第2回:挙動編:SAPエンハンスメントパッケージ適用の実際

 2009.12.09  リアルテックジャパン

第2回はEhPを適用する際のシステム挙動を理解することで、EhP4適用の処理の勘所を掴んで頂くことになります。

下記の内容は、ここにある「SAP enhancement package for SAP ERP テクノロジーファクト  プレゼンテーション  -バージョン3.9(2009/8/13)」からの抜粋になります。(リンク先の閲覧にはSAP社Marketplace IDが別途必要になります。)

まず、EHPエンハンスメント・パッケージのライフサイクル管理の重要事項から抜粋します。

1.システム内に1つのEhPレベルのみです。
 1つのアプリケーションシステムは、1つのEhPレベル(EhP4など)のみです。
 将来的にEhPを導入する度に、インストール済みのEhPコンポーネントを更新
 する必要があります。

2.SAP ERPのEhP4適用の処理は機能を追加方式でインストールします。
 EhP4以降、SAP社はEHP3ベースの技術デルタパッケージを提供しています

3.EHPのインストールと機能の有効化は取消はできません。
 一度スイッチをオンにすると、オフはできないということです。

次に、実際にEhPを適用する場合の流れは下記の通りです。

1.ビジネスエキスパートが必要なビジネスファンクションを選択
2a.ビジネスファンクションのテクニカルユーセージへのマッピング
  b.前提条件の確認
  c.Solution ManagerのMaintenance Optimizerにより、選択したテクニカルユー
    セージに基づく必要なインストールファイルの自動ダウンロードと「スタック
    XML」の自動生成
  d. SAP enhancement package インストーラを使用したパッケージのインストール

3.新機能の有効化 アクセプタンステスト

以上を読んでおわかりかと思いますが、本来は必要なファンクションに関連するものを選んで適用すればよいです。(SAP社の資料上はこちらを「選択インストール」と呼び、デフォルトのアプローチはこちら。)

しかしながら、今のところ現場で行われる会話はこんな感じです。

お客様:「エンハンスメント・パッケージ(EhP)4を当てて欲しい。」
REALTECH:「選択して導入することが可能ですが、どういたしましょうか?」
お客様:「現時点でどれ使うかわからないし、とりあえず最新を全部入れておいて、使うときスイッチをオンにすれば影響ないでしょ?」
REALTECH:「はい、その通りです。」
お客様:「では、全部いれてください。」

ここでいう全部とはSAP社の用語で「広範囲インストール」と呼ばれるアプローチのひとつです。

さて、この全部ということがBASIS技術的にどれだけの作業ボリュームがあるのかという話をしたいと思います。

「theGuard! SmartChange Transport Management」 導入
SAPシステムパフォーマンス分析パック

EhP 適用時にACTフェーズというオブジェクトの有効化をするフェーズがあるのですが、EhP4適用後に有効化されるオブジェクト数は下記の通りです。(数値は社内検証ベース)

   EHPI ERP6.0 SPs13   ->    ERP6.0 EHP4 SPs2 : 約370,000

ちなみに 4.7 ~ERP6.0にUpgradeした際に有効化したオブジェクト数は下記の通りです。

   Upgrade R3 4.7      ->    ERP6.0 SPs13    : 約45,000

桁が違います・・・8倍強。

これだけみるだけでも、EhP4の全部適用処理は軽くないがことがわかります。

ここからは話が変わり、 EhP installer(EhPi)ツールの動作仕様の話です。

EhP installer(EhPi)ですが、ログを見る限り、SAPupツールがベースになっているようです。
実際に行われる作業は、従来のUpgradeとは違いますが、大変よく似ています。

ただし、1点大きく違うところがあります。

それはEhPiで適用可能な処理のシナリオです。
従来のからのUpgradeのシナリオとして下記2種類から選択可能です。

 Resource Minimized
 Downtime Minimized

EhPiの場合はResource Minimizedのシナリオは選べません。即ち Downtime Minimized のみです。
Downtime Minimizedというシナリオは、従来からあるUpgradeにある手法の一つで、簡単にいうと出来る限りダウンタイム(=サーバ停止時間)を小さくするするために、SAPが本番稼働中に裏でUpgrade作業を進めて(=シャドウ・インスタンスという別なインスタンスが裏で立ち上がるイメージです。)、最後の短時間のダウンタイムでUpgradeを完了させるというものです。本手法は、ダウンタイムが極めて限られているお客様に用いる手法で弊社も事例があります。

「なぜDowntime Minimizedしか選べないのか?」

UpgradeでResource Minimizedを選んだ場合には、Upgrade作業中は全て本番機は停止する必要があります。(要はシステムを停止してからUpgradeをするイメージ。ちなみに今まではほとんどのお客様はResource MinimizedでUpgradeを実施されていました。)つまりEhP4で仮にResource Minimizedシナリオが存在した場合、EhP4を適用している間はシステムを止めなくてはならないことになります。しかしオブジェクト数を見ておわかりのように、今までのUpgradeよりも遙かに多いオブジェクトを対象にした作業ですので、ある意味このボリューム感も考慮して、Downtime Minimized のみという判断に至ったのではないかと推測しています。

以上で第2回おわります。

第1回はツール、第2回はその挙動をご説明しました。

イメージ少しは伝わりましたでしょうか?次回はいよいよ実機を使った時間的な考察をしてみたいと思います。

以下、今後掲載予定の記事タイトルです。

【第3回】チューニング編:SAPエンハンスメントパッケージ(EhP4)の適用の実際

REALTECHならではのDeep Tuning,今回はどこまでいけるかこうご期待。

【第4回】バージョンアップ同時適用編:SAPエンハンスメントパッケージ(EhP4)の適用の実際

これからECC6.0にバージョンアップするお客様は必見です。ある意味お勧めです。

【第5回】まとめ:SAPエンハンスメントパッケージ(EhP4)の適用の実際

EhP4適用時のBest Practiceについて、現場視点でまとめます。

お楽しみに

SAP エンハンスメントパッケージ(EhP)の概要を知るには?」もご参考にしてください。

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