SAP S/4HANAの普及に伴い、直感的な操作が可能なWebベースのインターフェースである「SAP Fiori」を利用する企業が急増しています。しかし、画面が見やすくなった一方で、他システムからの転記作業や大量のデータ入力といった定型業務の手間は依然として大きな課題です。
こうした課題を解決する手段として、現在多くの企業で「RPA(Robotic Process Automation)」との連携が進められています。SAP FioriはWebブラウザ上で動作するため、Webアプリケーションに対応したRPAツールを活用することで、複雑な業務プロセスを自動化し、大幅な工数削減とミス防止を実現することが可能です。
本記事では、SAP Fioriの業務をRPAで自動化する具体的なメリットや、自動化に適した業務例、導入を成功させるための手順について詳しく解説します。結論から申し上げますと、SAP Fioriの自動化を成功させる鍵は、Web画面の要素を正確に認識できるRPAツールの選定と、仕様変更に強いシナリオ設計にあります。
この記事で分かること
- SAP FioriとRPAを連携させる業務効率化のメリット
- 請求書処理やマスタ登録など自動化に適した業務例
- Webアプリに対応したRPAツールの選定ポイント
- 導入から運用定着までの具体的な4つのステップ
- 画面仕様変更やセキュリティなどの導入時の注意点
SAP FioriとRPAの連携が注目される背景
企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、基幹システムの刷新とともに業務プロセスの自動化が喫緊の課題となっています。特に、SAP S/4HANAの普及に伴い、その標準ユーザーインターフェースであるSAP Fiori(フィオリ)を活用する企業が増加しています。しかし、システムが新しくなっても、データの転記や照合といった定型業務が完全になくなるわけではありません。こうした背景から、SAP Fiori上の操作をRPA(Robotic Process Automation)で自動化し、さらなる生産性向上を目指す動きが活発化しています。
SAP Fioriの特徴と業務効率化における課題
SAP Fioriは、従来のSAP GUIとは異なり、Webブラウザ上で動作するHTML5ベースの直感的なインターフェースが最大の特徴です。デバイスを問わず利用できる利便性がある一方で、業務効率化の観点からは、Webアプリケーション特有の自動化における技術的なハードルが存在します。
具体的には、画面上の入力項目やボタンを識別するためのHTMLタグのIDが動的に変化する場合がある点や、通信環境によって画面描画のタイミングが異なる点が挙げられます。これにより、従来の座標指定や単純な画像認識による自動化では動作が不安定になりやすく、導入を躊躇するケースが少なくありません。また、複数の画面を遷移しながら行う複雑な登録作業においては、依然として人の手による入力が必要とされ、入力ミスや工数の増大が課題として残っています。
- Webページの構造解析が必要となり、従来のデスクトップアプリ向け自動化手法が通用しない場合がある
- 画面のロード時間やポップアップ表示など、Web特有の挙動に合わせた待機処理が必要になる
- 定期的なアップデートにより画面仕様が変更され、メンテナンス工数が発生するリスクがある
RPAによる自動化が求められる理由
前述のような課題がある中でRPAとの連携が強く求められる理由は、システム開発による自動化と比較して、圧倒的に低コストかつ短期間で実装が可能だからです。通常、SAPへのデータ連携を自動化する場合、BAPIやODataといったAPIを利用したアドオン開発が最も堅牢な手段となります。しかし、これには専門的なプログラミング知識と多額の開発費、そして長い開発期間が必要です。
一方でRPAは、ユーザーインターフェース(UI)を介して人間と同じように操作を行うため、大規模なシステム改修を必要としません。特に、現場部門が主導してスピーディーに業務改善を行いたい場合、RPAによる自動化が最適解となります。また、近年のRPAツールはWebブラウザの構造解析能力が向上しており、SAP Fioriのような動的なWebアプリケーションに対しても、安定した連携が可能になってきています。
