Solution Managerでシステム全体の管理を行いたいと考えたときに、まず最初に取り組むべきことは「管理したいシステムの情報をSolution Managerに集めること」です。
Solution Managerでは、OSやハードウェア、インストール済みのソフトウェアなどのテクニカル情報からビジネスプロセスやプロジェクトの情報、アドオンプログラムの情報まで管理できます。
これらの中でも、今回はテクニカル情報の一部に当たり、OSやハードウェアの情報を含むランドスケープ情報の管理について見ていきましょう。これは多くのSolution Managerの機能の基盤として重要な情報です。
Solution Managerはランドスケープ情報を管理するために以下の3つの管理基盤を持っています。
①SLD(System Landscape Directory)
②LMDB(Landscape Management Database)
③SMSY(Solution Manager System Landscape)
これらの違いを表にすると以下の通りになります。
同じデータを持っていながら、利用用途や機能などが異なっていることがわかります。
これらの3つの機能は互いにデータ連携をしながら動いています。Solution Managerを構築・運用する際には、このデータ連携についての理解が重要となってきます。まずは、この部分について更に説明していきましょう。
例外はありますが、基本的なテクニカル情報データの流れは以下の図のようになります。
このようにSLDからLMDB、最後にSMSYという流れになっていることがわかります。
まず、①のSLDからLMDBへのデータ連携部分について見ていきましょう。
SLDとLMDBは共にCIM(※)という形式でランドスケープデータを保持しています。
※CIMはCommon Information Modelの略で、DMTF(Distributed Management Task Force)という標準化団体が、管理対象であるITを表現するための標準として定めているものです。詳細はDMTFのホームページをご覧下さい。
http://www.dmtf.org/standards/cim
Solution Managerを正しくインストールした後で、トランザクションSM37にてジョブの一覧を見てみると以下のように「SAP_LMDB_LDB_<NamespaceID>」というジョブが10分毎に動いていることがわかります。このジョブが動くことでSLDに登録されたランドスケープデータがLMDBに渡されています。SLDにはデータがあるのにLMDBにデータが反映されないと言った場合は、まず、このジョブについて確認してみてください。
次に②のLMDBからSMSYへのデータ連携部分について見ていきましょう。
LMDBでのエントリの変更は5分毎に監視されていて、変更が検知されると、自動的にSMSYに変更が反映される仕組みがあります。また、トランザクションSM37から確認できる「LANDSCAPE FETCH」という日次のジョブでも同期されています。LMDBにデータがあるのにSMSYにデータが反映されないという時にはこのジョブの状態を確認してみてください。
もし、「LANDSCAPE FETCH」ジョブが登録されていなかった場合、または今すぐに動かしてデータの反映を行いたいといった場合は、トランザクションSMSY_SETUPを実行して、画面右上のボタンを押すことによって、ジョブの登録を行うことができます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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- カテゴリ: SAP情報
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