人手不足やコスト増、繰り返される単純作業に追われ、本来注力すべきコア業務に時間を割けていない…そんなお悩みはありませんか?その課題、ビジネスプロセスの自動化(BPA)で解決できるかもしれません。一見難しく感じるかもしれませんが、ポイントを押さえれば着実に業務効率を改善することができます。
この記事でわかること
- ビジネスプロセス自動化(BPA)の基本的な考え方
- 自動化がもたらす生産性向上やコスト削減などのメリット
- 自動化に適した業務と代表的なツール(RPAなど)
- 失敗しないための具体的な導入5ステップ
- 経理や人事など部門別の活用事例
本記事では、ビジネスプロセス自動化とは何か、という基本から、具体的な導入手順、成功事例までを専門用語を避け、わかりやすく徹底解説します。この記事を最後まで読めば、自社のどの業務を、どのように自動化すれば最大の効果を得られるのかが明確になるでしょう。
ビジネスプロセス自動化(BPA)の基本を理解する
ビジネスプロセス自動化(BPA)は、単なる業務効率化の手段にとどまりません。企業の競争力を根底から支え、持続的な成長を実現するための重要な経営戦略です。一見、専門的で難しく感じるかもしれませんが、その基本的な考え方は非常にシンプルです。この章では、BPAとは何か、なぜ今これほどまでに注目されているのか、そして関連する用語との違いについて、分かりやすく解説していきます。
ビジネスプロセス自動化とは何か?
ビジネスプロセス自動化(BPA:Business Process Automation)とは、ソフトウェアなどのテクノロジーを活用して、複数部門にまたがる複雑な業務プロセス全体を自動化する戦略的な取り組みのことです。 単純な繰り返し作業を自動化するだけでなく、データの入力から加工、承認、そしてシステムへの登録といった一連の業務の流れ全体を対象とする点が大きな特徴です。
例えば、従来の「請求書処理」を考えてみましょう。経理担当者が紙の請求書を受け取り、内容を目で確認し、会計システムに手で入力し、上長に承認を得てから支払い処理を行う、という多くの手作業が発生していました。BPAを導入すると、AI-OCRが請求書を自動で読み取ってデータ化し、RPAが会計システムへ自動入力、ワークフローシステムがオンラインで承認プロセスを進め、最終的にERPシステムと連携して支払いまでを完結させる、といった一連の流れを自動化できます。
このように、BPAは複数のITシステムを連携させ、組織のニーズに合わせて業務プロセスを最適化することで、生産性の劇的な向上、コスト削減、そしてヒューマンエラーの削減を実現します。
なぜ今、ビジネスプロセスの自動化が求められるのか?
では、なぜ今、多くの企業でビジネスプロセスの自動化が急務とされているのでしょうか。その背景には、現代の日本企業が直面する複数の深刻な課題があります。
- 深刻化する労働人口の減少
少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少は、多くの企業にとって喫緊の課題です。 総務省統計局のデータによれば、日本の生産年齢人口(15歳〜64歳)は長期的に減少傾向にあります。限られた人材でこれまで以上の成果を出すためには、テクノロジーを活用して一人ひとりの生産性を高めることが不可欠であり、BPAはその最も有効な手段の一つです。 - DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
市場のグローバル化や顧客ニーズの多様化が急速に進む中、企業の競争優位性を確立するためにはDXの推進が欠かせません。 BPAは、既存の業務プロセスをデジタル化し、データに基づいた迅速な意思決定を可能にする、まさにDXの中核をなす取り組みと言えます。 業務プロセス全体を自動化・最適化することで、新たなビジネスモデルの創出や高付加価値なサービスの提供へと繋がります。 - 働き方改革と従業員エンゲージメントの向上
単純作業や繰り返しの多い手作業は、従業員の負担となるだけでなく、モチベーションの低下にも繋がりかねません。BPAによってこれらの定型業務から従業員を解放することで、より創造的で付加価値の高いコア業務に集中できる環境が生まれます。 これは、従業員の満足度やエンゲージメントを高め、離職率の低下にも貢献します。
ワークフロー自動化との関係性
BPAとしばしば混同される言葉に「ワークフロー自動化」があります。この二つの違いを理解することは、BPAを正しく捉える上で非常に重要です。両者の最も大きな違いは、その「対象範囲」と「目的」にあります。
ワークフロー自動化が「特定の業務における一連の手続き」を対象とするのに対し、BPAは「複数のワークフローやシステムを連携させた、より広範なビジネスプロセス全体」を対象とします。 言い換えれば、ワークフロー自動化はBPAを実現するための一つの構成要素と考えることができます。
両者の違いを以下の表にまとめました。
| 比較項目 | ワークフロー自動化 | ビジネスプロセス自動化(BPA) |
|---|---|---|
| 目的 | 特定の定型業務(申請・承認など)の効率化・迅速化 | ビジネスプロセス全体の最適化、生産性向上、コスト削減 |
| 対象範囲 | 単一の業務の流れ(線形) 例:経費精算申請、稟議申請 |
複数の部門やシステムをまたがる業務の流れ全体(複合的) 例:受注から請求・入金までの一連のプロセス |
| アプローチ | 戦術的(個別の課題解決) | 戦略的(組織全体のパフォーマンス向上) |