業務自動化のアプローチごとの特徴を整理すると、下表のとおりです。
| 手法 | 開発コスト | 実装スピード | 柔軟性・保守性 |
|---|---|---|---|
| API連携(アドオン開発) | 高 | 遅 | システム変更に強いが、仕様変更時の修正が困難 |
| RPA連携 | 低~中 | 早 | 画面変更に影響を受けるが、修正や調整が容易 |
| 手作業 | 人件費 | - | 柔軟だが、ミスが発生しやすく処理速度に限界がある |
このように、すべての業務をシステム開発で自動化するのではなく、コスト対効果を見極めながらRPAを効果的に組み合わせることが、SAP Fiori運用における最適解として注目されています。
SAP Fioriの業務をRPAで自動化するメリット
SAP Fioriは優れたユーザーエクスペリエンスを提供し、直感的な操作を可能にしますが、大量の定型業務やデータ連携においては、RPA(Robotic Process Automation)との組み合わせが非常に効果的です。Fioriの利便性を活かしつつ、RPAによって手作業の負担を解消することで、業務プロセス全体の最適化とデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速します。
データ入力作業の大幅な工数削減とミス防止
RPAを導入する最大のメリットは、膨大なデータ入力作業における工数の劇的な削減と、人為的ミスの完全な排除です。人が行う入力作業には、疲労や不注意による誤入力のリスクが常に伴いますが、ロボットは定められたシナリオとルールに従って正確に処理を実行し続けます。
特に、Excelファイルにまとめられた数百件以上の仕訳データや受注データを、SAP Fioriの画面から一件ずつ登録するような業務では、その効果が顕著に表れます。手作業と比較した際の違いは下表のとおりです。
| 比較項目 | 手作業による対応 | RPAによる自動化 |
|---|---|---|
| 処理速度 | 入力速度に限界があり、件数に比例して時間がかかる | 画面遷移や入力が高速で、大量データも短時間で完了 |
| 正確性 | 入力ミス、転記ミス、確認漏れのリスクがある | ルール通りに処理するため、入力ミスが発生しない |
| 担当者の負荷 | 単純作業に時間を取られ、精神的な負担も大きい | コア業務や高度な判断が必要な業務に集中できる |
このように、反復性の高い単純作業をロボットに任せることで、従業員はより付加価値の高い創造的な業務にリソースを割くことが可能になります。
複数のシステムを跨ぐ業務のシームレスな連携
SAP Fioriを中心とした業務であっても、実際の現場ではメール、Excel、自社独自のレガシーシステム、SaaS型のクラウドサービスなど、複数のアプリケーションを併用するケースが一般的です。RPAを活用することで、これらの異なるシステム間をまたぐデータ連携を、低コストかつ迅速に自動化できます。
通常、システム間の自動連携を行うにはAPI開発やEAIツールの導入といったシステム改修が必要となり、多額のコストと開発期間がかかります。しかし、RPAであればPC画面上のユーザーインターフェース(UI)を介して操作を行うため、大規模な開発をすることなく、既存のシステム環境のままで「つなぎ役」として連携を実現できます。
具体的には、以下のような業務フローをシームレスにつなぐことが可能です。
- 取引先から受信したメールに添付された請求書ファイルからデータを読み取り、SAP Fioriへ入力する
- 社内の勤怠管理システムや経費精算システムからCSVデータを抽出し、SAP Fioriの会計伝票として転記する
- 外部Webサイトから最新の為替レートや市場データを取得し、SAP Fioriのマスタデータを自動更新する
24時間365日の稼働による生産性向上
RPAは人間と異なり、休息を必要としないため、24時間365日稼働し続けることが可能です。これにより、業務のリードタイムを大幅に短縮し、組織全体の生産性を向上させることができます。
例えば、日中に社員が作成・承認したデータを、夜間にロボットがまとめてSAP Fioriへ登録処理を実行しておけば、翌朝の始業時にはすべての処理が完了している状態を作れます。これにより、月末や決算期などの繁忙期においても、ロボットが夜通し処理を行うことで処理遅延を防ぎ、担当者の残業時間を抑制して働き方改革を推進することにもつながります。
