企業のガバナンスとは? 重要性や強化のポイントのほか関連用語も解説

 2023.02.14  リアルテックジャパン株式会社

GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)は、企業経営の透明化・健全化や企業の法令遵守などを基礎にした統合的リスクマネジメント手法です。この記事では、GRCのなかでもガバナンスに着目し、ガバナンスの関連用語、ガバナンスの重要性や強化のためのポイントを解説し、SAPのガバナンス関連ソリューションを紹介します。

ガバナンスとは

ガバナンスには、統治や支配という意味がありますが、経営の健全化を図るためには企業にもガバナンスが必要です。コーポレートガバナンス(企業統治)とも呼ばれ、企業が自ら定めた規範に従って自らを統治することを指します。つまり、企業経営における透明性・健全性を確保し、公正に運営されるための管理体制を構築して、実行することがビジネスにおけるガバナンスです。

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ガバナンス関連の用語例

ガバナンスを話題にする際に頻出する、ガバナンス関連の用語を以下に2つ紹介します。

ガバナンスコード

ガバナンスコード(コーポレートガバナンスコード)とは、ガバナンスにおける原則や指針がまとめられたものです。金融庁と東京証券取引所が原案を策定し、これまでに2回改訂されています。最新版のガバナンスコードは2021年6月版です。ガバナンスコードは5つの基本原則で構成されています。「株主の権利・平等性の確保」「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」「適切な情報開示と透明性の確保」「取締役会等の責務」「株主との対話」です。
(引用元: https://www.jpx.co.jp/news/1020/nlsgeu000005ln9r-att/nlsgeu000005lne9.pdf

コンプライアンス

コンプライアンスとは、法令・倫理・ルールの遵守という意味を持つ言葉で、ガバナンスを実現するための重要な理念のひとつです。企業がコンプライアンスを遵守するのは当然ですが、ガバナンスを実現し、社会的責任を果たすこともまた重要です。コンプライアンスはガバナンスに内包される概念であり、企業が社会的な信用を維持して活動を行ううえで欠かすことができません。コンプライアンスを企業全体で遵守し、万が一違反があれば改善する体制がガバナンスであり、ガバナンスの強化はコンプライアンスの強化にもつながります。

ガバナンスの重要性

ガバナンスの強化は企業に大きなメリットをもたらします。ここでは、ガバナンスの重要性について解説します。

信用の向上

ガバナンスを強化することで企業価値が高まり、優良企業として認知され、社会的信用も向上します。社会的信用の向上は、企業にとってさまざまな好影響をもたらします。例えば、投資家からの注目度が上がって株価が上昇し、就職したいと考える若者が増えて、優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。金融機関からの信用も高まって、融資を受けやすくなるはずです。

成長力の強化

ガバナンスを強化して社会的な信用が向上すれば、企業は経営をスムーズに進められ、さらなる成長が期待できます。社会的な信用の高さは、企業が受ける融資額や投資額に反映されます。企業に資金が集まるようになれば、積極的に設備や人に投資して競争力を強化したり、事業を拡大したりできるようになります。ガバナンスの強化は企業の成長力の強化にもつながります。

不正の防止

ガバナンスの強化は、コンプライアンスを強化することにもなるので、企業にとって望ましくない状況の発生を未然に防げます。ガバナンスを強化すれば、経営者による企業の私物化、食品の産地偽装といった組織ぐるみの不正、横領、ハラスメント、脱税、著作権侵害など、企業の社会的信用を失墜させるような不正を防止できます。
企業による不正で被害を受けるのは社内の人間だけではありません。株主や一般の消費者などにも被害が及ぶことが多々あり、訴訟にまで発展するケースもあります。ガバナンスを強化することで、このような社外への悪影響も回避できます。

ガバナンス強化のポイント

ガバナンスを強化するには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここではガバナンスを強化するうえで欠かせない3つのポイントを紹介します。

内部統制の構築

ガバナンスを強化するためには、しっかりとした内部統制を構築し、適切に運用することが大切です。そのためには、社会的信用を得るのに足る社内ルールを定め、各業務がそのルールに沿って行われているかを監視・指導する体制を作らなければなりません。さらに策定した社内ルールは、社外に情報開示する必要があります。
内部統制を構築する際には、前述のガバナンスコードが参考になります。なお、ガバナンスコードでは、取締役会に対して、従業員が不正を発見した場合に圧力を受けることなく内部通報できる体制や通報内容を客観的に検証する体制を整え、その運用状況を監督するよう求めています。
(参照元:https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jdy-att/nlsgeu000005lnul.pdf

社外からの監視

ガバナンスを強化するには、社外からの客観的な監視も必要です。常に第三者の視点からチェックされ、監視される体制が構築できれば、不正が起こりにくいガラス張りの環境となり、経営の透明性が確保されます。第三者による監視体制を作るうえで効果的なのは、企業と利害関係を持たない人間を社外取締役や監査役に選任することです。

社内への浸透

ガバナンスの強化で忘れてはならないのは社内への浸透です。重要なのは、経営陣だけでなく、従業員一人ひとりが、企業のガバナンスについて深く理解することです。したがって、ガバナンスの必要性、方針、取り組みなどを各従業員に告知し、適宜研修を行うなどして周知徹底させる必要があります。

ガバナンスに着目したSAPのソリューション

経営管理の中枢を担う統合基幹業務システム(ERP)は、ビジネスを効率よく行うためになくてはならないソフトウェアです。現在ERPは多くの企業に導入されていますが、万が一、システム内に保存された機密情報が外部に流出するようなことがあれば、企業価値が大きく毀損されてしまうかもしれません。
そこで役に立つのが、ガバナンス・リスク・コンプライアンスを強化できる統合的リスクマネジメント手法であるGRCです。ERPで有名なソフトウェア会社・SAP社では、GRCソリューションも提供しています。SAP社が提供するGRCソリューションには大きく分けて、企業リスク・コンプライアンス管理、ID・アクセスのガバナンス、サイバーセキュリティ、国際取引の管理の4種類のカテゴリーがあります。くわしく見ると、例えば「SAP Access Control」と「SAP Cloud Identity Access Governance」とを用いれば、ERPをID認証や権限管理設定で保護できます。また「SAP Business Integrity Screening」を用いれば、不正が疑われる取引を瞬時に検出することが可能です。ほかにも情報の閲覧・編集権限を統制する「SAP Access Control」や主要プロセスの統制とコンプライアンスの管理を行う「SAP Process Control」など、多様なソリューションが用意されています。
(参照:https://www.realtech.jp/blog/what-is-grc#toc-2
(参照:https://www.sap.com/japan/products/financial-management/grc.html

まとめ

企業がガバナンスを強化すれば、コンプライアンスの強化にもつながり、社会的信用の向上が見込めます。ガバナンスの強化は不正を防止するだけでなく、企業成長力の強化にも寄与します。ERPを導入している企業の機密情報流出対策には、GRCソリューションの導入が効果的です。リアルテックジャパン株式会社では、GRCソリューションを含むSAP関連サービスの導入から運用まで、コンサルティングサービスやデリバリーサービスを提供しています。

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REALTECHは、業務に必要不可欠なSAPアプリケーションのセキュリティ性を高め、権限なしのアクセスやデータ盗用によるリスクを軽減します。監査要件に遵守したSAPランドスケープ構築の支援を行い、 IT担当者にかかる負担を軽減して企業全体を守ります。セキュリティを最大限にし、リスクやコストを削減しセキュアなSAPシステム運用の実現を支援します。

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