例えば、「経費精算」という業務において、申請書を電子化し、承認ルートをシステム上で自動化するのは「ワークフロー自動化」です。 一方、交通系ICカードの利用履歴から経費データを自動で取り込み、ワークフローでの承認後、会計システムへの仕訳入力、そして給与システムと連携して振り込みまでを自動で行う仕組みは「ビジネスプロセス自動化」の領域となります。
ビジネスプロセス自動化がもたらす主なメリット

ビジネスプロセス自動化(BPA)の導入は、単なる業務効率化にとどまらず、企業経営の根幹に関わる多様なメリットをもたらします。一見、難しく感じるかもしれませんが、その効果は非常にシンプルかつ強力です。では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは主要な5つのメリットを、具体例や数値を交えながら詳しく解説します。
生産性の飛躍的な向上
ビジネスプロセス自動化の最も直接的なメリットは、生産性の劇的な向上です。これまで人間が時間をかけて行っていた定型的な作業を、ソフトウェアロボットやシステムが24時間365日、休むことなく高速で処理するため、組織全体の業務遂行能力が飛躍的に高まります。 これにより、従業員は単純作業から解放され、より創造性や専門性が求められる高付加価値な業務へ集中できるようになります。
例えば、次のような効果が期待できます。
- データ入力・転記作業:手作業で1件あたり数分かかっていた請求書データのシステム入力が、RPA(Robotic Process Automation)の導入により数秒で完了する。
- レポート作成業務:複数のシステムからデータを抽出し、Excelで集計・加工していた月次レポート作成が、ツールによって自動化され、作業時間を8時間から1時間に短縮した事例もあります。
- 問い合わせ対応:よくある質問(FAQ)への一次対応をAIチャットボットが担うことで、カスタマーサポート部門の担当者は複雑な問題の解決に専念できる。
ある調査では、RPAを導入した企業で年間約2万8000時間もの作業時間削減効果が報告されるなど、そのインパクトは計り知れません。 このように、自動化は個々のタスクの効率化だけでなく、組織全体の生産性を底上げする強力なエンジンとなるのです。
コスト削減とリソースの最適化
生産性の向上は、人件費を中心としたコストの大幅な削減に直結します。 自動化によって定型業務に必要な人員や工数を削減できるため、残業代の抑制や、新規採用コストの最適化が可能になります。 ある小売ブランドでは、RPAの導入により日本円で約6億6,000万円ものコスト削減を達成したという報告もあります。
コスト削減の効果は人件費に限りません。
| 項目 | 手作業の場合 | 自動化した場合 | 削減効果 |
|---|---|---|---|
| 人件費 | 担当者2名分の月額人件費 | RPAライセンス費用 + 担当者0.5名分の管理工数 | 大幅な人件費削減 |
| 印刷・消耗品費 | 紙の申請書や帳票の印刷・保管コスト | ペーパーレス化によりほぼゼロに | 印刷・保管コストの削減 |
| 修正・手戻りコスト | 入力ミスによる修正作業や確認工数 | ヒューマンエラー削減により大幅に減少 | 無駄な作業コストの削減 |
このようにして創出された資金や人材といった貴重な経営資源を、新商品開発やマーケティング強化、従業員のリスキリングといった、企業の未来を創る戦略的な分野へ再投資することが可能となり、持続的な成長の基盤を築きます。
ヒューマンエラーの削減と品質向上
人間が作業する以上、どれだけ注意しても「うっかりミス」や「思い込み」によるヒューマンエラーを完全になくすことは困難です。 しかし、ビジネスプロセス自動化は、この課題に対する極めて有効な解決策となります。システムはあらかじめ設定されたルール通りに、正確かつ忠実に業務を遂行するため、疲労や集中力の低下に起因する人為的なミスを根本から排除できます。
具体的には、以下のような場面で絶大な効果を発揮します。
- 経理業務:請求書の金額誤入力や二重支払い、仕訳ミスなどを防ぎ、月次・年次決算の正確性を担保する。
- 在庫管理:発注数の入力ミスによる過剰在庫や在庫不足のリスクを低減し、サプライチェーンを安定させる。
- 顧客データ管理:CRMシステムへの顧客情報の登録・更新ミスを防ぎ、データの一貫性と信頼性を維持する。
あるパンメーカーの事例では、RPA導入によってWeb-EDI(電子データ交換)業務のエラー件数が3分の1に減少し、エラー発生時の復旧時間も30分から5分へと大幅に短縮されました。 このように、業務品質を安定させ均一化することは、顧客満足度の向上や企業の信頼性確保にも直接的に貢献するのです。
従業員エンゲージメントの向上
意外に思われるかもしれませんが、ビジネスプロセス自動化は従業員のエンゲージメント(仕事への熱意や貢献意欲)を高める上でも重要な役割を果たします。 多くの従業員は、創造性を発揮できない単調な反復作業にやりがいを見出すことが難しいと感じています。自動化によって従業員をこうした業務から解放することは、彼らのモチベーションを大きく向上させます。
Gallup社の調査によると、2022年時点で日本の従業員エンゲージメントはわずか5%と、世界平均の23%を大きく下回っています。 このような状況を改善するため、自動化は有効な手段となり得ます。
- やりがいの創出:単純作業に費やしていた時間を、企画立案や業務改善、顧客との対話といった、より付加価値の高い業務に振り向けることで、仕事の満足度が高まる。
