SAPシステム運用現場向けWindowsストアアプリ開発の背景

 2013.08.19  リアルテックジャパン

2013年8月12日、REALTECHはSAPシステムの内部状態を簡易にチェックするためのWindowsストアアプリケーションを無償公開しました。

Windowsストアアプリケーション「REALTECH SAP System Monitoring」画面イメージ

MultiSystemView.png

アプリケーションについての機能や操作方法、前提条件といった情報は後述でご紹介するページをご参照頂くとして、ここでは本アプリケーションを開発するに至った背景と弊社の思いを書きます。

SAPシステムの運用を良くしていきたい

弊社は「SAPシステムの運用を良くしていきたい」という思いから、Solution Managerに代表されるSAP標準ツール活用や弊社製SAP運用ソフトウェア製品 the Guard!(ザ・ガード)、また既存の運用ツールの機能追加・改良などを通じて、お客様のSAPシステムの継続的な運用改善に積極的に取り組んでいます。

そのためには、SAPパッケージが持つ豊富な機能の使いこなしや最新技術の応用が不可欠となりますが、SAP基盤のコア技術に長年携わっていたこともあり、JSUG様や各種のイベント、セミナーに登壇させて頂くことも少なくなく、自社でもALMで建てたSAPシステム見学会の開催を通じてこの分野の情報発信を鋭意させて頂いております。

SAPデータコピーツール Data Sync Manager
SAPユーザー必見!テスト・トレーニング・データ移行時に機密データを守る方法は?

運用現場におけるジレンマ

問題無く運用されているように見えるシステムも、潜在的なリスクが存在している場合があります。この潜在的なリスクを早期に発見するため、または軽減するためには、人材育成や運用プロセスの改善、ツールなどによる運用プロセスの効率化・自動化の推進などの運用改善策を講じる必要があります。

SAPシステムの運用に携わる現場の最前線の方々とお話させていただく機会を多くいただいておりますが、「運用改善策の必要性は認識しているが、実行に移すのは難しい」という声をよく伺います。そこには以下ような運用現場のジレンマがありそうです。

多忙な運用現場のキーマン

どの運用現場にも運用業務やシステムの全体を把握しているキーマンがおられ、当然その方に業務が集中するために結果的に、常に多忙になりがちです。運用改善策を成功させるためには、運用業務の実際やシステムの全体を把握しているキーマンのプロジェクトへの参画が必要です。

運用改善策のための予算確保の難しさ

コスト削減が大前提な運用業務の中で、運用改善策の予算を確保するためには、現状の適切な評価・分析に基づいた運用改善策の計画と、その実行体制が必要になります。ここにもキーマンの参画が必要不可欠ですが、キーマンは多忙なため腰を据えてプロジェクトに参画することが難しいことが少なくありません。

運用改善策の計画・実行にはキーマンの参画が必要、キーマンは多忙で動けない、キーマンの時間を作るには運用改善策が必要というようなジレンマに陥ってしまい、身動きが取れない状態になっている現場に遭遇することが多いのが現状です。

ジレンマを克服するには

まずは「最初の一歩」として、運用改善を成功させることです。実行した運用改善策はそれによる成果だけでなく、以下のような次に繋がる効果を運用現場に残すことが可能になります。
  • 作業の効率化、障害の減少によりキーマンを含めた運用現場に次を考えるための時間を作れます。
  • 運用チームとして蓄積された経験やノウハウは、次の運用改善の導入をスムーズにします。
  • 実際の成果を基にすることで、次の運用改善策を計画しやすくなります。
このように「最初の一歩」は、次の一歩に繋がり、それがまた次の一歩へと、良いサイクルを生み出すきっかけになります。

何か対策をしない限りは潜在的なリスクは増えることはあっても減ることはありません。

結局、大きな障害がきっかけとなり、運用改善策を検討し始める「最初の一歩」というのもよくある現実です。

「最初の一歩」の踏み出し方

運用改善策に関連するキーワードとして、「ITIL」、「ALM」、「DevOps」などの言葉をご存知の方も多いと思います。これらの言葉と共によく紹介される絵には最終的なゴールが描かれているので、上記のようなジレンマで悩まれているお客様にとっては、自分たちには合わないと感じられるものもあるかもしれません。しかし、ITILのポリシーには「Small Start,Quick Win」という言葉があり、できるところから小さく始めて成果を出すということが推奨されています。大きな絵は最終的なゴールでいきなり達成するのは難しいものです。弊社がこのようなジレンマを抱えたお客様とお話させていただく際には、キーマンの方の状態なども考慮しながら、小さくとも成果の出やすいところを「最初の一歩」としてご提案させて頂くことが多いです。

「最初の一歩」をお手伝いするアプリケーション

前置きが長くなりましたが、弊社としては上記のジレンマから抜け出す「最初の一歩」を踏み出すお手伝いを何かできないかと言う思いが募る中で、本アプリケーションを開発しました。

  • 運用の現場に気付きを与えられる機能として、SAPシステムの稼働情報を取得できます。
  • すぐに使い始められるよう、今回無償でご提供します。
  • 誰でもご使用いただけるようインストールの簡単なWindowsストアアプリとして開発いたしました。
  • セキュリティ面を考慮し、Windowsストアを通してのご提供としました。(※1)
  • SAPシステムの標準機能を使用しているため、SAPシステム側の設定を行わず使い始めることが可能です。(※2)
  • SAP標準のアラート閾値(※3)を基にアラートを色分けしますので、アラート閾値の設計・設定を行わず使い始めることが可能です。(※4)

※1 Windowsストア アプリに対する、マイクロソフト社のセキュリティ ポリシー

※2 アプリケーション情報ページに記載しております免責事項・前提条件を良く読んでお使いください。

※3 SAP社が項目毎に設定しているアラート閾値です。今までSAPシステムの内部情報を確認してきていないお客様にも、標準的なアラート閾値を利用しての確認を始めていただけます。標準的なアラート閾値と照らし合わせることで、自社のSAPシステムの状態の評価をする際の参考情報にもお使いいただけます。

※4 SAPシステム側の設定によってアラート閾値の変更が可能です。アラート設定の変更は弊社コンサルティングサービスでご提供しておりますので、お問い合わせください。

このアプリケーションにできることは、SAPシステム内部の情報を色分けして皆様にお見せするところまでです。

もし、ここから何かきっかけを見つけ、運用改善の良いサイクルを回し始める「最初の一歩」を踏み出されるお客様がいたとしたら大変嬉しく思います。

関連リンク

Windowsストアアプリの機能説明とダウンロードリンクは以下の通りです。

アプリケーション情報ページ

アプリケーションについての機能や操作方法、前提条件といった情報を記載しておりますのでアプリケーションのご利用の前にご確認ください。

Windowsストアダウンロードリンク
Windowsストアダウンロードリンク(上記のリンクが動かない方はこちらのリンクをご利用ください)

wide_logo_620x300.scale-100.png

長文最後までお読みいただきありがとうございました。

 
ビジネスプロセス管理(RunMyJobs️)

RECENT POST「移送管理」の最新記事


移送管理

システム移行時の移送高速化とリスク低減を実現する|REALTECH SmartChange Transport Management

移送管理

SAP ERPシステムの移送作業負荷を軽減~Transport Managementのメリット

移送管理

REALTECH製SAP監視用WindowsストアアプリがSurface RTにも対応しました

移送管理

【Transport Manager】#6:SAP移送の順番を制御する

SAPシステム運用現場向けWindowsストアアプリ開発の背景
New Call-to-action

RECENT POST 最新記事

RANKING人気記事ランキング

ブログ購読のお申込み