NetApp FASでは、NFS, Windowsファイル共有(CIFS,SMB), FiberChannel, iSCSI, FCoEと複数のプロトコルが利用できますので、ファイルサーバとサーバー用ストレージの役割を1つのFASに集約することができます。しかも、単に複数のプロトコルが利用できるだけでなく機能面も充実しています。例えば、Windowsファイル共有はSMB2.0に対応済みなので、クライアントがWindows Vista以降であればハイパフォーマンスなファイルサーバになる、こうした点も見逃せないところです。
SAPのデータ領域での利用という観点ではNFS, FiberChannel, iSCSI, FCoEがあります。
NFSは主にUNIXで利用されますが、VMWareのデータストアにも利用できますし、Oracle 11gでDirect NFSを利用すればWindowsでもSUAなしで利用できます。
NFSというと、イーサネットが不安定だった時代の印象が根強いようですが、イーサネットが安定したことにより信頼性は大幅に改善されています。昨年3か月にわたりOracle Direct NFSとFASの組合せで検証を行い、幾度となくインストールやアップグレードを実施しましたが、全く問題はありませんでした。現在、NFSの開発主体はIETFに移っており、NetApp社もIETFでの開発に参加しています。そうしたこともFASのNFSの安定化につながっているのかもしれません。また、日本ではそれほど利用されていないNFSですが、ドイツREALTECHのコンサルタントによると、NFSはLinux/Oracleの環境でごく一般的に利用されているということです。
FiberChannelは大半のSAPシステムが利用しているプロトコルではないでしょうか。ただ、普及している割に技術的な敷居は高く、構築作業も構成変更作業もストレージベンダーを頼らざるを得ない、というお客様が多いようです。しかし、ストレージ管理ツールは昔に比べると劇的に改善されており、例えばNetAppのSnapDriveの場合、サーバ上でのGUI操作でLUNの切り出しからドライブのマウントまでできるようになっています。
iSCSIはFASでは2002年から利用できるこなれたプロトコルですが、現在ストレージ業界における台風の目となっています。この数年の間にEqualLogicがDellに、Lefthandがhpに買収されるなど動きが激しく、またiSCSIの市場は急速に広がっています。仮想マシンのポータビリティを損なうことなくLUNを直接接続できる柔軟性やイーサネットが10Gbpsへの進化したことが大きな要因と考えています。導入事例でご紹介しているお客様はiSCSIを選択されており、移行時のR3loadやSGENといった負荷の高い処理でも2Gbpsがやっとという状況でしたので10Gbpsを束ねれば、ストレージを統合した場合のデータパスとしても十分な帯域が確保できます。
FCoEは当初の想定より立ち上がりが遅れ、これからというところですが、FiberChannelの高い信頼性を管理の容易なイーサネット上に構築できるとあって、今後に期待しているところです。FCoEではサーバ側にCNA(Converged Network Adapter)を利用して、ストレージ側にUTA(Unified Target Adapter)を利用することでネットワークを1本にまとめることができますが、現時点でUTAまで準備が整っているのはNetAppくらいです。
NetAppのFASは最新のプロトコルに積極的に対応しています。むしろ対応が早すぎて、iSCSIのように後から普及し始めた場合にアピールしにくいところが唯一の難点です。
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