- スキルアップの促進:自動化ツールの操作や管理、新たな業務への挑戦を通じて、従業員が新しいスキルを習得する機会が生まれる。
- ストレスの軽減:「ミスをしてはいけない」というプレッシャーや、大量の単純作業をこなす精神的な負担から解放される。
ある企業では、AIチャットボットの導入により従業員満足度が約20%向上したという事例も報告されています。 従業員が活き活きと働ける環境を整備することは、離職率の低下やイノベーションの創出にもつながり、企業の長期的な成長を支える重要な要素となります。
ガバナンスとコンプライアンスの強化
ビジネスプロセス自動化は、企業の内部統制(ガバナンス)を強化し、法令遵守(コンプライアンス)体制を確固たるものにします。 業務プロセスをシステム上で標準化・可視化することで、「誰が、いつ、何を処理したか」という操作ログがすべて正確に記録されるためです。
これにより、以下のような効果が期待できます。
- 業務プロセスの透明化:業務がブラックボックス化するのを防ぎ、担当者個人の判断や記憶に依存しない、標準化されたプロセスを確立できる。
- 不正行為の抑止:全ての操作が記録・監視されるため、データの改ざんや不正な情報アクセスといった内部不正のリスクを大幅に低減できる。
- 監査対応の効率化:監査の際に必要な証跡(ログ)を迅速かつ正確に提出できるため、監査対応にかかる工数を削減できる。
- 承認フローの徹底:稟議申請や契約承認などのワークフローをシステム化することで、権限のない人物による承認や、規定外のプロセスを確実に防止する。
特にグローバルに事業を展開する企業にとって、各国の法規制や会計基準に準拠した業務プロセスを維持することは極めて重要です。 自動化されたシステムは、人為的な判断ミスや規則の見落としを防ぎ、企業全体として一貫したガバナンス体制を維持するための強力な基盤となります。
自動化に適した業務とそうでない業務

ビジネスプロセスの自動化を成功させる上で、最も重要なステップの一つが「どの業務を自動化の対象とするか」を見極めることです。すべての業務が自動化に適しているわけではありません。むしろ、自動化すべき業務と、人が行うべき業務を的確に切り分けることが、投資対効果を最大化し、プロジェクトを成功に導く鍵となります。では、具体的にどのような業務が自動化に向いており、どのような業務が向いていないのでしょうか?それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
自動化しやすい業務の具体例
まず、自動化しやすい業務にはいくつかの共通した特徴があります。それは、「ルールが決まっている」「繰り返し発生する」「大量のデータを扱う」「複数のシステムやアプリケーションを横断する」といった点です。これらの特徴を持つ業務は「定型業務」とも呼ばれ、自動化によって大きな効果が期待できます。 具体的な例をいくつかご紹介します。
定型的なデータ入力・転記作業
データ入力や転記は、自動化が最も得意とする領域の代表例です。人間が手作業で行うと時間がかかるだけでなく、入力ミスや転記漏れといったヒューマンエラーが発生しやすい業務だからです。RPA(Robotic Process Automation)などのツールを活用することで、これらの作業を高速かつ正確に実行できます。
- 具体例:
- 請求書や納品書に記載された情報を会計システムへ入力する作業
- Webサイトの問い合わせフォームから送られてきた顧客情報をCRM(顧客管理システム)へ転記する作業
- Excelで管理している商品リストをECサイトの管理画面へ登録する作業
- 導入効果の例:ある企業では、毎月約200名の患者情報を複数の書類へ手作業で入力しており、月に50時間もの工数がかかっていました。この書類作成業務を自動化した結果、600枚以上の書類作成がすべて自動化され、従業員はより付加価値の高い患者へのフォローアップ業務に集中できるようになりました。
申請・承認プロセス
経費精算や稟議申請、休暇申請といった社内の申請・承認プロセスも自動化に適しています。 これらの業務は、申請者から承認者、そして経理や人事といった担当部署へと、決められたルートで情報が引き継がれていきます。ワークフローシステムを導入することで、この一連の流れを電子化・自動化し、プロセスの停滞を防ぎ、進捗状況を可視化できます。
- 具体例:
- 経費精算システムで交通費を申請すると、設定された承認ルートに基づき上長の元へ自動で通知が届き、承認後は経理システムへデータが連携される
- 購買申請が承認されると、自動的に発注書が作成され、取引先へメールで送付される
- 新入社員の入社手続きにおいて、必要な情報を一度入力するだけで、人事システムへの登録やITアカウントの発行などが自動的に行われる
- 導入効果の例:ある大手金融機関では、住宅ローンの新規受付に関する事務手続きを自動化するシステムを構築しました。これにより、従来は1日以上かかっていた事前審査が最短2時間で完了するようになり、業務コストの削減だけでなく、顧客満足度の向上にも繋がっています。
レポート作成・データ集計
週次や月次で作成する定型的なレポート業務も、自動化の効果が高い領域です。 複数のシステムからデータを抽出し、Excelなどで集計・加工してグラフを作成し、関係者へメールで送付する、といった一連の作業は、毎回同じ手順を繰り返すことがほとんどです。BIツールやRPAを活用することで、これらの作業を完全に自動化できます。
