SAPサポートバックボーンアップデートのERPシステムへの影響

 2019.09.18  リアルテックジャパン株式会社

SAP社からサポートニュース等で配信されております通り、2020年1月1日にSAPサポートバックボーンが従来のインフラストラクチャーから新しいインフラストラクチャー(以降、「新バックボーン」と呼びます)に完全に切り替わることはご存知の通りかと思います。当社のREALTECH SOLMAN CLOUD Service (SMaaMS)は新バックボーンに対応しているため、REALTECH SOLMAN CLOUD Service (SMaaMS)をご利用いただいているお客様はSAP Solution Managerの対応は不要なのですが、ERPなどの業務システムも対応が必要なのはご存知でしょうか!aaMS)は新バックボーンに対応しているため、REALTECH SOLMAN CLOUD Service (SMaaMS)をご利用いただいているお客様はSAP Solution Managerの対応は不要なのですが、ERPなどの業務システムも対応が必要なのはご存知でしょうか!?

本稿では、SAP社の公式サイト「2020 年 1 月 1 日: SPS07 より前の SAP Solution Manager7.2 が SAP サポートバックボーンに接続できなくなります」を基に「何が」「どうなって」「どうすればよいか」を説明したいと思います。

そもそもSAPサポートバックボーンとは?

“お客様にテクニカルサポートを提供するために SAP 内に設置されている集中インフラストラクチャーです。サポートバックボーンは目的の異なるさまざまなシステムで構成されています。”

出典:「SAP サポートバックボーンのアップデートによるSAP Solution Manager と Focused Run への影響

つまり、SAP社が顧客に保守を提供するための基盤となります。

もっと読む:SAPサポート期限「2025年問題」とは?

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なにがアップデートされるのか?

サポートバックボーンとの通信方式がRFCからHTTPSに変わります。もともとRFCは大容量のファイルのやり取りやインターネット等のパブリックネットワークを想定して設計されたプロトコルではないため、インターネット経由でのデータ交換により適したHTTPに変更されます。

SAPbackbone

出典:「SAP サポートバックボーンのアップデートによるSAP Solution Manager と Focused Run への影響

なにに影響があるのか?

SAP Solution Manager

下記の通りどのお客様でもSAP Solution Managerの機能を利用しているため、新バックボーンへの対応は必須となると思います。

パッチダウンロード(メンテナンスプランナー)

メンテナンスプランナーはSAPサポートポータルからサポートパッケージ(SP)をダウンロードする際、SAPシステムに必要なSPのまとまり(SPスタック)を生成する機能です。一見SAP Solution Managerは関係なさそうですが、SAPシステムに適用されているパッチ情報がSAP Solution Managerを通じてサポートバックボーンに送信されているため、新バックボーンへの対応が必要となります。SPを適用する予定がないと断言できるのであれば影響はありません。また、SP自体はメンテナンスプランナーがなくてもSPスタックに含まれる各コンポーネントのSPを調べてサポートポータルからダウンロードすることは可能ですし、SPスタック定義ファイル(スタックXML)もSAPサポート(OSS)に依頼すれば生成してくれますので、当面は回避策があるのですが、このような用途でOSSがいつまでスタックXMLを生成してもらえるかわかりませんので、SP適用が必要となるような移行やEhP適用、アップグレードプロジェクトを計画している場合は対応が必要となります。

自動保守認証

SPをSAPシステムに適用する際に必要となる「保守認証キー」を自動的に配信する機能です。保守認証の有効期限は3か月です。保守情報がSAP Solution Managerを通じてサポートバックボーンと交換されるため新バックボーンの対応が必要となります。自動保守認証は便利ですが、SPを適用する毎に保守認証をマニュアルで申請すればよいので影響は小さめだと思います。

EarlyWatch Alert(EWA)

SAP Solution ManagerがEWAを生成する際、定義情報(サービスコンテンツ)をサポートバックボーンからダウンロードして分析しており、また、生成されたEWAをOSSに送信する際サポートバックボーンを使用しますので、新バックボーンへの対応が必要となります。新バックボーンに対応していなくても、EWA自体は生成されますが、最新のサービスコンテンツに基づいた分析がされず、SAPにも送信されなくなるため、EWAの意義がなくなります。最近は利用されているお客様も少なくなりましたが、SAP Solution Managerを使わずにサポートポータルでEWAを生成しているケースではST-PI、ST-A/PIをアップデートした上で新バックボーンへの接続設定が必要となります。

継続的品質チェック(Continuous Quality check [CQC])

