誰もがやる調べごと
特定の企業について検索エンジンでいろいろな情報を調べる。おそらく誰もがやったことがある調べごとだと思います。就職/転職時、営業訪問をする前、ニュースを見て気になった会社など、いろいろなシチュエーションが考えられます。筆者はうわさ話から公式情報まで多種多様なサイトを長時間かけて調べたこともありました。
でも、せめて社内の情報くらいはひとつにまとまっていて欲しいものですよね。例えば顧客であれば営業情報、債権情報、修理サービス情報などいちいち複数のシステム、画面で見るのは手間がかかります。このような場合、手間をかけずにまとまった情報を見るためにFiori Factsheetがあります。今回は「Fiori Factsheet入門」と題して概要説明をします。
なお本記事は、下記シリーズ記事の一部で、他記事も参照されることをお勧めします。
第3回 マルチデバイス・ブラウザ対応:Fiori Factsheet入門【本記事】
Fiori Factsheet概要
Fioriは以下の3種類に分類されます。詳細は過去記事「S/4HANA構成要素について 画面編(Fioriとは)」、「マルチデバイス・ブラウザ対応:Fioriの基本」を参照ください。
- Transactinal:伝票等を更新、参照するアプリケーション
- Factsheet:さまざまな情報を検索、閲覧するアプリケーション
- Analytical(Smart Business含む):グラフィカルに分析をするアプリケーション
上記の2がFiori Factsheetで、顧客や仕入先、従業員など100以上の種類を扱うアプリケーションがリリースされています。個々のアプリケーションについてはアプリケーションライブラリで確認することができます。注意事項としてFiori FactsheetはDBがHANAでないと動きません。検索など随所にHANA特有の機能を使っているためです。
得意先(顧客)を使った画面紹介
得意先(顧客)アプリケーションを使って画面紹介していきます。
1. Google感覚で検索
Google検索のような感覚で得意先を特定します。Fiori Launchpadと呼ばれるホーム画面から検索をします。文字を途中まで入力した時点で補完候補自動提案もされます。また、今回は「検索」からスタートしていますが、ユーザの担当得意先をタイル(ブックマークのようなもの)にして、そこから直接Fiori Factsheet画面に遷移することもできます。
検索結果画面です。下画面は得意先マスタだけでなく、関連する見積伝票も出ていますが、検索時に対象を絞り込むことも可能です。
2. 得意先画面
上がPC、下がスマートフォンで表示した得意先画面です。得意先画面に名前などの情報はもちろん、見積伝票、連絡先(顧客担当者)などの情報がタイル形式でまとまっています。今は表示されていませんが、販売契約伝票・請求伝票なども表示できます。各タイルをクリックすることで詳細画面に遷移します。また、右下の「開く」を押して銀行支払承認処理など関連する画面へシームレスに遷移できます。
モバイルならではのこだわり
Fiori Factsheetを使うことで、例えば顧客訪問への移動中に最新取引状態などを確認することができます。最新の多角的な情報を確認することで、販売機会損失の回避や提案品質の向上などへ繋がります。
そのような重要な役割だからこそ、アプリケーションによっては表示項目にこだわりを持ちたいものです。モバイル画面は小さいので使わない項目が多いと、何が重要かわからなくなってきます。実用的な情報に絞って表示することで、外出先や移動中でもよりストレスの少ない効果的な使い方ができるはずです。また、外出中であれば地図表示など効率化につながる情報もあるかと思います。
次回記事は、「Fiori Factsheet実践(拡張)」と題して情報追加をするためのFiori Factsheet拡張について解説していきます。
- カテゴリ: S/4HANA