- 具体例:
- 各ECモールの売上データを自動で集計し、週次の売上レポートを作成して経営陣へメールで送付する
- 勤怠管理システムから全従業員の労働時間データを抽出し、部署ごとの残業時間を集計・グラフ化する
- Webサイトのアクセス解析データを自動で取得し、日次レポートとして関係者が閲覧できるダッシュボードを更新する
- 導入効果の例:ある保険会社では、RPAやExcel VBAを活用して各種業務の自動化を進めた結果、月間で1,200時間もの労働時間削減を実現しました。これにより創出された時間を、より生産性の高い業務へ振り分けることが可能になりました。
自動化が難しい業務の特徴
一方で、現時点のテクノロジーでは自動化が難しい、あるいは自動化すべきではない業務も存在します。これらの業務は「非定型業務」と呼ばれ、人間の思考や判断、コミュニケーションが不可欠な点に特徴があります。 無理に自動化しようとすると、かえって業務が非効率になったり、サービスの質が低下したりする可能性があるため注意が必要です。
自動化しやすい業務と難しい業務の特徴を以下の表にまとめました。
| 特徴 | 自動化しやすい業務(定型業務) | 自動化が難しい業務(非定型業務) |
|---|---|---|
| 作業内容 | ルールや手順が明確で、繰り返し発生する | 状況に応じて変化し、前例のない対応が求められる |
| 判断基準 | 「Yes/No」で判断できるなど、判断基準が明確 | 経験や知識、場の空気などを踏まえた総合的な判断が必要 |
| 求められるスキル | 正確性、スピード | 創造性、企画力、交渉力、共感力 |
| 扱うデータ | Excelのセルやデータベースなど、構造化されたデジタルデータ | 手書きのメモや会話の内容など、構造化されていない定性的な情報 |
具体的には、以下のような特徴を持つ業務は自動化が難しいとされています。
- 複雑な意思決定や戦略的判断が求められる業務
経営戦略の策定、新製品の開発方針の決定、M&Aの判断など、将来の予測が困難で、多角的な情報から総合的に判断する必要がある業務は自動化には向きません。 - 創造性(クリエイティビティ)が求められる業務
新しい広告キャンペーンの企画、キャッチコピーの作成、製品のデザインなど、人間の独創性や感性が価値を生み出す業務は、AIの支援は受けられても、完全な自動化は困難です。 - 臨機応変な対人コミュニケーションが必要な業務
重要な顧客との商談やクレーム対応、部下のキャリアカウンセリングなど、相手の感情を汲み取り、信頼関係を構築しながら進める業務は、人間が担うべき領域です。 - 業務プロセスが標準化されていない、または頻繁に変わる業務
手順が担当者ごとに異なっていたり、ビジネス環境の変化に応じてプロセスが頻繁に変更されたりする業務は、自動化の仕組みを構築・維持するコストが見合わない場合があります。 まずは業務プロセスの標準化から着手する必要があります。
このように、自動化プロジェクトを検討する際は、まず自社の業務を「自動化しやすい業務」と「自動化が難しい業務」に仕分けることが重要です。そして、まずは費用対効果が高く、成功しやすい定型業務からスモールスタートで始めることが、全社的な自動化推進を成功させるための定石と言えるでしょう。
ビジネスプロセス自動化を実現する代表的なツールと手法

ビジネスプロセス自動化(BPA)を実現するためには、様々なツールや手法が存在します。一見すると複雑に感じるかもしれませんが、それぞれの特徴を理解すれば、自社の課題に最適な解決策を見つけることは難しくありません。ここでは、代表的な4つのアプローチを紹介し、それぞれの違いや得意な領域を解説します。自社の「どの業務」を「どのように自動化したいのか」を考えながら読み進めることで、最適なツール選定のヒントが得られるでしょう。
| ツール/手法 | 主な目的 | 得意な業務 | 必要なスキル |
|---|---|---|---|
| RPA | 個別の定型タスクの自動化 | データ入力、情報収集、レポート作成 | 比較的低い(GUIベースの操作) |
| BPMツール | 業務プロセス全体の可視化・最適化 | 部門横断的なワークフロー、申請承認プロセス | 中程度(業務分析・設計スキル) |
| ローコード/ノーコード | 業務アプリやシステムの迅速な開発 | 顧客管理、案件管理、日報作成アプリなど | 低い(プログラミング不要) |
| AI(人工知能) | 非定型業務・高度な判断の自動化 | 需要予測、画像認識、自然言語処理 | 高い(データサイエンスの知識) |
RPA(Robotic Process Automation)
RPAは、人間がパソコンで行う定型的な操作を、ソフトウェアロボット(仮想知的労働者:デジタルレイバー)に代行させる技術です。 主に、マウスのクリックやキーボード入力といった画面上の操作を記録・再現することで、業務を自動化します。プログラミングの専門知識がなくても、直感的な操作でロボットを作成できるツールが多いのが特徴です。RPAが得意とするのは、ルールが決まっていて、繰り返し行われる作業です。 例えば、以下のような業務が挙げられます。
- 複数システムからのデータ抽出とExcelへの転記
- 請求書データの会計システムへの入力
- Webサイトからの競合情報収集とレポート作成
- 交通費の申請内容チェックと精算処理