CQCはアップグレードやシステム移行後のGo Live CheckやEarlyWatch CheckをはじめSAPからサポートの範囲内で無償で提供されるサポートコンサルタントサービスですが、最新のEWAに基づく分析となるためこれらのサービスを受ける場合は、新バックボーンの対応が必須となります。

他にもITサービス管理、テストスイート、リモートサービス接続管理が影響を受けるようです。

SAPノートアシスタント

SAPノートアシスタント(以降トランザクション名である「SNOTE」と呼びます。)はいわゆる「ノート適用」と呼ばれる作業に使用するNetweaver AS ABAPの日常的に利用される機能です。

SNOTEには該当するノート番号を入力すれば依存するノート(前提ノート)も含めてダウンロードしてくれる機能(Linuxのyumのような機能)があり、新バックボーンに対応させる必要があります。

ダウンロード機能を使わずにポータルからダウンロードしたファイルをアップロードする方法もあるのですが、SAP Support Portalで” ABAP システムのノートアシスタント(トランザクション SNOTE)で、デジタル署名された SAP Notes に対応する機能を有効化する必要があります。有効化を行わないと、2020 年 1 月 1 日以降、ダウンロードとアップロードができなくなります。”とあるように、デジタル署名付きのノートに対応する必要があり、必要な修正は新バックボーン対応と同等の内容となり、結局は2020年1月1日以降に向けての対応が必要となります。

出典:「ノートアシスタント

影響がありそうで影響のないサービス

新バックボーン対応に関連しそうで影響のないサービスは下記の通りです。

SAPROUTER

お客様ネットワークとSAP社のネットワークを安全に接続するためのソフトウェアで、新バックボーンに接続する際にも使用されますが、SAPROUTER自体には影響はありません。

リモートサポート接続

いわゆる「リモート回線調査」といわれる、OSSからお客様SAPシステムへのリモート調査機能です。回線オープンにSAP Solution Managerの「リモートサービス接続管理」を使っていないのであれば、影響はありません。「リモートサービス接続管理」を使っていても、サポートポータル上で同等の操作が可能です。

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必要な対応

SAP Solution Manager

SAP Solution ManagerにSPS8以上を適用した上で、新バックボーンとの接続設定が必要です。SPS7の場合は新バックボーンとの接続設定のためにマニュアルでの調整が必要となるため、設定や確認が煩雑になるため、メンテナンスプランナー、保守認証、EWAの機能のみをお使いの場合はSPS8以上にアップデートすることをお勧めいたします。

SAP Solution ManagerのSPS情報はSAPGUIのメニューの「システム」→「ステータス」の画面の詳細(Details_Icon)でご確認いただけます。

SAPDetails

当社のREALTECH SOLMAN CLOUD Service (SMaaMS)に切り替えていただければ、SAP Solution Manager自体が不要となりますのでこれを機会にぜひご検討ください。

SAPノートアシスタント

SNOTEを新バックボーンおよび電子署名に対応させるためのノートの適用(※1)と新バックボーンとの接続設定が必要となります。

※1 下表のSPレベル以上のシステムは基本的にノート適用不要となります。

SPlevel_2

SAP_BASISのSP情報はSAPGUIのメニューの「システム」→「ステータス」の画面の詳細(Details_Icon)でご確認いただけます。

SPlevel_2

当社プロフェッショナルサービスであれば、簡単な質問にご回答いただければ、すぐに御見積いたしますのでお問合せフォームから是非お問合せ下さい。

 

参考1:「2020 年 1 月 1 日: SPS07 より前の SAP Solution Manager7.2 が SAP サポートバックボーンに接続できなくなります

参考2:「SAP サポートバックボーンのアップデートによるSAP Solution Manager と Focused Run への影響

参考3:「SAP サポートバックボーンのアップデートよくある質問 (FAQ)

参考4:「日本のお客様向けプレゼンテーション(PDF)

新サポートバックボーン対応(2020年問題)もリアルテックにお任せ

SaaS型SAP Solution ManagerのREALTECH SOLMAN CLOUD Service (SMaaMS)であれば新サポートバックボーン対応済みです。
お客様を面倒で難解なSAP Solution Managerの運用から解放し、SAP社のサポートサービスを最大限享受していただけます。

REALTECH SOLMAN CLOUD Service (SMaaMS)への切り替えはとても短期間に完了することができますので、これを機会にREALTECH SOLMAN CLOUD Service (SMaaMS)への切り替えをご検討ください!

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