マイグレーションのダウンタイムに関するブログ、最後は補足処理時間の短縮について書いていきたいと思います。
よくマイグレーションの手順書を見ると、「Aの処理をして、終わったらBの処理を行う」という書き方になっています。
マイグレーション時、インポート終了後にVIEWの作成を行い、R3SETUP(4.6D以下)かsapinst(620以上)を実行します。それが正常終了すると、補足処理を開始します。
主に処理すべき項目といえば、シスログのチェック、インストール整合性チェック、移送の初期化と再設定、不要なテーブルデータ削除、プロファイル読み込み、tRFCエントリ削除、更新エラーの確認、TEMSE削除、古いバッチジョブログ削除その他、お客様のシステム要件に合わせて処理を行います。アップグレードが後続に控えていれば、アップグレード前提処理として、テーブルデータの退避や各種エントリチェックなども必要です。
これらの処理を行うとき、大概はコンパイルがかかります。トランザクションコードを入力してから、実際の画面が開かれるまで数10秒かかります。しかしながら、システムにかかっている負荷は、せいぜい1CPU分のCPU負荷とちょっとしたディスク負荷です。全ての処理で待っていると時間の無駄でしょう。特にSAPのリリースが上がれば、コンパイルするプログラムの数も増えて、更に待ち時間は延長します。この待ち時間に、他のトランザクションコードを開けば、そこでもコンパイルがかかるので、更に他のトランザクションコードを開いている間に最初のトランザクションが開かれる頃だと思います。よって処理の目的、実際に何をやっているかで補足処理を並行で実行することが可能です。またアップグレード関連では処理時間が数分から数十分かかるものもありますので、時間短縮効果はさらに期待できることになります。
上記の処理を並行で行う前提条件として、「お互いの処理が干渉しない」ということが絶対の前提条件です。
ただし、具体的に干渉するのは基本的には2ヶ所だけです。
・ SE06とSTMS、そして移送が発生する処理
・ BASISサポートパッケージ適用(BASIS系トランザクション全部)
具体的な並列実施例としては、シスログとインストール整合性チェックを確認します。それからSE06→STMSを実行しながら、移送が無いSP12,SM58,SM13などの特定テーブルを参照するトランザクションを開いていきます。あまりにも煩雑なら、複数人で手分けするのも良いかもしれません。なお補足処理にかかる時間は大量のSPを当てる場合を除けば、上手く行くと1時間もかからなくすることも可能です。
本シリーズのブログ書き込みはこれで終了になります。
REALTECHがマイグレーションを実施するとなぜ早く終わるのかの理由の一端を垣間見て頂けましたでしょうか?
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
ではまた
hama
- カテゴリ: データ移行