導入事例:大手物流会社の日本通運株式会社では、UiPathを導入し、2020年3月時点で125業務の自動化を実現しました。 これにより、年間で34万時間以上もの作業時間削減に成功しています。 国内では「UiPath」「WinActor」「BizRobo!」などが高いシェアを誇っています。
BPM(Business Process Management)ツール
BPMは、個別のタスクではなく、業務プロセス全体を可視化し、継続的な改善サイクル(PDCA)を回して最適化を目指す管理手法です。 そしてBPMツールは、その実践を支援するための多彩な機能を備えています。RPAが業務の「点」を自動化するのに対し、BPMは業務の「線」、つまりプロセス全体の流れを管理・効率化するアプローチと言えます。 主な機能には、業務フローを作成するモデリング機能、プロセスを監視するモニタリング機能、そしてワークフローの自動化機能などがあります。
BPMツールは、特に複数の部門や担当者が関わる複雑なワークフローの管理に適しています。
- 稟議申請や経費精算などの各種申請・承認プロセス
- 新規顧客の契約からサービス開始までのオンボーディングプロセス
- 製品の企画から開発、リリースに至るまでのプロジェクト管理
RPAとBPMを組み合わせることで、BPMで業務プロセス全体を可視化・整理し、その中の定型作業をRPAで自動化するといった、より効果的な業務改善が期待できます。
ローコード/ノーコード開発プラットフォーム
ローコード/ノーコード開発プラットフォームは、プログラミングのソースコードをほとんど、あるいは全く記述することなく、アプリケーションや業務システムを開発できるツールです。 ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で、必要な機能を組み合わせるだけで開発できるため、IT専門家でない現場の担当者でも、自らの手で業務改善ツールを作成できる「市民開発」を可能にします。
このプラットフォームを活用することで、現場のニーズに即したシステムを迅速かつ低コストで構築できます。 具体的には、以下のようなアプリケーション開発に利用されています。
- Excelや紙で管理していた顧客情報や案件情報を管理するアプリ
- スマートフォンから手軽に報告できる日報・報告書アプリ
- 備品管理や勤怠管理など、総務・人事関連の業務アプリ
導入事例:サイボウズ社の「kintone」は代表的なノーコードツールの一つです。ある企業では、既存のExcelデータを活用し、わずか2週間で採用管理システムと新規事業システムを構築しました。 これにより、外部ツールの利用が不要になり、年間100万円のコスト削減を実現しています。 他にもMicrosoft社の「Power Platform」などが有名です。
AI(人工知能)の活用
AI(人工知能)は、RPAなどのルールベースの自動化ツールでは対応が難しかった、より高度な判断や非定型的な業務の自動化を可能にします。 AIはデータから学習し、自らルールやパターンを見つけ出して予測・判断を行うことができます。
ビジネスプロセス自動化においては、AIを単体で利用するだけでなく、RPAなどの他のツールと組み合わせることで、自動化の範囲を飛躍的に拡大させることができます。
- AI-OCR(光学的文字認識):従来のOCR技術では難しかった手書きの文字や、請求書・領収書のようなフォーマットの異なる書類を高精度で読み取り、データ化します。 これをRPAと連携させることで、紙媒体の情報を起点とした業務プロセス全体を自動化できます。国内のAI-OCR市場は急速に拡大しており、「DX Suite」や「スマートOCR」といったサービスが知られています。
- チャットボット:自然言語処理技術を活用し、顧客からの問い合わせに24時間365日自動で応答します。 よくある質問への対応を自動化することで、カスタマーサポート部門の負担を大幅に軽減します。
- 需要予測:過去の販売実績や天候データなどを分析し、将来の需要を高い精度で予測します。 これにより、発注業務の自動化や在庫の最適化が実現できます。
このように、AI技術を活用することで、これまで人間にしかできないと考えられていた知的作業の一部を自動化し、さらなる生産性の向上とコスト削減を実現することが可能です。
失敗しないためのビジネスプロセス自動化導入ステップ

ビジネスプロセスの自動化は、やみくもに導入しても期待した効果は得られません。むしろ、現場の混乱を招き、かえって生産性を下げてしまうリスクすらあります。そうした失敗を避け、自動化の恩恵を最大限に引き出すためには、計画的かつ段階的なアプローチが不可欠です。ここでは、多くの企業が実践している成功のための5つのステップを、具体的な進め方とともに詳しく解説します。
ステップ1:現状の業務プロセスを可視化する
自動化の第一歩は、「誰が、いつ、何を、どのように行っているのか」という現状の業務プロセスを正確に把握することから始まります。 この「可視化」のプロセスなくして、どこに課題があり、何を自動化すべきかを見極めることはできません。 一見、遠回りに感じるかもしれませんが、このステップがプロジェクト全体の成否を分けるといっても過言ではないのです。では、具体的にどのように業務を可視化すればよいのでしょうか。主な手法として、以下の3つが挙げられます。
- 担当者へのヒアリング:実際に業務を行っている担当者から、具体的な作業手順、処理時間、判断基準、そして日頃感じている課題などを詳しく聞き取ります。