SAP FioriでRPA化するのに適した業務例
SAP Fioriは直感的な操作性を備えた優れたインターフェースですが、大量のデータを扱う定型業務においては、人が手作業で行うよりもRPAと連携させることで飛躍的に生産性を高めることが可能です。RPAによる自動化に適しているのは、手順が明確で判断を伴わない「繰り返し作業」です。ここでは、具体的にどのような業務が自動化の対象として効果的か、代表的な例を挙げて解説します。
請求書処理や経費精算の自動化
経理財務部門における請求書入力や経費精算の処理は、RPA導入による効果が最も現れやすい業務の一つです。これらの業務は毎月の締め日に向けて作業が集中しやすく、かつ入力ルールが厳格に定められているため、ロボットによる代行に最適だからです。
具体的には、電子メールやスキャナ経由で受領した請求書のPDFデータから、OCR(光学文字認識)技術を用いて日付、金額、取引先などの必要情報を抽出します。RPAはそのデータをCSVやExcel形式で受け取り、SAP Fioriの「サプライヤー請求書登録」などのアプリケーションへ自動的にログインし、該当項目へ転記していきます。
このプロセスを自動化することで、担当者は膨大な入力作業から解放され、入力内容の最終確認や承認、例外的な処理といった人が判断すべき付加価値の高い業務へリソースを集中させることが可能になります。また、入力ミスによる手戻りも防げるため、決算処理の早期化にも寄与します。
マスタデータの登録と更新作業
品目マスタ、得意先マスタ、仕入先マスタなどの登録や更新作業も、RPA化に適した典型的な業務です。マスタデータは企業の基幹システムを支える重要な情報であり、入力ミスは発注ミスや請求ミスなどの重大なトラブルにつながる恐れがあるため、極めて高い正確性が求められます。
例えば、人事異動や組織変更に伴う従業員マスタの更新や、新製品発売時の品目マスタ登録などが挙げられます。各部署から申請されたExcelベースの依頼書をRPAが読み込み、SAP Fioriのマスタ管理画面を開いて、一つひとつデータを登録していきます。手作業とRPAによる処理の違いは下表のとおりです。
| 比較項目 | 手作業による運用 | RPAによる自動化 |
|---|---|---|
| 処理速度 | 1件あたり数分を要する | 1件あたり数十秒で完了 |
| データの精度 | 入力ミスや見落としのリスクがある | 定義されたルール通り正確に処理 |
| 稼働時間 | 担当者の勤務時間内に限定される | 夜間や休日を含め24時間稼働可能 |
このように、大量のデータを扱うマスタメンテナンス業務を自動化することで、作業時間を大幅に短縮できるだけでなく、データの品質を担保できる点が大きなメリットです。
定期的なレポート作成とメール配信
経営層への報告や各部門での状況把握のために行われる、定期的なレポート作成業務もRPAで効率化できます。SAP Fioriには分析機能がありますが、特定のフォーマットでの報告が必要な場合や、システムにアクセス権を持たない関係者への共有が必要な場合、データの抽出と加工の手間が発生するためです。
RPAを活用すれば、以下のような一連の流れを完全に自動化できます。
- SAP Fioriのレポート画面から、最新の在庫データや売上実績をCSV形式でダウンロードする
- ダウンロードしたデータを、所定のExcel報告書フォーマットにコピー&ペーストして加工する
- 完成したレポートをPDF化し、関係者のメールアドレス宛に添付ファイルとして一斉送信する
- 処理完了のログを管理者に通知する
毎週月曜日の朝や月末の締め後など、決まったタイミングでロボットが自動的に起動するようにスケジュール設定をしておけば、担当者が出社する前にレポートの配信を完了させることも可能です。これにより、最新のデータに基づいた迅速な意思決定を支援する環境が整います。
SAP FioriへのRPA導入手順とステップ
SAP Fioriの業務効率化を成功させるためには、正しい手順でRPAを導入することが不可欠です。計画なしに開発を進めると、エラーが頻発したり、期待した効果が得られなかったりするリスクがあります。ここでは、導入から運用定着までの具体的なステップを解説します。
