減効果を得られない可能性があります。

また、クラウドサービスは原則としてベストエフォート型のソリューションであり、必ずしも自社の経営体制や事業戦略に適合するとは限りません。そのため、要件によってはオンプレミスのほうが適するケースもあり得るでしょう。基幹システムをクラウド環境へと移行する際は、事前にシステムの運用環境や利用状況、機能要件などを定義するアセスメントが不可欠です。

セキュリティやコンプライアンス

基幹システムは、財務・会計・人事・調達・生産・販売など企業の基幹業務を管理するソリューションであり、堅牢なセキュリティ体制の構築が求められます。オンプレミスは独自のセキュリティポリシーを適用できるため、より強固なセキュリティ環境の構築が可能でした。一方、クラウドは常時ネットワーク接続されており、セキュリティの脆弱性を懸念する声が少なくありません。

基幹システムに求められるのは、安全性と堅牢性です。冒頭で述べたように、基幹システムのクラウド移行にはデータ破損や情報流出といったリスクがあるため、強固なセキュリティポリシーやデータガバナンスの整備が求められます。そして、クラウドサービスを選択する際は、ベンダーが公開しているセキュリティホワイトペーパーを確認し、自社のセキュリティ環境との整合性を確認することが重要です。

カスタマイズの自由度

クラウドはシステムの拡張性に優れる反面、自由度や柔軟性の高さにおいてはオンプレミスに大きく劣ります。そのため、導入前に必ず自社が求める要件を満たしているかどうか確認しなくてはなりません。たとえば、SAP社の統合基幹業務システム「SAP S/4 HANA」への移行を検討している場合、大きく分けて2つの手法があります。

1つ目はSaaS型の「SAP S/4 HANA Cloud」を導入する方法で、迅速かつ低コストでクラウド型の統合基幹業務システムを利用できます。2つ目は「AWS」や「Azure」などのIaaS型・PaaS型プラットフォームに「SAP S/4 HANA」を構築する方法です。この手法は、手間やコストはかかるものの、クラウドプラットフォームとの連携により柔軟な環境を構築できます。

自由度や柔軟性に劣るクラウドは、導入後に新たな機能を付与するのが困難なため、自社の企業規模や経営課題を考慮し、必要な機能が搭載されているサービスを選択することが重要です。

クラウド移行の社内リソース不足

基幹システムのクラウド移行において、非常に重要な課題となるのがリソース不足です。先述したように基幹システムは、財務・会計・人事・調達・生産・販売など企業の基幹業務を管理するソリューションであり、マイグレーションにはデータの破損・流出といったさまざまなリスクが伴います。そのため、基幹システムのクラウド移行には非常に高度な知見が求められます。

また、クラウドは導入すること自体が目的ではなく、事業戦略に活用すべく運用体制を最適化しなくてはなりません。マイグレーションを外部ベンダーに依頼したとしても、クラウド環境のノウハウが標準化されていなければ、運用の内製化は困難です。クラウド移行から社内定着までのプロセスを賄えるリソースが自社にない場合は、SIerへの委託を検討すべきでしょう。

基幹システムの移行をリアルテックジャパンで実現

「SAP ERP」のメインストリームサポートが終了する「2027年問題」の影響もあり、多くの企業で基幹システムのクラウド移行が重要課題となっています。そこで、基幹システムのクラウド移行を検討している企業にご紹介したいのが、リアルテックジャパンが提供するクラウド移行サービスです。弊社はSAP社が提供するソリューションの導入支援に特化したテクニカルコンサルティング企業です。

SAP社のERPシステム構築やクラウド移行を得意としており、クラウド移行前にマイグレーションの効果を測定する「SAP Cloud Benefit Assessment」や、SAPシステムコピー自動化サービス「Automated SAP System Copy Service in Cloud」など、独自のソリューションも展開しています。リアルテックジャパンのサービスについて詳しく知りたい方は、下記URLをご覧ください。

https://www.realtech.jp/professional-services/cloud

まとめ

基幹システムのクラウド移行におけるプロセスは非常にシンプルであり、「旧システムから必要なデータやファイルを抽出し、クラウド環境に組み込む」と要約できます。しかし、その移行プロセスには、データの破損や情報の流出などさまざまなリスクが内包されています。

とはいえ、基幹システムをクラウド環境に構築できれば、導入費用や管理コストの削減、BCPの強化や全社横断的な情報共有が可能になり、組織力の強化につながるでしょう。基幹システムのクラウド移行を検討している企業は、リアルテックジャパンにぜひご相談ください。

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