- 業務フロー図の作成:ヒアリングした内容を基に、業務の開始から終了までの一連の流れを図に起こします。BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記法)などのフレームワークを活用すると、誰が見ても分かりやすいフロー図を作成できます。
- プロセスマイニングツールの活用:システムの操作ログなどのデータを解析し、実際の業務プロセスを客観的かつ網羅的に可視化する手法です。人の記憶や認識に頼らないため、想定外の非効率なプロセス(ボトルネック)を発見できる可能性があります。
例えば、ある企業の経理部門で「請求書発行業務」を可視化したところ、営業担当者が作成した依頼データを経理担当者が基幹システムへ手入力する工程で、月平均15時間もの作業時間と、5%の入力ミスが発生していることが判明しました。このように、業務を可視化することで、改善すべき具体的なターゲットが明確になります。
ステップ2:自動化の対象業務と目標を明確にする
現状のプロセスを可視化できたら、次に行うのは「どの業務を自動化するのか」という対象の選定と、「自動化によって何を実現したいのか」という具体的な目標設定です。 すべての業務を一度に自動化するのは現実的ではありません。 費用対効果が高く、かつ成功しやすい業務から着手することが重要です。
自動化の対象業務を選定する際には、以下の基準で評価するとよいでしょう。
| 選定基準 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 反復性・頻度 | 毎日、毎週、毎月など、繰り返し発生する業務か。 | 交通費の精算、日次での売上データ集計 |
| ルール・定型性 | 作業手順や判断基準が明確に決まっているか。 | 請求書データと注文書データの照合 |
| データ量 | 大量のデータを扱う業務か。 | 顧客リストへのデータ入力、アンケート結果の集計 |
| デジタル完結性 | PC上の操作だけで完結する業務か。 | 特定サイトからの情報収集とExcelへの転記 |
対象業務が決まったら、具体的な目標を設定します。このとき、「業務を効率化する」といった曖昧な目標ではなく、「誰が読んでも同じ解釈ができる、測定可能な目標(KPI)」を設定することが成功の鍵です。 例えば、「請求書発行業務における手入力作業をRPAで自動化し、月間の作業時間を15時間から3時間へと80%削減する。同時に、入力ミス発生率を5%から0%にする」といった具体的な数値目標を立てます。
ステップ3:最適なツールを選定する
自動化する業務と目標が明確になったら、いよいよそれを実現するためのツールを選定します。 市場にはRPA、BPMツール、iPaaS、AI-OCRなど多種多様なツールが存在し、それぞれに得意分野や特徴があります。 自社の目的や規模、予算に合致したツールを慎重に比較検討することが重要です。
ツール選定で失敗しないためには、以下のポイントを確認しましょう。
- 機能と目的の合致:自動化したい業務内容に対応できる機能が備わっているか。 例えば、紙の請求書を扱いたいならAI-OCR機能が、複数のクラウドサービスを連携させたいならiPaaSが適しています。
- 操作性:現場の担当者が直感的に操作できるか。プログラミング知識がなくてもシナリオを作成できる「ノーコード/ローコード」ツールは、現場主導での自動化推進に適しています。
- サポート体制:導入時のトレーニングや、導入後に問題が発生した際のサポートは充実しているか。日本語でのサポートが受けられるかも重要なポイントです。
- コストと費用対効果:ライセンス費用や開発費用だけでなく、運用・保守にかかる費用も含めたトータルコストで判断します。設定した目標を達成できるだけの費用対効果が見込めるか検証しましょう。
- 拡張性とセキュリティ:将来的に自動化の範囲を広げることを見越した拡張性があるか。また、企業の機密情報を扱う上で、十分なセキュリティ対策が施されているかも必ず確認が必要です。
多くのツールでは無料トライアル期間が設けられています。 複数のツールを実際に試してみて、操作性や自社システムとの相性を確認した上で、最終的な導入ツールを決定することをお勧めします。
ステップ4:スモールスタートで導入し効果を検証する
最適なツールを選定したら、いきなり全社的に導入するのではなく、まずは特定の部門や限定した業務範囲で「スモールスタート」を切ることが成功への近道です。 小さく始めることで、予期せぬトラブルが発生した際の影響を最小限に抑えつつ、着実にノウハウを蓄積できます。 この検証プロセスはPoC(Proof of Concept:概念実証)とも呼ばれ、本格導入の前に自動化の実現可能性や効果を確かめる重要なステップです。
スモールスタートの具体的な進め方は以下の通りです。
- パイロット部署の選定:自動化への関心が高く、協力的な部署をパイロット(試験導入)部署として選びます。
- PoCの実施:選定した部署で、ステップ2で決めた対象業務の自動化を試験的に行います。
- 効果測定とフィードバック:導入前後で、設定したKPI(作業時間、コスト、エラー率など)がどのように変化したかを具体的に測定します。 同時に、実際にツールを利用した担当者から操作性や改善点に関するフィードバックを収集します。
- 課題の洗い出しと改善:効果測定やフィードバックから明らかになった課題(例:特定の条件下でエラーが発生する、マニュアルが分かりにくい等)を分析し、改善策を講じます。