自動化対象業務の選定とプロセス可視化
RPA導入の最初のステップでは、自動化すべき業務を選定し、その手順を可視化することから始めます。すべての業務がRPAに適しているわけではないため、費用対効果が高いプロセスを見極める必要があるからです。
具体的には、手順が明確でルール化されており、繰り返し発生する作業が適しています。一方で、人の判断が必要な業務はRPA化の難易度が高くなります。選定にあたっては、現在の業務フローを詳細に書き出し、無駄な手順がないかを見直すことも重要です。業務整理を行わずに自動化すると、非効率な作業をそのままシステム化することになりかねません。
選定の基準については、下表のとおりです。
| 評価項目 | 適している業務の特徴 | 適していない業務の特徴 |
|---|---|---|
| 業務頻度 | 毎日または週に数回発生する | 年に数回しか発生しない |
| 判断基準 | ルールが明確で例外が少ない | 担当者の経験や判断が必要 |
| データ形式 | デジタルデータで構造化されている | 手書き文字や非定型データ |
Webアプリケーションに対応したRPAツールの選定
次に、SAP Fioriの技術仕様に適したRPAツールを選定します。SAP FioriはHTML5ベースのWebアプリケーションであり、画面の構造を正しく認識できるツールを選ぶことが、安定稼働の鍵となるからです。
RPAツールには、画面上の画像を認識して操作するものと、Webページのソースコード(HTMLタグやDOM構造)を解析して操作するものがあります。SAP Fioriの場合、画面サイズや解像度によってレイアウトが変わるレスポンシブデザインが採用されているため、画像認識のみに頼ると誤動作の原因となります。HTMLの要素を正確に特定できるオブジェクト認識機能に優れたツールを選ぶことが重要です。
選定時に確認すべきポイントは以下の通りです。
- HTMLタグやID属性による要素指定が可能か
- 動的に変化するWebページの読み込み待ち機能があるか
- SAPシステムとのAPI連携オプションがあるか
- セキュリティ要件を満たしているか
シナリオ作成とテスト環境での動作検証
ツールの選定後は、実際の業務フローに基づいて自動化シナリオ(ロボット)を作成し、テスト環境で検証を行います。本番環境でいきなり稼働させると、予期せぬエラーで業務データを破損させる恐れがあるためです。
シナリオ作成では、正常な処理だけでなく、エラーが発生した場合の処理(例外処理)も組み込みます。例えば、画面の読み込みが遅れた場合や、予期しないポップアップが表示された場合に、ロボットが停止せずにリトライしたり、管理者に通知したりする仕組みが必要です。
テスト環境での検証は、以下の観点で実施します。
- 通常パターンのデータ処理が正しく行われるか
- 入力データに不備がある場合の挙動は正しいか
- 大量のデータを処理した際の速度と安定性は十分か
本番導入と継続的なメンテナンス体制の構築
テストでの動作確認が完了したら、本番環境へ導入し、運用を開始します。しかし、RPAは「導入して終わり」ではなく、継続的なメンテナンスが不可欠です。SAP Fioriのアップデートや業務ルールの変更により、ロボットが動かなくなる可能性があるからです。
安定した運用を続けるためには、ロボットの稼働状況を監視し、エラー発生時に即座に対応できる体制を整えておく必要があります。また、作成したシナリオの仕様書を残し、担当者が変わってもメンテナンスができるように管理することも大切です。変更に強い運用体制を構築することで、長期的な業務効率化を実現できます。
SAP FioriとRPA連携時の注意点
SAP FioriとRPAを連携させる際は、従来のデスクトップアプリケーションとは異なるWebシステム特有の性質を深く理解しておく必要があります。特に、クラウドベースのERPシステムは定期的なアップデートが行われるため、画面仕様の変更やセキュリティポリシーへの適合が、長期的な安定稼働を妨げる主要な要因となり得ます。導入後に「頻繁に止まる」「ログインできない」といったトラブルを避けるために、必ず検討すべき2つの重要なポイントについて解説します。
Web画面の仕様変更への柔軟な対応
