PureHANA移行期間短縮ツール SAP Advanced SQL Migration

 2018.06.19  リアルテックジャパン株式会社

SAP HANAはSAP Business Suiteだけのものではない

 2010年SAP HANAがリリースされました。SAP社がリリースしたRDBMSということで、当然SAP Business Suite(ERP, BIなど。以下BSと省略)へのサポートはされていますが、巷ではPureHANAと呼ばれるBS以外のアプリケーションや他社アプリケーション、またはお客様が独自で開発したシステムのRDBMSとして活用されています。SAPとしてはOracle, SQL Server, DB/2で動作しているBS以外のアプリケーションをHANAに再構築するプロジェクトへ積極的に取り組んでいます。

 リアルテックジャパンが受注したプロジェクトでもPureHANAは散見されます。私が参画したプロジェクトでも二例あります。一つは、HANAの最大14ノードクラスタでBS、非SAP DWHを混在して使うHANAプライベートクラウドです。HANA RDBMSのインストールとクラスタ構築はリアルテックジャパンのBasisメンバーで実施しました。もう一つの案件では、HANAS/4PureHANAの混在環境です。高可用性は2ノードクラスタ+ディザスタになっています。リアルテックジャパンは、既存ERPS/4 HANAへ移行しました。平行で動いていたプロジェクトでは、既存のBI/OracleBOで稼働していたシステムのBIを廃止し、BOから直接HANAへアクセスするアプリケーションで再構築しました。CDS Viewを活用したクエリにより、従来は出来なかった数千万件レベルの集計が行えるようになりました。

PureHANA事例

図1

SAP Basisが考えるMigration

 “SAP HANAへのMigration”という言葉を聞くと、SAP Basis分野のエンジニアにはSAP Software Provisioning Managerを使ったシステムコピーが一般的ですが、ここで取り扱うSAP Advanced SQL Migrationは全く概念が異なるマイグレーションツールです

BSでのマイグレーションは、SAP Software Provisioning Managerで明示的にSAPアプリケーションの種類(ERP, NetWeaver, CRM, Solution Manager)とリリース、OSRDBMSを選択することで、移行元システムからデータがエクスポートされます。移行先のシステムでも同じく明示的に選択することで、移行元システムのOS/RDBMSに関係なく、移行先のシステムは構築されます。DB作成、データファイル、スキーマ、ユーザ、DB初期パラメータ、カーネルインストール、環境変数設定、データベースインポート、ストアドプロシージャ、NameTab生成などの作業をSAP Software Provisioning Managerが実行してくれます。さらにアプリケーションレベル(ABAPJava)では、DBアクセスは環境変数と各DBに対応した汎用モジュールや各DBに対応したレポートやトランザクションが実装されており、チューニングを意識しない限り、データベースを意識せずに開発できるように設計されています

 しかし、BS以外のアプリケーションをHANAへ移行するときは、全く勝手が異なります。

PureHANAへ移行する時に最も工数がかかる部分

 BSのマイグレーションは手法が確立されたツールでハードルも低くなっている現在ですが、BSでのマイグレーションのようにSoftware Provisioning Managerが必要なオブジェクトを自動的に生成/配置するツールが無いため、PureHANAの場合は移行元のアプリケーション、スキーマ、データベースデータ、ストアドプロシージャやアドホックSQLなどのオブジェクトの種類を見極めて、HANA側で必要なオブジェクトを生成する必要があります。中でもSQLクエリは、アプリケーションの根幹にかかわり、オブジェクト数も多く変換には多くの時間を費やします。ANSI SQLで書かれたカスタムアプリケーションであれば、比較的移行のハードルは低いですが、複雑でDB依存の関数を使っているようなクエリであれば、移植作業には多くの工数を費やすことになります。

SAP Advanced SQL Migrationが手助けする部分

移行元のデータベースからオブジェクトの種類と数を調べて、自動変換出来るかどうかをアセスメントするツールを提供しています。これにより、どの程度のマニュアル変換による工数が掴めます。この自動変換率は、バージョン2.8(2018/Q1)の場合で移行元DBOracle 8090%SQL Server 9095%DB/2 7585%Teradata 7080%と言われています。

SAP Advanced SQL Migrationの変換可能なオブジェクト

スキーマ
サーバ側のSQL(PL/SQL, T-SQL、ストアドプロシージャ、関数、パッケージ)

クライアント側のSQL
DBAツールの一部

SAP Advanced SQL Migrationがサポートしない範囲

データのマイグレーション(ETLツールやSAP Data Serverなど)
クライアントアプリケーション
アプリケーション機能チェック、パフォーマンスチューニング

 つまり、SQL部分の方言や関数、数値の取扱い、ソースの注釈がRDBMS間で異なるため、通常は一からHANA対応のソースコードを書かないといけないシーンをある程度SAP Advanced SQL Migrationがカバーをするので、例えば変換で100200人日かかるケースを数十日程度に圧縮することが可能になります

 移行の工期とコストを抑えられることから、SAP HANAを純粋なRDBMSとして、またBSと既存DWHを集約するRDBMSとして採用されるケースは、今後も増えてゆくと考えられます。

導入事例:日本航空株式会社

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