この「導入→測定→改善」のサイクルを回すことで、自動化の精度を高め、本格展開に向けた課題を洗い出すことができます。 小さな成功体験を積み重ねることが、後の全社展開への強力な推進力となるのです。
ステップ5:全社へ展開し、継続的に改善する
スモールスタートで得られた成功事例と知見は、全社展開に向けた何よりの説得材料となります。パイロット導入で確立した導入モデルや運用ルールを標準化し、他の部署へと段階的に展開していきましょう。
全社展開を成功させ、自動化の効果を最大化するためには、以下の取り組みが有効です。
- CoE(Center of Excellence)の設置:社内の自動化を推進するための中核組織(CoE)を設置します。 CoEは、全社的な自動化戦略の策定、開発・運用ルールの標準化、各部署への技術支援、成功事例の共有といった役割を担い、ガバナンスを効かせながら自動化を推進します。
- 成功事例の共有と教育:社内報や説明会などを通じて、自動化による成功事例(「〇〇部の業務時間が月50時間削減されました!」など)を積極的に共有し、他部署の関心を高めます。 また、従業員が自動化ツールを使いこなせるように、定期的な研修会を開催することも重要です。
- 継続的なプロセスの見直し(PDCA):ビジネス環境の変化や新しい技術の登場に合わせて、自動化した業務プロセスが常に最適であるとは限りません。定期的に効果を測定・評価し、改善を続けるPDCAサイクルを回していく文化を醸成することが、長期的な競争力強化に繋がります。
ビジネスプロセス自動化は、「導入して終わり」のプロジェクトではありません。組織全体で継続的に業務を見直し、改善していく「旅」のようなものです。この5つのステップを着実に実行することで、その旅を成功へと導き、企業の持続的な成長を実現できるでしょう。
部門別に見るビジネスプロセス自動化の活用事例

ビジネスプロセス自動化は、特定の部門だけでなく、企業のあらゆる部門でその効果を発揮します。一見すると「自分の部署には関係ない」と感じるかもしれませんが、実は多くの定型業務が自動化の対象となり得ます。ここでは、主要な部門ごとに、具体的な課題と自動化による解決策、そして導入後の成功事例を詳しく見ていきましょう。自社の状況と照らし合わせながら、自動化の可能性を探ってみてください。
財務・経理部門の事例
財務・経理部門は、請求書処理、経費精算、入金消込、帳簿作成といった、正確性が求められる定型業務の宝庫です。手作業による入力ミスや確認作業の遅延は、月次決算の遅れや経営判断のスピード低下に直結します。では、これらの課題はどのように解決できるのでしょうか?
その答えが、RPAとAI-OCR、そして会計システムの連携にあります。例えば、取引先から受け取ったPDFや紙の請求書をAI-OCRで読み取り、RPAがその内容を会計システムへ自動で入力する仕組みを構築します。これにより、手入力作業がほぼゼロになり、担当者は内容の最終確認に集中できます。実際に、ある中堅企業ではこの仕組みを導入したことで、請求書処理にかかる時間を月間約80時間削減し、月次決算を3営業日も短縮することに成功しました。
自動化による改善例(財務・経理部門)
| 対象業務 | 自動化の内容 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 請求書処理 | AI-OCRで請求書を読み取り、RPAが会計システムへ自動入力する。 | 処理速度の向上、入力ミスの撲滅、ペーパーレス化の促進。 |
| 経費精算 | ワークフローシステムを導入し、申請から承認、精算までを電子化。交通費はICカード連携で自動入力。 | 申請・承認プロセスの迅速化、差し戻し手間の削減、コンプライアンス強化。 |
| 入金消込 | RPAが銀行の入金データと請求データを自動で照合し、消込作業を行う。 | 手作業による照合ミスの防止、未収金管理の精度向上。 |
人事・総務部門の事例
人事・総務部門もまた、入退社手続き、勤怠管理、給与計算、年末調整など、多くの定型業務を抱えています。特に、従業員情報の変更が複数のシステムにまたがって発生するため、登録漏れや二重入力といったミスが起こりやすいのが特徴です。これらの業務を自動化することで、担当者はより戦略的な人事施策や従業員満足度向上のための企画に時間を使えるようになります。
具体的な解決策としては、各種申請業務のワークフロー化や、RPAによるシステム間のデータ連携が挙げられます。例えば、新入社員が入社する際、ワークフローシステム上で入力された情報を基に、RPAが人事システム、給与システム、IT資産管理システムなど、関連する全てのシステムへ自動でアカウントや情報を登録します。これにより、これまで半日かかっていた作業がわずか数分で完了し、入社初日からスムーズに業務を開始できる環境を提供できます。あるIT企業では、入退社手続きの自動化により、年間で300時間以上の工数削減を実現しました。
自動化による改善例(人事・総務部門)
| 対象業務 | 自動化の内容 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 入退社手続き | ワークフローで申請・承認を行い、RPAが各種システムへ従業員情報を自動で登録・削除する。 | 手続きの迅速化、登録漏れや権限設定ミスの防止、セキュリティ向上。 |
| 勤怠管理・給与計算 | 勤怠管理システムと給与計算システムを連携させ、勤務実績データを自動で取り込み、給与を計算する。 | 手作業による集計・転記ミスの削減、給与計算業務の大幅な効率化。 |