SAP Fioriの自動化において最も注意すべき点は、画面構成要素(HTML構造)の変更によってロボットが要素を見失い、処理が停止するリスクを最小限に抑えることです。
その理由は、SAP FioriがWeb標準技術であるHTML5やSAPUI5で構築されており、画面上のボタンや入力フィールドの識別子(ID)が動的に生成されたり、システムのバージョンアップによってDOM構造(文書オブジェクトモデル)が変化したりする場合があるためです。座標指定や単純な画像認識だけでシナリオを作成していると、画面レイアウトやデザインがわずかに変わっただけでエラーが発生し、修正工数が肥大化してしまいます。
したがって、RPAツールの選定やシナリオ作成においては、画面の見た目ではなく、HTMLタグや属性といった「オブジェクト」を認識できる手法は、SAP Fioriの自動化において有効ですが、すべてのRPAツールが同様の対応をしているわけではありません。
多くのRPAツールでは、座標指定や画像認識が中心となっており、WebアプリケーションのDOM構造を安定的に扱えるツールは限定的です。具体的な認識方式の違いによる安定性の比較は下表のとおりです。
| 認識方式 | 特徴 | SAP Fioriへの適合性 |
|---|---|---|
| 座標指定 | 画面上の位置(X, Y座標)で指定する | 低い(解像度やレイアウト変更に弱い) |
| 画像認識 | ボタンなどの画像をパターンマッチングで探す | 中(色の変更や描画ズレに弱い) |
| オブジェクト認識 | HTMLタグや属性情報を解析して特定する | 高い(構造が変わらなければ安定して動作する) |
※オブジェクト認識は、ブラウザ拡張やDOM解析機能を備えた一部のRPAツールで対応可能です。
ツールによって対応範囲や安定性に差があるため、SAP Fioriを対象とする場合は事前検証が不可欠です。
このように、Webアプリケーションの構造解析に優れたRPAツールを選定し、変動しやすい動的なIDではなく、安定した属性(aria-labelや特定のクラス名など)をターゲットに設定することで、メンテナンスの手間を大幅に削減できます。また、SAP Fioriの画面ロード時間はネットワーク環境によって変動するため、固定の待機時間を入れるのではなく、「要素が表示されるまで待機」といった動的な待機処理を組み込むことも、エラーを防ぐための重要なテクニックです。
セキュリティ設定とアクセス権限の管理
RPAを導入する際は、ロボットが使用するアカウントのセキュリティ設定とアクセス権限を厳格に管理することが求められます。
RPAは「デジタルレイバー(仮想労働者)」としてシステムにログインし、人間と同様の操作を行いますが、これには不正利用や誤操作のリスクが常に伴います。例えば、ロボットに管理者権限のような過剰な権限を与えてしまうと、万が一シナリオの設定ミスで誤ったデータを大量に入力した場合や、悪意のある第三者にロボットが悪用された場合に、基幹システム全体に甚大な被害を及ぼす可能性があります。また、近年多くの企業で導入されている多要素認証(MFA)やシングルサインオン(SSO)は、自動ログインの妨げになることがあり、事前の対策が必要です。
安全かつスムーズな運用のために確認すべきチェックポイントは以下のとおりです。
- ロボット専用のIDを発行し、個人のIDと明確に使い分ける
- 業務遂行に必要な最小限の権限のみを付与する(最小権限の原則)
- ログインパスワードはシナリオ内に平文で記載せず、暗号化して管理する
- 多要素認証が必要な場合は、認証除外設定やAPI連携による回避を検討する
特にロボット専用のアカウントを発行して操作ログを明確に区別することは、監査対応やトラブル時の原因究明において極めて重要です。個人のIDを流用すると、誰が(人間かロボットか)操作したのかが判別できなくなり、内部統制上の問題となります。セキュリティポリシーと業務効率のバランスを考慮し、情報システム部門と連携しながら適切な権限設計を行うようにしてください。そのため、SAP Fiori業務を安定的に自動化するには、RPAによる画面操作だけに依存するのではなく、業務プロセス全体を見据えた自動化設計や、ジョブ管理・システム連携との組み合わせを検討することが重要です。
SAP FioriとRPAに関するよくある質問
SAP Fioriの自動化はどのRPAツールでも可能ですか?