| 年末調整 | 従業員がWeb上で申告書を入力。申告内容の自動チェックと給与システムへのデータ連携を行う。 | 書類の配布・回収・チェック作業の削減、問い合わせ対応の軽減。 |
在庫・購買管理部門の事例
在庫・購買管理部門では、サプライヤーへの発注、納期管理、在庫数の確認、支払い処理など、社内外との連携が頻繁に発生します。需要予測のズレによる過剰在庫や欠品、発注ミスによる納期の遅延は、企業の収益に直接的な影響を与えかねません。こうしたリスクを低減するためにも、プロセスの自動化は非常に有効です。
解決策の中心となるのは、ERP(統合基幹業務システム)やRPAの活用です。例えば、販売実績や季節変動データを基にシステムが需要を予測し、設定された在庫数を下回った場合にRPAが自動でサプライヤーへ発注書をメールやFAXで送信します。これにより、人為的な発注忘れや数量ミスを防ぎ、常に最適な在庫レベルを維持することが可能になります。大手小売業の事例では、自動発注システムを導入したことで、欠品による機会損失を15%削減し、在庫回転率を20%向上させることに成功しています。
自動化による改善例(在庫・購買管理部門)
| 対象業務 | 自動化の内容 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 発注業務 | 販売データや在庫データに基づき、RPAやERPシステムが適切なタイミングで自動的に発注を行う。 | 発注ミスの削減、欠品・過剰在庫の防止、発注業務の工数削減。 |
| 納期管理 | RPAが定期的にサプライヤーのシステムにアクセスして納期情報を取得し、遅延の可能性がある場合はアラートを出す。 | 納期遅延の早期発見と対策、生産計画の精度向上。 |
| 検品・支払い処理 | 納品書と発注データをシステムで自動照合し、問題がなければ経理システムへ支払いデータを連携する。 | 検品・照合作業の効率化、支払い漏れや二重払いの防止。 |
よくある質問(FAQ)
ビジネスプロセス自動化(BPA)とRPAの違いは何ですか?
RPAは、PC上の定型的な手作業をソフトウェアロボットに代行させる「手段」の一つです。一方、BPAは、業務プロセス全体の流れを最適化し、自動化することを目指す、より広範で戦略的な「目的・概念」です。RPAは、BPAを実現するための強力なツールの一つ、と捉えると分かりやすいでしょう。
自動化を始めるには、まず何から手をつければ良いですか?
まずは「業務の可vis化」から始めることをお勧めします。誰が、何を、どのように行っているのかを洗い出し、どこにボトルネックや非効率な作業が潜んでいるのかを正確に把握することが、効果的な自動化への第一歩となります。
中小企業でもビジネスプロセス自動化は導入できますか?
はい、もちろんです。近年では、比較的安価に利用できるクラウド型のツールや、専門知識がなくとも扱えるローコード/ノーコードツールが数多く登場しています。スモールスタートで小さな成功体験を積み重ねていくことができるため、企業規模を問わず導入メリットを享受できます。
自動化によって従業員の仕事がなくなることはありませんか?
自動化は、単純作業や繰り返し行われる定型業務を代替するものです。これにより、従業員はこれまで時間が割けなかった、より創造的で付加価値の高い業務、例えば企画立案や顧客との対話、データ分析といった人間にしかできない仕事に集中できるようになります。仕事が「なくなる」のではなく、「質が高まる」と捉えるべきです。
プログラミングの知識がなくても自動化はできますか?
はい、可能です。本記事でご紹介したRPAツールやローコード/ノーコード開発プラットフォームの多くは、画面上で部品を組み合わせるような直感的な操作で自動化の仕組みを構築できます。情報システム部門に頼らずとも、業務を熟知した現場の担当者自身が主体となって改善を推進できる点が大きなメリットです。
自動化に失敗する主な原因は何ですか?
失敗の多くは、「ツール導入そのものが目的化してしまう」ケースです。自動化はあくまで手段であり、目的は業務課題の解決です。目的を明確にせず、いきなり大規模な導入を進めると、現場の状況に合わず形骸化してしまうことがあります。まずは小さな範囲で試行し、効果を測定しながら段階的に拡大していくアプローチが成功の鍵を握ります。
まとめ
本記事では、ビジネスプロセス自動化(BPA)の基本からメリット、導入ステップ、具体的なツールまでを網羅的に解説しました。一見難しく感じるビジネスプロセスの自動化ですが、その本質は「業務を最適化し、従業員がより付加価値の高い仕事に集中できる環境を整えること」にあります。
労働人口の減少が避けられない日本企業にとって、ビジネスプロセスの自動化は、もはや単なる選択肢ではなく、生産性向上と競争力強化に不可欠な経営戦略と言えるでしょう。まずは自社の業務プロセスを改めて見直し、どこから自動化できるか、小さな一歩を踏み出すことから始めてみてはいかがでしょうか。
【本記事の監修体制について】
執筆:リードプラス株式会社
監修:リアルテックジャパン株式会社SAPソリューション事業
この記事は、SAP導入プロジェクトの豊富な経験を持つ当社の専門部門が内容を精査し、 以下の最終承認プロセスを経て公開しています。
最終監修責任者:リアルテックジャパン株式会社 代表取締役社長 松浦 一哉
企業の代表として、お客様の課題解決に繋がる有益で正確な情報発信に責任を持って取り組んでまいります。
- カテゴリ: ビジネスプロセス管理
- キーワード:業務自動化