はい、基本的には可能です。SAP FioriはWebブラウザ上で動作するアプリケーションであるため、Webブラウザの操作に対応した一般的なRPAツール(UiPath、WinActor、Power Automate Desktopなど)であれば自動化の対象となります。ただし、ツールによって画面上のボタンや入力項目の認識精度が異なるため、導入前に無料トライアルなどで動作検証を行うことを推奨します。
SAP純正の自動化ツールを使ったほうが良いのでしょうか?
SAP社が提供するSAP Build Process Automation(旧SAP iRPA)は、SAP Fioriとの親和性が高く、事前に用意されたテンプレートが豊富であるという利点があります。しかし、すでに社内で他社のRPAツールを導入している場合や、SAP以外のシステムとの複雑な連携がメインとなる場合は、既存のツールを活用するほうが管理コストを抑えられる場合もあります。自社の環境に合わせて選定することが重要です。
Fioriの画面仕様が変更された場合、RPAは止まってしまいますか?
はい、画面のデザインやHTML構造が変更されると、RPAが操作対象を見つけられずにエラーとなる可能性があります。SAP Fioriは定期的なアップデートが行われるため、RPAシナリオを作成する際は、画面レイアウトの変化に強い設定を行うか、アップデート時に迅速にメンテナンスできる体制を整えておく必要があります。
ExcelやメールとSAP Fioriを連携させることはできますか?
可能です。RPAの最大の強みは、異なるアプリケーション間のデータ連携です。例えば、取引先からメールで届いたExcelの注文書データを読み取り、SAP Fioriの受注登録画面へ自動入力するといった一連のフローを自動化することは、RPAの最も代表的な活用事例の1つです。
RPA導入によるセキュリティ上のリスクはありますか?
RPAロボットにSAPのログインIDとパスワードを使用させるため、アカウント管理が不適切だと不正アクセスのリスクが生じます。ロボット専用のアカウントを発行し、アクセス権限を必要最小限に絞る、またはパスワード管理機能を備えたRPAツールを選定するなど、適切なセキュリティ対策を講じることが求められます。
まとめ
本記事では、SAP Fioriの業務効率化におけるRPA連携のメリットや導入手順、注意点について解説しました。
SAP Fioriは直感的で使いやすいインターフェースを提供しますが、データ入力やシステム間の転記といった定型業務の負担は依然として残ります。そこで、RPAを活用してSAP Fioriと周辺システムをシームレスに連携させることで、入力ミスの削減や業務スピードの向上といった大きな成果を得ることができます。
RPA導入を成功させるためには、Web画面の仕様変更に柔軟に対応できるツールの選定や、セキュリティポリシーに準拠した運用体制の構築が不可欠です。まずは請求書処理やマスタ登録といった効果が見えやすい業務からスモールスタートし、徐々に自動化の範囲を広げていくことをおすすめします。
当社はSAPのスペシャリストとして、豊富な知見と実績をもとに、最適なソリューションをご提案します。
SAPに関するご相談やお見積りのご依頼は、ぜひお気軽にリアルテックジャパンにお問い合わせください。
【本記事の監修体制について】
執筆:リードプラス株式会社
監修:リアルテックジャパン株式会社SAPソリューション事業
この記事は、SAP導入プロジェクトの豊富な経験を持つ当社の専門部門が内容を精査し、 以下の最終承認プロセスを経て公開しています。
最終監修責任者:リアルテックジャパン株式会社 代表取締役社長 松浦 一哉
企業の代表として、お客様の課題解決に繋がる有益で正確な情報発信に責任を持って取り組んでまいります。
- カテゴリ: RPA
- キーワード:RPA




